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マネジメントを再考してみる 前編<現場マネジメント>

第27回

現場マネジャーの役割(連携)(前編)

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤 伸夫

 
「現場マネジャーの役割について、お聞きしているところです。前回、現場のパフォーマンスを向上させることについて、お聞きしました。突き詰めて言えば、それが全てで、他にはないような気がしますが、そうではないのですか?」

「現場がうまく仕事をしてくれて、要求された成果をきちんとあげてくれる。それは必要条件だが、それだけで会社として満足できるだろうか?」

「それではいけないのですか?」

「自分の仕事でパフォーマンスを上げるために、セクショナリズムに陥ってもか?」

「それはいけませんね。協力し合う部門同士で連携してもらわなければなりません。」

「そうなんだ。会社とは、一人ではできない仕事を分業により達成しようとする壮大なる仕組みと言える。それは時には、とてつもなく多くの人びと、もしくは人々がグループとしてまとめられた組織内のセクションが連携して実現するものだ。」

「確かにそうです。私たちの会社も約3,000人の人々、2つの工場、4つの部門が連携して機能しています。これらが協力しなくては、会社として高いパフォーマンスをあげることはできません。」

「そうだな。今、2つの工場と4つの部門と言ってくれたが、それは私たち本社の、それも比較的高いポジションにいる管理職の感覚だ。現場で働く人々の感覚でいうと、もっと細分化した部署と一緒に仕事している。つまり、非常に沢山の部署の関係者と連携しているという訳だ。」

「そうですね。」


他部門との連携

「ここで頭の体操だ。俺たちが工場で研磨を担当している部署にいるとする。誰と連携している?」

「私が新人時代に水道器具の研磨課に配属されていたのをご存知だったのですね。直接の連携先といえば、上流工程である鋳造工程、下流工程であるメッキ工程でした。」

「他には?」

「研磨剤を調達してくれていた購買部門、機械器具の修繕等を担当してくれていた工場保安部などがあります。」

「そうだな。他には?」

「時々、生産管理部や品質管理部から検査が入っていましたね。当時はその意味が分かりませんでしたが、我が社の製品を一流に保つには重要な役割です。」

「本当にそうだ。他には?」

「もうそろそろ、ないですかね。」

「スケジューリングは?」

「そうでした。生産計画課のお世話になっていました。というか、生産計画課の尻拭いをしてあげたとも言えるかもしれませんが。」

「君たちの、というか、私たちの能力や他の仕事との兼ね合いを考えながら、お客様の要望とをスケジュールという形で繋いでくれているとも言えるぞ。もし現場が『それ、できませんよ』という度に営業が顧客に『スミマセン、社内で対応できないと言っているものですから』と答えたとしてみろ。顧客からはそっぽを向かれて、我々はすぐにおマンマの喰い上げだ。」

「分かっていますよ。ちょっと、言ってみたかっただけです。」


間接部門との連携

「こうやって考えてみると、実に様々な部署と連携していますね。」

「いや、まだまだだぞ。例えば残業の集計をしたり年末調整の書類を整えてくれる給与課がいなかったら、どうなると思う?」

「考えてみたくもありません。」

「間接部門の支援がなく、慣れない仕事を現場の働き手が自分でやらなければならないとしたら、実際に働く時間はどれくらい減るのだろう?」

「半分くらいになってしまうかもしれませんね。」


連携における現場マネジャーの役割

「そういう連携について、現場マネジャーはどのような働きをしているだろう?」

「スケジューリングについてを例えにすると、よく分かりますね。ある顧客から前倒し納品の要望があったので生産計画課が交渉にやってきます。それに対応するのが現場の課長ですね。」

「課長はどうする?」

「課内での仕事の進捗やメンバーの余裕、今後の仕事量や休暇の予定などを鑑みて交渉します。結構、長い時間をかけて交渉する場合もありました。ロットをバラして何度かに分けて納入しても良いか、顧客と相談してもらいながら調整した場合もありました。」

「課内との相談は?」

「もちろんします。『来週に予定していたAの仕事、今週木曜日までに終わらせられるか?どうしても終わらせなくちゃいけないみたいなんだ』と。」

「現場が無理だと言ったら、どうする?」

「さっきの仕返しですか?『じゃあ、どうしたらできるようになる?調整が必要なら、やっておくぞ。休暇の予定だったBさんには、変更を自分からお願いしておくよ。他に調整が必要なところはないか?』というでしょうね。」

「ご名答だ。連携を成り立たせるために外部と交渉し、部下と相談して指示を出す。そのために第3者との調整が必要なら、それも行う。それが現場マネジャーの重要な役割なんだ。」

 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫

「世界の先進国では日本だけが一人負け」という話を聞くことがあります。世界が日本を羨んだ “Japan as No.1” からまだ40年ほどしか経っていないのに、当時、途上国といわれていた幾つかの国々の後塵を拝している現状です。

それを打開する方法の一つに、マネジメントを高度化していくことがあると思われます。日本のホワイトカラーの生産性は先進国では最低だといわれていますが、逆に言えば、マネジメントを改善すれば成果を飛躍的に伸ばすことができる可能性があります。

筆者は Bond-BBT MBA でMCS(マネジメント・コントロール・システム)論を学んで以来、マネジメントでもって企業の業績をあげる方法について研究してきました。マネジメントを合理的に考え直し、システムとして組み直すのです。StrateCutionsで行うマネジメント支援の理論的背景や方法論を、お知り頂ければと考えています。


Webサイト:StrateCutions

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