【seedsセキュリティ】高機能暗号技術と、IoTへの応用研究
長崎県立大学 情報システム学部 情報セキュリティ学科 教授 松崎 なつめ
■キーワード
・高機能暗号・検索可能暗号・IoT
■研究目的
IoT(Internet of Things)時代が進展し、車や家電などに設置されたカメラやセンサーから収集された情報を用いて人それぞれに合った多様なサービスが実現されようとしています。非常に魅力的で便利 な機能が期待できる一方、セキュリティやプライバシの脅威が懸念されます。これらを解決する中核技術の1つが、暗号技術です。本研究では、暗号化したまま分析や検索の処理が可能である高機能暗号をテーマとします。また、IoT機器での応用を研究します。
■概要
暗号化したまま検索できる「検索可能暗号」を対象として研究中です。検索可能暗号は、もとのデータを暗号化することで、データの持ち主のプライバシを守ります。高機能暗号の中でも最も実用化に近く、有用な技術ともいわれています。本研究では、ユーザ側の機器がIoT機器の場合を想定し、機器からの鍵漏洩や、機器や鍵の紛失が生じた場合に、漏洩した鍵を新しい鍵に更新可能な、「鍵更新機能付き検索可能暗号」の研究に取り組んでいます。方式の開発や安全性評価のみならず、実際のシステム導入に向けてのメリットと課題の分析、および課題の解決を研究します。
■用途・研究効果・実用化のイメージ
例えば、プライバシに留意が必要となる、IoTセンサー情報や、医療やヘルスケアに関連する情報などを対象に、本技術が導入されると考えられます。本技術を活用することにより、ユーザは預けるデータからのプライバシ漏洩の心配がなくなります。また、クライド側も管理コストを低減することができます。また、高機能暗号は、Fintechの基盤となるブロックチェーン技術においても、プライバシ保護のための要素技術として有望視されています。
■関連情報
・Hiroaki Anada. Akira Kanaoka、 Natsume Matsuzaki、 and Yohei Watanabe, Key-updatable public-key encryption with keyword search (Or: How to realize PEKS with efficient key updates for IoT environments), International Journal of Information Security, Vol.19、 2020.
・Hiroaki Anada. Akira Kanaoka、 Natsume Matsuzaki、 and Yohei Watanabe、 Key-updatable Public-key Encryption with Keyword Search: Models and Generic Constructions、 23rd Australasian Conference on Information Security and Privacy, July 11-13、 2018.
■お問い合わせ
長崎県立大学
URL:http://sun.ac.jp/