7月13日、東京・銀座の貸しホール。午後6時近くになると、50代や60代の男性らが続々と入ってきた。中高年のシニア起業家が集う「銀座アントレ交流会」の参加者だ。この日は約80人が集まった。
50代の男性がやや緊張した面持ちでマイクの前に立つ。「デジタル関連のコンテンツ制作を手がけています。ホームページ制作などの要望があれば、ぜひ、声をかけてください」。ほかに、健康食品製造販売、環境コンサルティング、物流サービス、広告・宣伝企画など異業種の起業家が次々と2分間で事業を紹介していく。
続いて行われた自由交流では会場のあちこちで商談や情報交換が繰り広げられた。その場で商談が成立することもある。印刷会社を経営する60代の男性は「数人から名刺のデザインと印刷の注文を受けた」と目尻を下げる。熱気に包まれた交流会は午後9時過ぎまで続いた。
「この交流会は3年前から始めました。今回が33回目で、いつも盛況です」。交流会を主催する銀座セカンドライフ(東京都中央区)の片桐実央(みお)社長が柔和な笑みを見せる。これまでに延べ約2500人のシニア起業家が交流会に参加した。事前に業種構成などを調整していることもあり、密度の濃いビジネス交流ができると評判で、1人当たり3件程度の商談があるという。
同社は、会社の設立準備から経営を軌道に乗せるまで、起業を一貫して支援する。毎月開催の交流会は、商談のほか、起業家にとって貴重な人脈作りや事業のパートナー探しを支援するために行っている。
「最近は、勤務先を定年退職してから起業する人が増えました。法律と会計の専門知識を生かして、今後もシニア起業家を応援していきます」
行政書士の資格を持つ片桐社長はきっぱり言う。次回の銀座アントレ交流会は8月26日に3周年記念企画として同じ会場で行われる。(川野智弘)
「フジサンケイビジネスアイ」