株式会社エスペシャリィ 代表取締役   小島彗来

チャレンジャーとしてIT業界をけん引

2008年設立のエスペシャリィは、システム開発や広報・PR、コンテンツといった事業を展開しながら、ラジオ番組制作・運営、ペット用品関連、遺伝子検査と新たな領域に進出。24年6月にはソフトウェア協会(SAJ)理事に就任した。活躍の場を広げる小島彗来代表取締役は「私はチャレンジャー」と強調。その上で「ITをトップレベルの若者が集まる業界にしたい。その一環としてITと何かを掛け合わせる『IT×〇〇』を創っていく」と意欲を示した。

――SAJ理事としてチャレンジしたいことは
女性経営者としての豊富な経験を生かし、ソフトウェア業界における多様性と発展に寄与していきたい。活動指針として女性経営者交流の活性化、新規女性経営者の獲得に加え、農業とITの融合を掲げた。IT業界に女性経営者は増えてきたとはいえ、まだまだ少ない。女性は子育てのため離職すると復帰が難しい。その期間が長くなるとIT技術の進歩についていけなくなるからだ。ただITはテレワークに向いており、活用すれば女性も活躍できるはずだ。そのための支援は惜しまない。
――急速な進歩を遂げているIT業界だが、日本の現状をどう見ているのか
米国では、巨大IT企業の GAFAM(Geogle、Amazon、Facebook=現Meta、Apple、Microsoft)の創業者のように、トップレベルに属する人材が起業してIT産業に果敢に挑む。日本のトップレベルは大学院や大手企業の研究部門に進むものの、研究を生かしてスタートアップを設立する起業家は多くない。そこで、ITに興味を持つ尖がった若者が集う創業支援施設を設けて研究から創業まで面倒を見たい。市場リサーチは協力できる。SAJの発展にもつながる。まずは自社で取り組み、成功させ、ITをトップレベルの若者が集まる業界にしたい。
――農業とITの融合については
農業人口が減少する中、農業のIT化を推進し、女性経営者の視点を活かした新たな価値の創出を目指す。その一環として「IT×農業」に挑む。コンテナなどを活用した省スペースでの水耕栽培を考えている。小規模なのでビジネスとして成り立ちにくいため、販売先の確保、たとえば生産物の買取モデルまでも範囲に入れた事業モデルを創造したい。また、こういった水耕栽培では水温と水質の管理も求められるため水循環システムが必要になる。ITとの相性がよいともいえ、ITの力で生産性を向上できる。このため中小のIT企業に参画してほしいし、障害者を雇用したい。農業に携わることで社会参加できるからだ。家庭菜園のように、誰もが楽しめる農業を目指す。
――障害者が農業分野で活躍することで社会参画を実現する農福連携を推進してほしい
IT業界で働くにはIT知識・技術だけでなくメンタルのコントロールも必要だ。仕事量が多いからで、心身の健康を害する人も少なくない。こうした人も誘って農業で社会参画してもらいたい。当社のエンジニアも定年後、水循環システムの管理などで活躍できる。
――ペット関連のビジネスとは
17年6月に、ペットと飼い主の幸せを追求する「ぺっとのきもち」(東京都渋谷区)を立ち上げた。捨てられたペットが殺処分されるテレビ番組を見て、自分に何ができるかを考えたのがきっかけ。出張で留守にすることが多いのでペットを飼うのは難しい。そこで殺処分されるペットを救う人たちを応援するため設立した。犬や猫の肉球をケアしたり、植物酵素で悪臭を退治したりするペット製品を取り扱うほか、コミュニティーFM局のラジオ番組を始めた。番組名は「ぺっとのきもち」で、レインボータウンFMで日曜日21時30分から30分間、獣医やペット専門家、愛好家など多彩な人をゲストに招き、ペット情報を発信している。保護犬・猫の譲渡会の開催情報などを伝えることで、ペットの殺処分を防ぐ。私たちはラジオ番組を制作・運営する「オレンジ・レスキュー」(同、11年9月設立)を持っているからこそできることであり、ペット情報のプラットフォームとして「IT×ペットの気持ち」に取り組んでいく。
――遺伝子検査とは
23年9月に買収により参画し代表取締役に就いた「DNA FACTOR」(福岡市中央区)の事業だ。子どもの潜在能力を発見する遺伝子検査キットを開発・販売している。子どもの特性を分析し才能を見つける。子育てでしてはいけないことは他人との比較。「うちの子は○○ができない」と考えるネガティブ母さんに育てられると、本来は明るい性格の持ち主なのに(劣等感が強い)「できない子」になってしまう。しかし子どもの特性が分かると、それを強みとして育てることができる。比較することもなくなる。遺伝子検査を子育ての一つツールとしてぜひ活用してほしい。
――遺伝子検査に首をかしげる人もいる
疑念や不審を抱いたり、批判的だったりする人は多い。しかし、私は評論家ではなく、チャレンジャー。遺伝子検査はこれから。査読(投稿された論文を、その専門家が読んで内容をチェックすること)により「こうした特性も検査で分かる」といった新たな情報を取り入れバージョンアップしている。遺伝子検査に批判的な人は、査読を繰り返しながら進化していることを知らないのではないか。子どもはみな、天才であり、可能性は無限だ。自分の強みを知り一番得意なことが分かると、それに率先して取り組む。子どもの才能を伸ばしてあげたい。遺伝子検査で可能性を知ることができる。

小島 彗来(こじま・けい)

株式会社エスペシャリィ 代表取締役
オレンジ・レスキュー合同会社 代表社員
ぺっとのきもち株式会社 代表取締役
株式会社DNA FACTOR 代表取締役

1985年より社員研修、司会、ナレーション、イベント企画制作などの仕事を始め、2008年にエスペシャリィを設立。
2011年、文化人のマネジメントとラジオ番組制作を行うオレンジ・レスキュー合同会社を設立。
2017年、 起業家育成セミナーと女性の自立支援をサポートする一般社団法人TAPを設立。
2019年、ペット関連の商品を開発販売をするぺっとのきもち株式会社を設立。
2023年、遺伝子検査キットの開発と分析をするDNA FACTORの事業を開始。

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