【食品】常在菌を意識して、美しく健やかに!
東京工科大学 応用生物学部 教授 野嶽勇一
■概要
腸や皮膚に生息する常在菌のうち、有用菌とされる乳酸菌や美肌菌の機能を利用して、常在菌全体を好ましい状態にするための研究に取り組んでいます。また、腸内細菌を整える食品を摂取することによって美肌づくりを促進するインナービューティー研究にも取り組んでいます。
■食品による腸内環境の改善
豆乳の乳酸菌発酵物やもろみ酢などの発酵食品に腸内細菌に含まれる有用菌を増加させるプレバイオティクス機能があることを見出しています。有用菌が優勢となって腸内環境が改善した場合、血液へ移行する有害菌産生物質が減少します。新陳代謝の盛んな皮膚はこの影響を受けやすく、皮膚状態の改善が期待されるようになります。この「腸から皮膚へ」の美容概念がインナービューティーです。最近ではマンゴーや生薬の応用にも取り組んでおり、「食べて美しく!」を目指しています。
■プロ/プレバイオティクスコスメ
当研究室で開発された美肌菌戻し法では「顔から採取した皮膚常在菌の中から美肌菌を選抜し、それを増やして基礎化粧品としたものを、自分の顔に塗布」します。美肌菌の定着量が増加するのに伴って、保湿の改善が期待されます。このプロバイオティクスコスメに加え、最近は生ゲルマスクにも注目しています。柔軟で平らなゲルは皮膚に高い密着性を示すため、美容成分が皮膚に効率良く移行します。また、防腐剤や不織布を使用していないため、美肌菌の増加や炎症の抑制の観点からも大きな利点があります。
■主な学会発表・論文・著書・社会活動
[1] 自分の皮膚常在菌を活用した新規スキンケア法の開発, フレグランスジャーナル, 41, 14-20 (2013).
[2] 乳酸菌生産物質の機能性と基礎化粧品への応用,フレグランスジャーナル, 42, 28-34 (2014).
[3] Pilot study on novel skin care method by augmentation with Staphylococcus epidermidis, an autologous skin microbe – A blinded randomized clinical trial. J. Dermatol. Sci., 79, 119-127 (2015).
[4] Improvement of lipid metabolism and ovalbumin-induced type I allergy by use of soybean milk fermented by 16 indigenous lactic acid bacteria. J. Food Nutr. Sci., 4, 113-119 (2016).
[5] スキンケア製品開発のための腸内フローラのメカニズムと応用, COSMETIC STAGE, 10, 64-71 (2019).
■キーワード
食品機能、スキンケア、インナービューティー、腸内細菌、皮膚常在菌
■お問い合わせ
東京工科大学 実践研究推進課 https://www.teu.ac.jp/karl/
〒 192-0982 東京都八王子市片倉町 1404-1
https://nodake-lab.bs.teu.ac.jp/