人々に癒しを与える赤ちゃんの匂いを調香しました
浜松医科大学 光尖端医学教育研究センター ナノスーツ開発研究部 特命研究教授 針山 孝彦 共同研究者:神戸大学 工学部 客員教授 尾崎 まみこ
■概要
香水に代表される香りは生活必需品として発展を遂げている。しかし、ヒト新生児の匂い物質の分析化学的解析、および、感覚心理学的効果や意味の基礎的な研究知見に基づく香料の研究開発は皆無である。我々は新生児が分泌する匂いの成分構成の生物・医学的重要性に着目し、これを化学的に解析・同定することに世界で初めて成功した。その新知見に基づき、新生児の匂いの成分構成を調香品として再現した。試作した調香品の効用は、感覚心理学的実験により人間にとって有効であることを確認した。
■想定される活用例
世界中の人々の日常生活におけるストレスを軽減し、心を癒す香りとして商材化が見込まれる。医学面では「産後うつや育児ノイローゼなどによる育児放棄を防ぐ」非侵襲的治療への活用も期待できる。
■補足事項
赤ちゃんの匂いはミルク臭に代表される甘い匂いとされているが、実際に新生児の匂いを科学的に測定してみると、草原のような「さわやかな」香りとでも表現したくなるような匂いであった。その香りは、爽快感だけでなく、なにかほっこりした気持ちにさせるものでもあった。この匂いによって、新生児を保護したいという情動が引き起こされている可能性が高い。
■Withコロナ
外出を控えるだけでなく、完全な「おこもり生活」によって社会から孤立を強いられている方もいる。外界と接触をしないので気晴らしできずデプレスされ、小さな子供も含めて家族全体に「きしみ」が生じている。そんな中、本当の赤ちゃん匂いをかぐことで情緒を安定させることの一助となる可能性がある。
■お問い合わせ
浜松医科大学 産学連携・知財活用推進センター 伊藤
itos@hama-med.ac.jp
053-435-2681