価格競争から脱出。 ブランディングのレシピ

第6回

お客さんが他社でなく御社を選ぶ理由について  ~ USP ~

 

御社がお客さんに選ばれている理由は何ですか? 競合商品と比較して、もしくは、どうしても御社の商品/サービスがいいと思って選んでくれる理由を自ら理解しているでしょうか。お客さんが選んでいる理由を知らず勘違いして、変えてしまったら、きっとお客さんは違う商品/サービスを選ぶでしょう。 今回は、御社が選ばれる理由(これから選んでもらう理由)を明確化するステップについてご紹介します。

USP : Unique Selling Proposition

USPとは、自社(自社商品)のみが持つ、独特の強みのことです。他社や他社商品との差別化が行える、お客さんに対しての特有の提案を意味します。このUSPを明確にでき、自ら説明できることが営業の方には特に重要です。
けれど、このUSPは最初からあるものではありません。「特徴」というと、その商品/サービスが最初から持っている特性と考えがちですが、違います。USPは後からでも創り込むことはできます。この点を勘違いしている企業は意外と多いので注意が必要です。

USPの創り込み方

USPの創り込みは、「決める」「知る」「磨き込む」のスリーステップで行います。 この方法だけということはありませんが、私がブランディングサポートさせて頂く上で、もっともブレがなく効果的に進められると実感しているステップですので、ご紹介させて頂きます。

①決める
ポジショニング戦略の際にもご説明しましたが、まず、決めることです。何かを調べたりする時、目的、基準などが始めになければ闇雲の調査になりますよね。同様に、USPを創り込むにも、まず自らの基準、 ブランドコア(第2回コラムをご参考下さい)、重視すべきコンセプトを決めなくてはなりません。ここなしに市場調査、競合比較などを行ってしまうと、ブレブレで見せかけだけのつまらないUSPになってしまいます。まずは自分の主張を決めて下さい。

②知る
決めることができたら、続いて市場、競合を知るステップです。相手を知らずに自己主張だけしていても、受け入れられることはできません。お客さんが何を求めているのか、何を不満に感じているのか、何を大切にしているのか、何のためにその商品/サービスを利用するのか、こういったことを徹底的に調べます。そして競合、代替品の調査です。3C分析という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、基本は同じです。

③磨き込む
②で知ったことを、①で決めた自社の切り口(ナイフ)で磨き込むことでUSPは創り込むことができます。
ダイヤモンドのカッティングにも似ています。ダイヤモンドのカラー、カラット(重さ)、クラリティ(透明度)は自然によって育成された原石ごとに決まってしまいますが、それをどのようにカットするかは職人の腕しだいです。磨き込み方で、その商品は大きく変わります。その商品の特徴を活かすか、活かさないかはこのUSPの磨き込み方次第です。

ノウハウ・メソッド

USPの創り込み方についてご紹介させて頂きましたが、実際に行う上で大切なのはこれまでのコラムでもご紹介したPDCAのサイクルです。USPは、一度決めたら簡単には変更すべきではありません。ですが、輝かせ続けるには、定期的に磨き、メンテナンスはしていかなければなりません。環境、市場、お客さんは変化します。その動向を知り、適切なメンテナンスを行うことで、とんがって刺さるUSPとして維持することができます。

もう10%の細部へのコダワリが、そのUSPを強化します。
革新的な違いなんて、そうはありません。磨き込むことで、他には真似できない独自性が産まれます。チャレンジしてみて下さい。

次回は、「 見た目は、やっぱり大切 ~エクスターナルブランディング~ 」です。これまでのコラムではあまり触れなかった、ビジュアル面などを含めた外向きのブランディングについてご紹介します。

 
 

プロフィール

パートナーオブスターズ株式会社
代表取締役 星野 善宣

1979年生まれ、新潟出身。北海道大学工学部卒業後、大手専門商社にて海外(アジア市場)営業、中小企業向けコンサルティングファームにて業務変革、組織リストラクチャリングに従事。2007年1月パートナーオブスターズ株式会社設立、同社代表取締役。 スタートアップ/ベンチャー企業支援に特化した成長支援サポートサービス(ブランディング、広報PR、顧問サービス等)を提供。


地元新潟のベンチャーキャピタル取締役を2016年より兼務し、スタートアップによる地方創生にも取組む。


Webサイト:パートナーオブスターズ株式会社

価格競争から脱出。 ブランディングのレシピ

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