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株式会社イマジカデジタルスケープ 代表取締役 藤川幸廣氏
日本のクリエイティブ業界に変革を!

取材日:2011年9月15日

今年の4月にIMAGICA PDと合併し、イマジカデジタルスケープとして
  再出発しましたが、合併前と合併後と、どのような変化がありましたか?
 今回の合併で社員が500人弱増えました。このメンバーは全員、イマジカの各営業所で就業しています。
 弊社は合併以前からクリエイティブに特化した人材ビジネスを展開しています。映像制作というジャンルは、クリエイティブの中でも歴史が古く、プロが使う設備が必要ということもあり、一番人材育成が難しい分野でした。今回合併したイマジカグループは映像制作に関して日本で一番の設備を持っています。映像分野のプロの集団ですので、合併したことで、映像制作のクリエイターに対してより高いレベルの教育が確実にできるようになりました。
 一方、合併して新たに私たちの社員になったクリエイターたちには、私たちがもともと持っているトレーニング環境を使ってもらうことができるようになりました。彼らがいままですることができなかった研修が、私たちと一緒になることで可能になったのは大きな変化のひとつだと思います。
人材事業を柱のひとつとしていますが、クリエイティブ業界に特化した理由は?
 私が起業したのが16年前の1995年だったのですが、その当時、ちょうど映像業界はビデオがコンピューターに代わるタイミングでした。コンピューターをプラットフォームにした新しいソフトウェアが出てきて、それまでビデオの編集や制作などをやっていたクリエイターたちに、その当時の新しい技術が必要とされた時期でした。また、1995年というのはWindows95が出てきて、企業がインターネットのウェブサイトをどんどん作り始めるタイミングでもありました。もうひとつは、ゲーム業界でPlayStationが出たのもその時期で、3次元のゲームが家庭で使われるようになったという時代でした。しかし、当時ウェブ制作を出来る人や3Dのコンピューターグラフィックスの技術を持っている人が圧倒的に少なかったのです。
 ウェブとゲームと映像業界がコンピューター化されて3Dの波が来たというタイミングだったのです。当時、それらの制作技術を持ったクリエイターを市場が欲しがっていたのですが、そういった人材を供給するビジネスをしているところがどこもなかったのです。それを自分で始めた結果、特化しているということです。
 ですので、人材事業をする目的としてクリエイティブを選んだのではなく、始めから、市場のニーズに応えようとしたときに、それがビジネスモデルとしてクリエイターに特化した人材ビジネスになっていた、ということです。
現在最も注力している事業は?
 ゲームの制作事業です。私たちは人材ビジネスとしてゲーム制作者を日本で最も多く輩出し、供給している企業だと思います。
 私たちは一つのプロジェクトが始まると何十人というチームを形成し、クライアント側へ送り出してきたのですが、最近ではそれと並行して私たちのスタジオ内で制作をしてほしいという案件も増えてきていて、現在はそこの成長率が高いです。現在、弊社のゲーム制作事業は人材派遣の半分くらいを占める売上規模になってきています。
 作品としては今流行っているスマートフォンのゲームではなく、コンソールゲームの制作が主で、タイトルとしてもかなりメジャーなタイトルの制作に携わっています。現在もニーズが増えていて、先日ニュースリリースでも出しましたが、今回40人のクリエイター希望者を追加で採用しようとしています。
今後の事業展開はどのように考えていますか?

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 企業理念にもあるのですが、クリエイティブな業界で制作者たちの力をより強くしていくことの支援が我々のミッションです。私はプロフェッショナルなひとたちが作品を世に生み出すということがすばらしいことだと思っています。日本の製造業が海外に出ていく中、日本の産業の中でこれから最も重視されるものはクリエイティブだと思っています。別にゲームやCGだけの話ではなく、プロダクトデザインを含めてです。
 例えばフェラーリは新しいモデルを1000台くらいしか作りませんが、「作る」と言った瞬間に1000台全て売れてしまいます。家具で言えば、数万円で売っているソファがあるにも関わらず、カッシーナのソファは100万円でも売れています。イタリアではクリエイターたちのデザインによって「ブランド」が確立されていて、産業として成り立っています。しかし、日本のクリエイティブは何故か表に出てくる機会が少ないと思います。これからのアジア諸国との価格競争、生産能力競争の中で、日本のクリエイティブが評価されずに安くたたかれたら日本はまずかなわないでしょう。
 しかし、日本では能力の高い制作者がいても、彼らの作品を発表する場所がまだまだ少ないのです。いくつかコンテストのようなものはありますが、表彰するだけでその後のサポートがあるわけではありません。
 アーティストを育てていくということではなく「クリエイターの作品を生み出す能力」の強化を支援すると同時に、その作品が実際に収益に繋がるような道筋を作ってあげたいと思っていますです。そういった制作者、作品を世の中にプロモートしていくような仕組み、あるいはその作品を流通させる仕組みを作り、日本のクリエイターたちがもっと幸せになれる環境を作ることが私の夢です。

略歴

代表取締役社長 兼 社長執行役員就任 藤川 幸廣氏
1957年生まれ。

株式会社大沢商会、株式会社フォトロンを経て、映像制作業界に
携わり、フィルム、ビデオ、コンピューター・グラフィックスにいたる
映像制作システムの輸入、及び開発販売を手がける。
その中でシステムを使いこなす人材の需要が大きく高まることを捉え、
1995年に当社を設立し、 代表取締役社長に就任。
以後、デジタルクリエイターに特化した人材派遣会社として事業を展開。
2006年10月 株式会社マルチビッツ 代表取締役社長就任(現任)
2011年 4月 当社代表取締役社長 兼 社長執行役員(現任)

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