知恵の経営

第25回

全社禁煙、トップが率先垂範

アタックスグループ 2015年6月24日
 

 厚生労働省が毎年、国民栄養健康調査で成人喫煙率の調査を行っている。2013年の統計によると、現在習慣的に喫煙している成人の割合は19.3%。性別では男性32.2%に対し、女性8.2%。この10年間、男女とも喫煙率は減少傾向にある。こうした流れもあってか、全社禁煙、喫煙者の不採用という方針を打ち出す会社が増えているように思われる。

 先日、訪問した神奈川県にあるシステム会社も、全社禁煙を進めた一社だ。ただ、同社が禁煙を開始したのは01年で、それ以前もオフィス内では、健康被害・火災防止などのため禁煙とし、喫煙場所は社外に設けていた。

 そこからさらに全社禁煙に進んだきっかけは、社内の非喫煙者からの声であった。

 「ミーティングが長引くと、喫煙者がすぐたばこ休憩をとるので、そのたび待たされ、さらに長引く」「喫煙所にいるときに、重要な電話がかかってきてもつなぐことができない」「社員旅行や懇親会などで喫煙者と非喫煙者を分けなければならず、十分なコミュニケーションが取れない」-などといったものである。

 これらの声に耳を傾け、当時ヘビースモーカーだった社長をはじめ、全社員が参加する会議の中で「オフィス内はもちろん外でも禁煙する」という全社禁煙が決まった。

 ただし、いきなり全社禁煙を始めたわけではない。徐々に喫煙者を減らすため、さまざまなルールを準備した。そのいくつかを紹介すると、まず「7分ルール」(喫煙所に行く前に、自分のデスクに旗を立て、タイマーを7分にセットし、それ以内に戻ること)を設けた。時間をオーバーしたら、ペナルティーとして1000円を支払う。7分の根拠は喫煙場所に行き、たばこを1本吸い、直ぐ戻ってくる時間を測った結果だという。次に喫煙場所にいる間に、その人に電話がかかってきたら、ペナルティー1000円を支払う。こうしたルールに違反して、支払われたお金は懇親会の費用として寄付されることが決定されていた。

 これまで喫煙していた社員たちからも「こんなに忙しい思いをするならたばこをやめよう」「いつ、お客さまから電話があるかわからないから、たばこをやめるようにしよう」という声が出始めた。

 実際に、社員の喫煙率低下にも表れ、2000年当時30%以上いた喫煙者が、06年には4%に。そして11年に0%になったのである。

 全社禁煙が達成されたのは、社内全体で、喫煙者を減らす取り組みをしたこともはちろんだが、より大きな要因となったのは、ヘビースモーカーだった社長が率先して禁煙に取り組み、成功した姿を社員に見せたことだった。

 社長は「会社のトップに禁煙の意識があるかどうかが、全社禁煙へ移行する上で最も必要なこと」と話してくれた。

<執筆>

アタックス研究員・坂本洋介 
2015年6月24日「フジサンケイビジネスアイ」掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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