マネジメントを再考してみる 前編<現場マネジメント>

第45回

現場マネジャーのマネジメント方法(ピープル・コントロール)(前編)

落藤 伸夫 2017年2月17日
 
「現場マネジャーが現場をマネジメントしようとする時、どんな方法を利用できるのか、というお話をお聞きしているところです。」

「アクション・コントロール、リザルト・コントロールに加えて、第3の方法を教えよう。ピープル・コントロール、すなわち働き手の性格・性質を利用してコントロールすることだ。」

「以前にお聞きしましたね。ピープル・コントロールというと、人を操ること、怖いことと捉えられそうですが、そうではないということでした。」

「よく覚えているな。では、どういうことなんだ?」

「いやー、そう言われると。改めてご説明ください。」


人の性質を活用してマネジメントする

「ピープルコントロールというのは、人の性質、『人とは、こんな時にはこんなふうに考え、行動するものだ』という考察に基づいたコントロールなんだ。」

「そうそう、そうでした。結構、心理学的なアプローチのようですね。」

「そうだな。俺が学んだ時はもちろん、経営学の一環として学んだけれど、アプローチとしては心理学に近いと思う。」

「人を操るのに心理学を用いるなんて、やっぱり怪しいのではないですか?」

「心理学の応用方法にはいろいろあるけれど、ことピープル・コントロールはまともなアプローチだと思うぞ。」

「思い出しました。メンバーに積極的に協力し合うようになって欲しければ、個室を与えるのではなく大部屋で一緒にした方が良いということがありましたね。」

「そうなんだ。心理学の応用というと、巷では『人の弱みに付け込む方法』とか「人を騙す方法』として使えると思われている節があるが、『やらなければならない仕事を気持ちよくやってもらう方法』とか『他の条件下では難しいことを楽々とやってもらう方法』として使うこともできる。ピープル・コントロールとは、そういうアプローチなんだと思うよ。」

「そう言われて、安心しました。」


ピープル・コントロールの2つのカテゴリ

「ピープル・コントロールは、実際にはどうやって行うのですか?」

「ピープル・コントロールには、大きく分けて2つのカテゴリがある。パーソナル・コントロールとカルチャー・コントロールだ。」

「パーソナル・コントロールとカルチャー・コントロールですか。このカテゴリの名前は、何を聞いても怪しく感じますね。」

「名前はそうかもしれないが、内容は怪しくないぞ。」


パーソナル・コントロールとは

「ではまず、パーソナル・コントロールから教えてください。」

「ある人は特に指示しなくても自発的に働いてくれる一方、別の人は強く指示しても思った通り働いてくれないという現象、職場ではよくあるよな。」

「ありますあります、そんなこと。」

「自発的に働いてくれる人たちは、どうして自発的に仕事してくれるのだろう?」

「義務感が強いからではないですか?」

「いかにも日本的だな。それもあるかもしれないが、義務感ばかりだと苦しくなるぞ。」

「確かに。とすると『仕事をするのは自分のため』という感覚でしょうか?」

「いいぞ、そんな感じだ。パーソナル・コントロールが目指す姿とは『従業員が自分のやりたいことを喜びながらすれば、自分の望むものが得られるのと同時に組織への貢献となる。自分が求めるものを得ると共に組織からも評価される喜びを原動力に、更なる意欲をもって仕事に取り組めるようになる」というスパイラルを形成することにあるんだ。」

「それは理想像ですが、具体的にどうするのですか?」

「適材適所、ジョブデザイン、そして教育・訓練がパーソナル・コントロールの3本柱になるんだ。」


適材適所

「人は、どんな職場でよく働き、成果をあげてくれるのだろうか?」

「それは働く人々によりけりでしょう。一般的な法則はないと思いますよ。」

「そうだよな。ある人は他人と接することが好きだが、別の人は自分一人で何かを作り上げるのが好きかもしれない。」

「またある人は、新しいことに挑戦するのが好きですが、別の人は決まった仕事を繰り返すことに安心を感じるかもしれません。」

「そしてまたある人は、ボーナスをあげると言われたら特別に頑張るけれども、別の人は自分は頑張っている・役立つていると実感することに喜びを感じるかもしれない。」

「そうですね。」

「これらのうちいずれかが価値があって望ましいとか、逆にどれかが価値がなく忌むべきと言うことはあるのだろうか?」

「それはないです。それぞれの性格が最も力を発揮する仕事があり、逆に適していない仕事があるということだと思います。」

「そうなんだ。だから自分に適した仕事を与えられた人は、特段に指示を与えられなくても創意工夫しながら頑張るようになる可能性が高いだろう。」

「逆に適していない仕事を与えられた人は、どんなに指示されてもうまく仕事ができない可能性がありますね。」

「だからこそ適材適所は、パーソナル・コントロールの中心になるんだ。」

「なるほど。」


ジョブデザイン

「でも、全てが全て、適材適所という訳にはいかないと思いますよ。」

「確かにそうだな。それに、適材適所ではなく、意外なポジションに異動させられて花開く場合も多い。」

「あります、あります。私も最初は人事ポジションは、あまり気乗りしませんでしたから。」

「そういう時、どうやったらうまく仕事できる?」

「自分の仕事をはっきりと教えてもらいつつ、時には自分の得手不得手などを踏まえながら調整できると良いですね。」

「そうだな。それは適切なジョブデザインがあれば、随分と実現しやすくなるだろう。」

「仕事の内容を明確にデザインして表現してあれば、誤解なく働けるようになるでしょうね。」

「そうだ。しっかりしたジョブデザインは、新参者にとっての指針となるだけでなく、在籍者にも今後のキャリアプランを考える方向性を示すものとなるだろう。」


教育訓練

「そして最後はお決まりの教育訓練ですね。」

「お決まりのって、どういう意味だ?」

「いや、最近の人事策といえば、教育訓練が代表格ですから。」

「中川課長は、どうして教育訓練が必要だと思うんだ?」

「だって、仕事してもらわなければ困るではないですか。」

「俺は、もう少し積極的に考えても良いと思うぞ。教育訓練によって仕事の遂行能力が向上し、楽しく仕事ができるというレベルを目指すんだ。」

「確かに、それが理想かもしれませんね。」

「仕事するために必要な能力が自分には欠けていると思うと、消極的にならざるを得ないだろう。教育・訓練はこれを解消してくれるんだ。」

「なるほど。分かりました。」

 
 
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プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫

「世界の先進国では日本だけが一人負け」という話を聞くことがあります。世界が日本を羨んだ “Japan as No.1” からまだ40年ほどしか経っていないのに、当時、途上国といわれていた幾つかの国々の後塵を拝している現状です。

それを打開する方法の一つに、マネジメントを高度化していくことがあると思われます。日本のホワイトカラーの生産性は先進国では最低だといわれていますが、逆に言えば、マネジメントを改善すれば成果を飛躍的に伸ばすことができる可能性があります。

筆者は Bond-BBT MBA でMCS(マネジメント・コントロール・システム)論を学んで以来、マネジメントでもって企業の業績をあげる方法について研究してきました。マネジメントを合理的に考え直し、システムとして組み直すのです。StrateCutionsで行うマネジメント支援の理論的背景や方法論を、お知り頂ければと考えています。

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