知恵の経営

第42回

「社員の幸せ」一番に考える

アタックスグループ 2015年10月28日
 

 東京商工会議所の「勇気ある経営大賞」第1回受賞企業の一つ、生活の木(東京都渋谷区)は、世界50カ国以上から原料を調達し、さまざまなハーブ・アロマテラピー製品を企画、開発、製造、販売している。先月中ころ、面談した重永忠社長は、経営にますます自信を深めていると実感した。重永社長に聴いた内容から、企業経営を考えてみたい。

 1つ目は、毎年9月1日(同社は8月決算)の経営方針発表会。前期の報告と優秀店舗・個人の表彰、新年度の方針を説明する。全社員に配る経営方針書は、重永社長が最も重要な方針(ビジョン)に関わる部分を作成。部門レベルは、150部門から年度計画と収支計画が上がってくる。同社に「ノルマ」という言葉はない。重永社長はトップとして会社が向かうべきビジョンは示すが、具体的な展開は部門に委ねている。

 2つ目は、利益の3分の1を全社員に支給する業績連動型「決算賞与」。利益3分法で決算賞与、内部留保、先行投資と3分の1ずつ処分し、賞与は赤字部門にも支給する。原材料調達から販売まで「オール自前主義」、各部門の連係プレーで初めて良い成果が出るという、重永社長の発想による。

 3つ目は、重永社長自らが積極的に関与する採用活動。社員一人一人が輝く「人財」でなければならないと考えている。

 直近の採用では3000人がエントリーし、1000人が会社説明会に参加、第6次までの面接を経て9人が入社した。大手の内定を断る学生も多いようだ。トップ自ら説明会で熱く語る事業内容、社会貢献、社員への信頼、誇りの持てる社風-に共感した優秀な学生が入ってくることが想像できる。

 ユニークなのは入社前の長野県での合宿研修。何をするのか事前には伝えず、4日間でチームビルディングとは何かを徹底して教えるようだ。この合宿を終えると、社員は“家族の一員”として認められる。入社辞退者はゼロである。

 重永社長の経営は『「社員の幸せ」を一番に考える経営』で、社員を家族とみなす経営である。それをやり抜く首尾一貫、言行一致の姿勢がある。

 石油メジャーのロイヤル・ダッチ・シェルは1980年代に長寿企業を調査した。その結論は4点。(1)環境変化に敏感である(2)事業の独自性と社員の結束力がある(3)分散的に経営され自由度がある(4)財政的には保守的である。

 生活の木は、この条件にピッタリの会社であり、長期的に発展する企業だと確信している。

 
 

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顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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