資格試験を対象とした投稿型自主学習素材共有システムの開発
香川大学 創造工学部 創造工学科 教授 林 敏浩
■概要
情報技術の革新的発達によりe-ラーニングの利用が活発化し、特にネットワーク配信型のe-ラーニングは自由な場所、時間での利用が可能なため自主学習への利用が期待されています。しかし、学習内容に適した資料や演習問題、解説を準備する必要があり学習教材作成者の負担が大きく、十分な質、量が用意されていないのが現状です。
これらの課題を解決するのが学習者が自主的に学習教材を作成し共有する「投稿型自主学習素材共有システム」です。
林研究室ではシステムが扱う具体的な対象領域を「情報処理技術者資格試験」の対策学習とし、目標達成に向けた学習システム作成の提案と設計を行っています。このシステムは学習過程で指導者を指定せずシステムを利用するユーザー全員が学習者で、教材の不足をユーザー自身が解決するのが特徴です。したがって投稿される教材が学習者の立場でも作成可能なものに設定することが大切で、取り扱う素材を「多肢選択問題」の「一問一答式」としています。「多肢選択問題」の「一問一答式」は構造が簡潔で作成が容易であり、反復利用により知識確認が一つずつ行える利便性を持ちます。
例えば、複数の学習者が単語帳の単語カードの作成を部分的に担当し、それらの集合体を多人数で共有し学習を進めるというようなものです。
共有システムの学習対象領域はITパスポート試験、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験(午前問題)で、提供されるコンテンツは多肢選択問題の一問一答形式の問題群と利用情報です。また、共有システム利用のためのソフトウェア、学習コミュニティが学習を進める仕組みとして用意されています。
そして、コンテンツのジャンル分けが行われており、ジャンル別での学習を行うことができます。上記3つの試験の場合だとテクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の3つになり、それぞれの分野の素材の投稿、学習が可能です。
ソフトウェアは自主学習用と問題作成用の二つで、学習コミュニティは目的とする資格試験ことに用意され、利用する学生はその一つに所属します。目標達成のために他の学習者と協力しての学習が可能なことが学習コミュニティの特徴で、掲示板やメールなどのコミュニケーションツールが提供され、試験に関わる話題が話し合えます。ここでは互いの助け合いで問題解決が図られ、目的意識の共有で協調学習としての役割を果たしています。
※今研究は現在継続しておりません。
■利用が見込まれる分野
教育・学習支援業・福祉分野・インターネット関連サービス業