【VR】X-Realityによる学習、コミュニケーション支援
第一工科大学 渋沢 良太 講師・博士(工学)
■キーワード:バーチャルリアリティ、医療教育、人間拡張
■研究・地域連携活動の背景・目的
日本を含む世界各国では、少子高齢化等に起因する労働力の不足等の問題を抱えており、今後その問題は一層深刻になると予想されています。本研究室では主にコミュニケーションの支援、人の能力の拡張に取り組み、この問題の解決に貢献することを目的としています。
■期待される効果などアピールポイント
「高齢者と子供を繋ぐロボットサッカーゲーム」の研究は、日本ゲーム文化振興財団の令和2年度ゲームクリエイター助成制度に採択され、ご支援を頂きながら進めています。同研究では、高齢者と子供が一緒になって遊べるツール、場を作ることで、両者のコミュニケーションの機会を増やし、子供の教育、虐待の早期発見、高齢者の認知症防止等の実現に貢献することを目標にしています。
■研究・地域連携活動の概要紹介
先進国を始めとして世界的に少子高齢化が進展し、それに伴って認知症患者の数も増加し続けています。日本では2060年には、人口の約12%まで認知症患者が増加するという予測もされており、認知症患者の生活支援、介護支援をいかにして行うかが現在、未来に渡って重要な課題となっています。認知症患者を支えるためには、まず周囲の者が認知症患者がどのように世界を知覚しているのかを理解することが重要です。そこで本研究では、ユーザがヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着して、認知症患者が知覚している世界を擬似的に体験できるVRシミュレータを開発しています。予め作成したVRコンテンツのみを体験できるようにするのではなく、HMDの外側に付けたカメラ映像のリアルタイム画像処理により、現在いる空間や周囲の人を加工し、見当識障害、幻視等を疑似体験できるような技術の実装を目指しています。本研究の目的は、認知症患者およびその患者を介護する人の双方が一緒に過ごし、両者ともにより質の高い生活を行えるように支援することです。認知症患者の周囲の者には、認知症患者の言動の理由が分からず、悲しみや恐怖を感じる人たちも少なからず存在しています。症例について文献等を読んで一定の理解をすることもできますが、本システムを利用することで、より認知症患者の知覚について直感的に、具体的に理解できるようになることが期待できます。また、認知症患者の介護や看護を行う医療従事者の方々、学生が本システムを利用することにより、医療従事者の育成支援にも貢献することが期待できます。
■お問い合わせ
都築教育学園 第一工科大学 社会・地域連携センター
https://kagoshima.daiichi-koudai.ac.jp/