■インターン文化成熟で経済活性化
アイタンクジャパン・丹羽健二社長
欧米では、就業体験するインターンシップを通じて実績を残し、就職するのが半ば常識。一方、日本ではこうした制度自体がまだまだ確立されていなく、結果として雇用関連のミスマッチにもつながっている。インターンシップ求人メディア「キャリアバイト」を運営するアイタンクジャパンの丹羽健二社長は「インターン文化が成熟していけば、日本経済の活性化につながる」と指摘する。
--起業したきっかけを
「日本の大学生は外国に比べると、勉強時間は圧倒的に少ない。その部分を変えれば経済も変わっていくはずとの思いを抱き続けていた。着目したのが、月に平均で60時間にものぼる、アルバイトの時間。大半の学生が『切り売りする時間』ととらえているが『成長する時間』と認識するようになれば、学生の質が大きく変わるのではないか。そのように仕向けることがミッションだと思い、アイタンクジャパンを立ち上げた」
--具体的な業務内容は
「キャリアバイトというサイトを通じ、学生と企業のマッチングを行っている。累計で500社以上とつなげたが、このうち約9割がベンチャー系だ」
--インターンシップのメリットは
「社会との接点を設けることによって、学習意欲が促されるのではないか。事実、仕事で学んだ後に大学で勉強したら、『学びの質がまったく変わった』という意見が多数聞かれる。とくに長期実践型インターンを経験すれば、仕事の内容を深く知ることになり、企業と学生側のミスマッチが是正。就職活動がもっと楽になるのでは。実際の内定率も高い」
--キャリアバイト経由のインターンシップを機に、起業したケースもあるようだが
「65万ダウンロードを記録したアプリを開発した女子大生がいる。この実績に基づき、国から認定されたクリエーターとなり、数百万円の支援を受けて在学中に起業した。また、20代の起業家に尋ねたところ、55%が在学中にベンチャー企業でのインターンとアルバイトを経験している。インターン制度をうまく活用して優秀な人材を呼び込めば、起業が促進され、日本経済の活性化につながるはず」
--残念ながら、日本はインターン文化が脆弱(ぜいじゃく)だ
「欧州では、インターンの経験がない学生は就職できない。『こんな勉強をしてきました』で通用するのは、エッジの効いた研究者しかないのでは。日本でも、グローバル社会の進展や就職活動の繰り下げなどを機に、インターンの重要性が再認識されるはず。大きな追い風だと思っている」(伊藤俊祐)
【プロフィル】丹羽健二 にわ・けんじ 早大社会科学部卒。2008年サイバーエージェントを経てアイタンクジャパン設立、現職。29歳。愛知県出身。
【会社概要】アイタンクジャパン
▽本社=東京都渋谷区道玄坂1の18の2
▽設立=2008年7月
▽資本金=1000万円
▽事業=インターネットメディア運営事業
「フジサンケイビジネスアイ」