食品向けパッケージング:トップ評価の次世代材料は性能の向上に加え使用後の対策にも注力
次世代パッケージング技術としてトップ評価を得たのはミネラル添加物、リキッド・インフューズド・コーティング、真空断熱材(VIP)、ポリエチレンフラノエート(PEF)、その他、今後更なる開発が必要なバイオワックスやナノセルロースも要注目
先端技術の技術評価と市場分析を専門とする米調査会社ラックスリサーチ(本社:ボストン、www.luxresearchinc.com)は、食品向けパッケージング材料のイノベーション動向を調査し、『創意工夫:パッケージング分野の材料イノベーション動向(Thinking Outside the Box: Identifying Materials Innovations in Packaging)』と題したレポートにまとめました。
食品の流通において、パッケージング材料は重要な役割を担います。ただし、過剰な包装はゴミの増加につながり、環境への配慮を求める消費者の間では支持を得ることができません。そのため、材料メーカーや食品メーカーは、新鮮さ・安全性確保に必要な機能や性能スタンダードをクリアしつつ、同時に再利用性を高めるなど環境への配慮へも対応したパッケージング材料に開発に取り組んでいます。
本調査では、食品向けパッケージング材料分野におけるイノベーション動向を調査し、性能や技術の成熟度に加え、リサイクル可能性など使用済みの材料に関する対策も踏まえて評価しました。下記が調査結果の一部です。
・次世代パッケージング技術としてトップ評価となったのは、ミネラル接着剤、リキッド・インフューズド・コーティング、真空断熱材(VIP)、ポリエチレンフラノエート(PEF)です。
・炭酸カルシウムは再利用性が際立っている。
ミネラル添加物の中で、炭酸カルシウムは性能の面で突出しており、従来のポリマーに追加されると未使用樹脂の再利用可能性が高まります。ナノセルロース、イソチオシアン酸アリル、ナノクレイなどの添加物は再利用性が高いものの、性能の面で劣ります。
・食品・消費財大手は新たなパッケージング材料開発に注力。
コカコーラ、ペプシ、カールスバーグ、プロクター&ギャンブルなどは植物ベースのボトルを開発しており、また、デル、プーマはEvocative Designのキノコを原料としたパッケージングを利用しています。ユニレバーは軽量・再利用可能な材料を開発しています。
材料以外のイノベーションを取り込むことでより機能性の高いパッケージングの提供も可能。パッケージングのイノベーションに貢献するのは材料だけではありません。 リサイクル技術の進歩はパッケージ材料の再利用性を高め、またIoT技術は貨物やコンテナへと活用が可能です。また、プリントされたタッチセンサーなどのウェアラブルエレクトロニクス、スマートピルなどのデジタルヘルス・ウェルネス技術により、新たなフォームファクターのパッケージやよりスマートなパッケージを提供することも可能になります。
図: 先端包装材料を性能と使用後の対策も含めて評価
本調査を担当したラックスリサーチのリサーチアソシエート、ジハン・へワージのコメント:
『多くの次世代材料が開発されていますが、バイオワックスやナノセルロースは更なる開発が必要です。バイオベースのポリウレタン、スターチベースの複合物は長期的にはポテンシャルが高いと言えるでしょう。』
本調査レポートはラックスリサーチの先進材料インテリジェンスサービス及びバイオ材料・バイオケミカルインテリジェンスサービスにて提供しております。
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ラックスリサーチについてラックスリサーチは先端技術分野に特化したアドバイザリーサービスを提供する調査・コンサルティング会社(本社:米国ボストン)です。IoT、化学品・材料、ヘルスケア、エネルギー、農業、食品など多くの先端技術を調査対象とし、グローバルな視点での技術評価、アプリケーション別の事業性、政策・規制、ビジネスモデルを調査・分析しております。特に事業会社における成長戦略の一環である新分野・新事業参入やオープンイノベーション実現のご支援を行っております。詳細については弊社ウェブサイト(www.luxresearchinc.com)をご覧ください。
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戸口 久子 (hisako.toguchi@luxresearchinc.com)
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