知恵の経営

第21回

社員に思いを伝え対話

アタックスグループ 2015年5月27日
 

 「卵が先か鶏が先か」-。卵がなければ鶏は生まれないし、鶏がいなければ卵は生まれない。だから最初はどちらだったのか、というように見方によりどちらが原因ともいえるため、因果関係の結論を出せないことを示す例えに用いられる。

 先日訪問した化粧品の製造販売を行う都内の会社の社長からも、社員に主体性・当事者意識をいかに持たせるかということで、こんな話を聞いた。

 社員が主体性や当事者意識を持てるかどうかは、本人に意欲・意志があるかどうか次第だ。いくら朝礼で自分の思いを語っても、いくら研修で情報を与えたとしても、一人一人の社員にそれを受け入れる姿勢がなければ、砂に水をまくのと同じで、まったく効果は発揮されない。意欲や意志のない社員にいくら情報を与えても、どうにもならない。ただ、卵と鶏の話ではないが、何も語らなければ、自分の思いは社員の心にまったく伝わらない。であれば、どちらが先かといえば、社長としての自分の思いを語ることが先だ。

 どの会社の経営者も朝礼で自分の思いや、得た情報を、社員にきちんと受け止めてもらいたい、主体性・当事者意識を社員に持ってもらいたいと考えているだろう。そのために多くの企業では毎週朝礼を行い、そのなかで常にビジョンを語る。とにかく語るようにしている。

 まず、自分自身の思いを伝え、また会社が大切にしていることや目指している方向を理解してもらい、共感してもらい、一緒に汗をかくことをいとわないとまで思ってもらえるように徹底して、自分の思いを語り続けることが重要だ。

 朝礼以外の場でも、食事をしながら、あるときは車で移動しながら、また社長室などで自分の方から社員の仕事面だったり、プライベートのことだったり、あらゆる事柄に関して腹を割って話し合う機会を設けるべきだろう。

 社員との対話においては、社員たちが、自分の仕事や考えていることを話すように仕向ける。そうすることで、社員一人一人が主体的に「自分の成すべきことが何か」に気付き、考えるようになる。また、社員たちに本音で話してもらうために、経営者自身も本気で語りかけ、「1対1」「face to face」で話をすることを心がけるべきであろう。

 経営者と社員が互いにすべてをさらけ出すことで、それぞれの思い・仕事が理解でき、相手を尊重するようになる。社員が、経営者は自分の思いを知ってくれている、仕事を見てくれていると感じれば、責任感が増し、仕事やそれ以外の面でも主体性や当事者意識が発揮されるようになる。

 逆に経営者の思いが社員一人一人に届かないと、社員が主体性を発揮することができないし、また会社もうまく稼働しない。社員に主体性・当事者意識を持たせるためには、価値観や意識をすり合わせるため、思いを語り合い、互いに腹を割って話し合う対話が極めて重要になることを化粧品会社の社長は気付かせてくれた。

<執筆>
アタックス研究員・坂本洋介

2015年5月27日「フジサンケイビジネスアイ」掲載





 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

コラム 知恵の経営

同じカテゴリのコラム

コラム検索