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マネジメントを再考してみる 前編<現場マネジメント>

第12回

現場マネジャーとは課長のこと?上位マネジャーとは?

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤 伸夫

 
「また一つ、聞いても良いでしょうか?」

「もちろん、どうぞ。」

「以前に、MCSではマネジャーを2種類に分類していると仰っていました。」

「そうだ。現場マネジャーと、上位マネジャーだ。」


現場マネジャーとは課長のこと?

「現場マネジャーとは、課長のことですか?その上位のマネジャーとは、次長以上のマネジャーのことですか?」

「いやいや、そういう切り分け方ではない。」

「でも、以前に現場マネジャーとは『マネジメントの中でも、行動に直結した、現場の働きを促し円滑化させるマネジメントを行うマネジャーたち』だと言っておられましたよね。それにぴったりと当てはまるのは、我が社で言えば課長たちなのではないですか?」

「確かに、現場で働く人々に直接に向き合って指示などを行っているという意味では、そうかもしれないな。」

「そうでしょう。」

「でももう一つ、上位マネジャーとの対比の中で考えて欲しいんだ。」

「上位マネジャーとは『経営戦略などを策定して展開しているマネジャーたち』のことでしたよね。」

「そうだ。よく覚えていたな。」

「覚えていなかったら、また何を言われるか、分かりませんからね。」


上位マネジャーを集団として捉える

「ちょっと寄り道をしてみよう。上位マネジャーという言葉があったが、これは社長のことだと思うか?」

「いえ、そうではないようですね。」

「じゃあ、取締役のことか?」

「主に取締役かもしれませんね。でも、執行役員も入っているような気がします。もしかしたら、事業部門長あたりも入っているかもしれません。」

「なかなか、良い答えだ。」

「私は、誰が上位マネジャーか決め切れていないんですよ。それなのに良い答えだなんて。」

「決め切れていないから良いんだよ。」

「上位マネジャーとは、曖昧な概念だということですか?」

「いや、上位マネジャーの概念ははっきりしている。先ほど説明してくれた説明に加えてもう一つ、『経営戦略という抽象的な情報を、現場が動けるような具体的な情報にブレークダウンするというマネジメントを行っているマネジャーのこと』と、説明したよな。」

「確かに、覚えています。」

「中川課長の答えが良いと言った理由は、上位マネジャーとは複数の階層にまたがる存在ではないかと中川課長が感じているようだからなんだ。」

「そうですか。でも私としては、現場マネジャーとの対比で『上位マネジャー』と言ったときには、当然に複数の階層が含まれると思ったからだけなんですけどね。」

「ケガの功名というやつか。でも、それだけじゃない。『経営戦略という抽象的な情報を、現場が動けるような具体的な情報にブレークダウンする』というマネジメントは、一人のマネジャーだけで、若しくは一つの階層のマネジャーだけで、できるものではない。複数の階層にまたがったマネジャーが協力して、できることなんだ。」

「なるほど。」

「ならば『現場マネジャー』も複数の階層が含まれると考えて、いいじゃないか。」

「そうなんですね。」


幾つかの階層で現場マネジャー業務を担っていく

「現場マネジャーについて、前回にもう一つ、『製品・サービスの実現に関わるマネジメント』と、『製品・サービスの実現プロセスを経営戦略に沿って変えていくマネジメント』を行うマネジャーたちだと説明したよな。」

「はい。」

「これらの役割を、課長だけで担えると思うか?」

「いや、それは・・・。」

「上位マネジャーから提示された経営戦略について考えてみよう。それは現場部門に何をすべきかを示す程度には具体的だが、現場で働く人々の一人一人が何をすべきかを個別に示すほどには具体的な情報ではない。しかし、現場で働く人々が成果を出すには、各々のやるべきことがしっかりと分かっていなければならない。」

「そうですね。」

「こういう場合には、どうしたら良い?」

「課長が、現場で働く人々の一人一人が何をすべきかを個別に示のですね。」

「そうだ。一方で、その具体的な指示が、経営戦略とマッチしているかをチェックしなければならない。ずれているようだったら修正・調整しなければならない。それを課長だけができるかな?」

「そのような役割は、経営戦略を担当した上位マネジャーに近いマネジャーにやってもらった方が良さそうですね。我が社では部長だと言えるかもしれません。」

「つまり?」

「『行動に直結した、現場の働きを促し円滑化させるマネジメント』という仕事を、複数のマネジャーたちが共同で、協力しながら担っていけば良いということですか。」

「そうだ。『現場マネジャー』とひとくくりに言うが、そこには『現場で働く人々に密着してマネジメントするマネジャー』と、『上位マネジャーとの連携を担うマネジャー』もいる。それが全体として現場マネジャーの役割を担っているんだ。」

「我が社の場合で言えば、部長から課長までが『現場マネジャー』に該当するんですね。」

「そう言えるだろう。」

 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫

「世界の先進国では日本だけが一人負け」という話を聞くことがあります。世界が日本を羨んだ “Japan as No.1” からまだ40年ほどしか経っていないのに、当時、途上国といわれていた幾つかの国々の後塵を拝している現状です。

それを打開する方法の一つに、マネジメントを高度化していくことがあると思われます。日本のホワイトカラーの生産性は先進国では最低だといわれていますが、逆に言えば、マネジメントを改善すれば成果を飛躍的に伸ばすことができる可能性があります。

筆者は Bond-BBT MBA でMCS(マネジメント・コントロール・システム)論を学んで以来、マネジメントでもって企業の業績をあげる方法について研究してきました。マネジメントを合理的に考え直し、システムとして組み直すのです。StrateCutionsで行うマネジメント支援の理論的背景や方法論を、お知り頂ければと考えています。


Webサイト:StrateCutions

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