【ビッグデータ】破面写真のビッグデータを用いた破面特徴量の自動識別~経験が浅くても破面解析ができるようにするための手法~
立命館大学 理工学部 機械工学科 上野 明教授
■研究内容
工業製品の破断原因を解明する上で破面観察(フラクトグラフィ)は有効な手段の一つである。しかし、「延性破壊のディンプル(図1)」、「ぜい性破壊のリバーパターン(図2)」、「疲労破壊のストライエ―ション(図3)」のような破壊原因を特徴付ける破面形態を識別するためには、ある程度以上の経験を有する。破面の特徴量を抽出する方法として、フラクタル次元の有用性に注目した研究例は多いが、フラクタル次元では、異なる破面形態でも同じ値を示す場合もある。そのため、破面形態の違いの定量評価にもむすびつけることができる「リカレンスプロット」を用いた破面形態の識別方法を新たに提案する。
破面特徴量抽出方法
走査型電子顕微鏡(SEM)で観察・撮影した白黒破面写真上の任意の断面における「白黒濃淡度」を0~255(=2⁸=8ビット)の数値として抽出し、断面プロファイル線図を描くとともに、そのデータを時系列データセット{x₁,x₂、・・・,xn}として扱う。
標準的なSEM写真は、横1280画素×縦960画素であるため、1枚のSEM写真からデータ数n=1280個の時系列データセットを960本の各断面線上で抽出することにより、膨大な時系列データ(Ξビッグデータ)を取得できる。
セールスポイント
・走査型電子顕微鏡(SEM)へ実装することが可能な手法。
・ディープラーニングを用いることで、全自動破面特徴量抽出システムへ発展できる可能性あり。
・破面観察に携わる技術者や研究者のための、支援・トレーニングシステムを構築可能。
特許情報
特願2016-219778
研究キーワード
フラクトグラフィ・リカレンスプロット・自動識別・ビッグデータ・電子顕微鏡
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