【昭和大学特集】ブドウのワイン加工残渣の有効利用
昭和大学 医学部 生理学講座 生体制御学部門/統括研究推進センター 講師 塚田 愛
■シーズ内容・特徴など
ブドウのワイン加工残渣は電子授受能が極めて高く、カテキンやポリフェノールといった既存流通原料よりも抗酸化活性能の指標であるヒドロキシラジカル消去能が群を抜いて高かった(図Tsukada M,et al.PLoS One.2016)。
酸化ストレスが原因または関連があるとされる疾患のうち,関節リウマチ、日焼け、精神的ストレス等の動物モデルに対するワイン残渣の効果を検証した。関節リウマチモデルラットに投与したところ、鎮痛作用ならびに炎症性サイトカインの産生抑制作用が認められた。
日焼けモデルマウスに投与したところ、UV照射によるメラニンの産生、赤み(皮膚の炎症)の誘発が抑制され、日焼けからの回復も促進された。
また、精神的ストレス(社会的孤立ストレス)モデルラットに投与したところ、ストレスによるイライラ(攻撃行動)が抑制され、ストレス誘発に関与する視床下部オレキシンの分泌が抑制された。
これらの効果の作用機序の一端に、抗酸化活性能が関与しいるのではないかと考え、検証を続けている。さらに、ワイン加工残渣の独自製法について特許出願を準備している。ワイン加工残渣原料は、これまでの効果をさらに増強する傾向が得られている。
■応用
当該研究者は化粧品業界で10商品を超えるサプリメントなどの食品開発の経験がある。ワイン残渣は、コストや流通形態についても、既に検証段階にある原料である。最終商品の配合比率を想定し、コスト面でも現実的な濃度で実験を実施している。市場のポリフェノール原料よりも格段にコスト安となる。現在は経口投与の(サプリメントを想定した)実験を実施しており、臨床研究の準備も進めている。今後は外用の(化粧品原料)実験を実施することも可能である。更に、受注者プライベートブランド等のOEMサプリメントの開発も可能である。
■お問い合わせ
昭和大学統括研究推進センター 創造研究支援課
sangaku@ofc.showa-u.ac.jp