【Next Stage】ユニクエスト・オンライン・田中智也社長

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■葬儀など相場作り ITビジネスの基本

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ユニクエスト・オンライン・田中智也社長

 料金体系がわかりにくい葬儀ビジネスに、インターネットによる定額制葬儀「小さなお葬式」を投入し、事業を急拡大しているユニクエスト・オンライン。田中智也社長は「社会問題を明確にすることがIT(情報技術)ビジネスのチャンスだ」と語る。

 --「小さなお葬式」とは

 「低価格かつ、追加料金が発生しない定額制の葬儀を2009年秋から販売している。通常の葬儀社の場合、施設使用料、自治体によって異なる火葬料などが加算され、料金がわかりにくい。基本商品で通夜と告別式を行わない小さな火葬式は、17万8000円。告別式のみの『小さな一日葬』は33万8000円、通夜も入れた『小さな家族葬』は49万8000円。これらに戒名授与、読経などの寺院費用をオプションで付けている」

 --ITベンチャーが葬儀ビジネスに参入した理由は

 「店頭に行かなくてもモノの値段がネットで示されている時代に、葬儀の不明瞭な料金システムは変わっていなかった。元1級建築士による耐震偽装問題があったころにマンションの相談サイトを立ち上げた際、利用者が殺到した経験がある。相場が不透明な市場を探し、相場をつくることで社会問題を解決することがITビジネスの基本であり、チャンスだ」

 --需要はどうか

 「今期(7月末)の小さなお葬式の取り扱いは1万7000件を突破し、売上高は前期比で54%増になりそうだ。人は必ず死去するが葬儀費用がなぜ高いのか分からないという不透明な業界相場をイノベーター(革新者)として開拓できている」

 --経営を振り返って

 「2回の脱皮を経験している。最初は広告サイトとして運営し黒字を確保したが、葬儀業者がすべて横並びになってしまい『相場をつくる』という理念に反するのでやめた。もう一つは料金比較を行ったが思ったように伸びなかった。安ければ手抜き、高ければぼったくりと疑念を持たれ、相場形成にならなかったので打ち切り、今の形になった」

 --昨年末に業界大手のアルファクラブ武蔵野(さいたま市見沼区)傘下に入った

 「アルファグループの施設を有効活用できるなど、双方にメリットがあった。個人としてはやるべきことがだんだん少なくなってきた。社長業はしばらく続けるが、ゼロから1を作り出すことが理念だ」

 --今後の展開は

 「葬儀ビジネスのラインアップを固める一方、結婚式事業を展開する予定だ。さらに安い値段で商品を提供し、相場をつくっていくつもりだ」(平岡康彦)

【プロフィル】田中智也 たなか・ともや
 2002年関西大学文学部卒。大学時代に起業したIT系会社を退社し、06年8月にユニクエスト・オンラインを創業、現職。34歳。愛知県出身。

                   ◇

 ■会社概要
 ▽本社=大阪市北区中之島2-2-2大阪中之島ビル((電)06・6226・7863)
 ▽設立=2006年8月
 ▽資本金=9150万円
 ▽従業員=43人(13年6月)
 ▽葬儀の取扱高=45億円(13年7月期予想)
 ▽事業内容=「小さなお葬式」ブランドでのインターネットを使った定額制葬儀ビジネス、格安結婚式場情報サイトなどの運営

「フジサンケイビジネスアイ」

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