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城南信用金庫 理事長   渡辺泰志氏

中小製造業向け事業性資金を確保、情報面の支援も

事業承継問題やIT化、超低金利…。中小企業を主な顧客とする金融機関は自らの経営に加え、融資先の経営支援についても全力で取り組まねばならない状況下にある。こうした難局に対し、“公益に尽くす”という使命感から果敢に挑戦する城南信用金庫は、顧客に対する支援強化を打ち出している。6月15日に理事長に就任した渡辺泰志氏に当面の重点施策や今後の展望などを聞いた。
現状をどう見るか
「2016年度は、期末の預金残高が前期比385億円増、融資残高は304億円増と、それ以前に比べると増加幅は小さくなっている。しかし、営業エリアである東京都大田区や品川区に多い中小製造業者に対する融資などの事業性資金を確保するなどバランスのとれた融資を進めたことから内容的には悪くない。業務純益は前期比約1億円増の55億5000万円と微増だったが、東京都内の信金平均が16%減だったことを考えると、善戦していると思う。17年度は期末の預金残高350億円増、融資残高700億円増を目指すことにしている」
重点施策は
「15年度から“顧客の困りごとの解決”を支援する取り組みを始めている。今年度も、こうした施策をより一層強化していく考えだ。例えば、本店内に設置し、主に起業を支援する“なんでも相談プラザ”では、前年度だけで882件の相談が寄せられた。こうした窓口を通じた顧客支援は、地域との密着度を高める上、最近ではこれが融資などにつながるケースも出ている。これらは事業拡大を目指した活動ではないが、今後も相談プラザの積極的な利用を呼びかけていく」
創業支援は
「今年度は“創業支援施設”を開設することにしている。大田区内にある蓮沼支店の空きスペースを改築して活用。税理士や弁護士、ビジネスアドバイザーらが集まる相談プラザとも連携し、一貫した支援を目指していく。また大田区が羽田空港周辺で計画しているプロジェクトにも協力、地域の発展も支えていく考えだ」
将来に向けた課題や展望は
「20年には東京五輪・パラリンピックが開催される。これは経済活性化にもつながるが、五輪後のことも考えていかなければいけない。過剰な投資にならないよう注視する必要がある。五輪関連では、物販や飲食業の活性化が期待できそうだが、そうした分野に限らず、今後も製造業者向けの事業性資金を確保するなどバランスの良い運営を進めていく考えだ。特に、製造業では今後IoT(モノのインターネット)関連の投資などが求められてくることだろう。そうしたIoT化に向けた資金面の支援はもちろん、近くIoTセミナーも開催。情報面での支援も強化することにしている」
渡辺泰志 わたなべ・やすし
横浜市立大商卒。1983年城南信用金庫に入庫。2004年理事、08年常務理事。17年6月から理事長。58歳。東京都出身。

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