【高齢者関連】加速度センサーによるつまずき場所の特定
北海道大学大学院 情報科学研究科 情報理工学専攻 情報認識学研究室 教授 工藤峰一
転倒による重篤な怪我を避けるために予兆である“つまずき”の多い場所を普段の生活者の行動から探すシステムを検討した。サンダルに埋め込んだ加速度センサーによりつまずいたことを、天井の赤外線センサーネットワークによってつまずいた場所を特定する。
研究の内容
高齢者の緊急搬送の約8割は転倒事故だそうである(2014年東京消防庁調べ)。衰えた身体能力に意識が追いつかず小さな段差や履物、衣服につまずく。転倒を検出する研究は多いが実際に転倒を起こしてからでは遅い。そこで、よくつまずく箇所を検出して転倒を誘引する原因を予め取り除くことを考えた。ウェラブル(身につける)な装置は物忘れや装着への心理的抵抗に関して、監視カメラなどのノンウェラブル装置では死角やプライバシィの保護に関して問題がある。本研究では、普段履きのサンダルなどに加速度センサーをとりつけて“つまずいた”ことを検出する一方、連動して働く天井に設置した赤外線センサーネットワークでその箇所を特定する。実験では転倒は容易に区別できたが、つまずきを通常歩行から区別する精度は現状1/4程度であるため今後精度向上が望まれる。
社会実装への可能性
・独居老人宅やケアハウスなどで各個人に専用のスリッパなどを履いてもらうだけで、転び易い場所を特定して原因を排除することができると期待される。
産業界や自治体等へのアピールポイント
重要なことは、自治体などと協力して実際に高齢者の集まる現場で有効性を確認するとともに、問題点克服のためのフィードバックを得ることである。我々には実地試験をするだけの経験も財源もない。この天井設置赤外線センサーはプライバシィに配慮しつつ居住者になんら協力をもとめないため、躓き検出以外にも予防医療への広い応用が期待される。
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