■ソフト作りの楽しさを子供に
ロボット教室では親子が協力しながらLEGOのブロックを使ってロボットを作り、動く原理を学ぶ
本棚やラジオ、ちりとりを作ったりするのが数十年前の中学の一般的な技術教育だったが、現在は様変わり。授業時間の半分は情報やコンピューター分野に充てられている。また、今年4月には学習指導要綱が変更。プログラミングによる計測制御の授業は、従来の選択から必修に切り替わる。この結果、7、8年後にはプログラム経験のある新入社員が配属されるようになり、日本企業のIT(情報技術)インフラは大きく進展することになる。
教科書の中身も大きく変化。ロボットの動かし方など、ソフトを学ぶ授業が中心となってくる。ただ、教科書だけで高度な知識を習得するのは難しくなり、ワークブックなどの補助教材が重要な役割を果たす。先生や生徒向けのこうした教材を作成しているのが、アフレル(福井市)。中高生向けだけではなく、大学生や企業のエンジニアを対象にしたカリキュラムも手がけている。
IT関連教育で、信頼を集めている理由の一つが、2000年から毎年行っている「親と子のロボット教室」だ。
親会社の永和システムマネジメントが同年に創立20周年を迎えたのが教室のきっかけ。「社会貢献活動に取り組みたい」という思いでスタートし、地元の福井では今や夏の名物行事として定着している。
ロボットはLEGOの玩具であるブロックを使って、プログラムを組み込み動かすというもの。「ソフトの仕事はなかなか理解されにくい。このためロボットを作る過程を通じ、ソフト作りを楽しく学んでもらう」(小林靖英社長)ことを主眼に置いている。子供はこうした発信側の思いを真摯に受け止めており、昨年には過去に受講した小学生が、社会人として永和システムに入社するといううれしいニュースが飛び込んだ。
ロボット教室は、自社だけの取り組みだけに収まらない。NPO法人(特定非営利活動法人)を立ち上げ、コンテストも開催。世界コンテストは30を超える国・地域が参加し、1万チームを超える小中高生が参加している。
日本のもの作りは、まずハードありきであった。しかし、小林社長はIT教育の普及によって「ソフトウエアから考えるもの作りが重要になる」と指摘する。ロボット教室を核に発展させてきた教育・研修関連事業を強化し、海外でも普及させていくのが今後の課題だ。(伊藤俊祐)
「フジサンケイビジネスアイ」