--地域、個人、中小企業支援が事業の柱だが、特に中小企業支援のビジネスモデルが注目されている
「金融自由化で銀行との業務の差がなくなり、信金は独自性を持たないと生き残れなくなった。約10年前、原点の相互扶助の精神に立ち返り、『お客様支援センター』という考えを打ち出した。『売り上げを伸ばしたい』『相談相手が欲しい』などのニーズに応える一方、金融機関しか持っていない企業属性などの貴重な情報を活用し、さまざまなサービスを生み出した。単純にお金を預かったり貸したりするだけでなく、問題解決型・提案型のビジネスモデルを実践している」
--具体的には
「販路開拓や技術提携を目指したビジネスマッチングや、情報交流の場であるイベントセミナーなど多彩だ。東京・新宿で開催したビジネスフェアや物産展など、1日に1000件以上成約を実現するなど、高い評価をいただいているイベントもある。社会貢献活動など公共性の高い事業を営んでいる企業などに対し、支店の空きスペースを安い賃料で提供するインキュベーションオフィスも好評だ。産・官・学・金融が連携して多方面から支援したり、中小企業診断士や税理士、会計士など専門家と提携し、優良企業がさらに強くなるための経営管理の手法を提案している」
--その結果、融資が伸びている
「互いがウィン・ウィンの関係になり、前向きな資金需要が生まれるからだ。それだけでなく、お客さまの資産管理にも力を入れており、必要なときに借りられる環境をつくることに気を配っている。経営の合理化を進め、競争力のある金利で融資できているのも要因だろう」(小島清利)
【プロフィル】落合寛司
おちあい・かんじ 1973年西武信用金庫入庫。2002年常勤理事、05年専務理事などを経て、10年6月から理事長。金融庁や経産省の公務にも携わる。神奈川県出身。60歳。
「フジサンケイビジネスアイ」