【学生シーズ特集】路面ライティングによる安心して走行できる自転車尾灯
電気通信大学 情報理工学域Ⅲ類化学生命プログラム 3年 加藤敬太
詳細内容
・はじめに
2015年の道路交通法の改正により、自転車は歩道と車道の区別のある道路では、車道の左側に寄って通行しなければならないという原則が再周知された。よって、私は下宿先の柴崎のアパートから電気通信大学までの通学時はできるだけ車道を走るように心がけている。しかしながら、電気通信大学前を通る甲州街道(国道8号線)は交通量が多いうえに幅員が狭く、通学時に身の危険を感じることが多々ある。特に日没後の下校時によく現れる数十センチ横を猛スピードで通り抜ける自動車には毎度驚かされ、歩道に退避しようか悩まされる。また、自動車を運転する側になると夜間時の自転車が後方反射板の光は小さく、弱く見落としやすいことに気づいた。このような体験から自動車から気づかれやすく、かつ自動車を適切な側方間隔をとれる走行位置に誘導する自転車用テールライトを開発する。
・走行中自転車への追突事故の現状〈1〉
走行中の自転車への四輪車による追突事故の致死率は4.7%と出会い頭や右左折時といった他の事故条件時の8~20倍と他に抜きんでている。また、走行中の追突事故の自転車側の違反なし率も82%と抜きんでている(図1)。走行中の追突事故の死亡事故の72%は夜間に発生しており(自転車全体の死亡事故では夜間が39パーセント)、85%が四輪運転者の前方の自転車の見落としによる発見遅れが原因となっている。つまり、走行中の追突事故は安全運転を心がけルールを守る私達自転車運転者にとっても死につながるリスクであり、夜道で目立つことで四輪運転者に見落とされない事が重要である。
・路面ライティング
最近の東京モーターショーやCEATECで新しい交通安全システムのひとつとして「路面ライティング」〈2(図2)〉〈3〉がよく展示されている。これは自動車から路面に予測進路や停止の合図などを投影することで方向指示器などの旧来の運転手間のコミュニケーションを超える情報共有を行うというものである。本製品では、路面ライティングを自転車のテールライトに応用しようと思う。
・実装方法
自動車で用いられる路面ライティングでは主にプロジェクタを用いて、複雑な情報を路面に提示する。しかし、自転車テールライトでは小さくて電池が長持ちすることが重要視されるので、狭角高輝度赤色LEDを用いてドットラインを以下の2つの目的にしぼって、図3のように投影する。
”適切な側方間隔をとるように自動車を誘導する“
自転車の右後ろにドットラインを引き、適切な側方間隔をとるように車に促す。適切な側方間隔とは、自動車教習所で習う「自転車を背面から追い抜く場合、安全な側方間隔(1.5メートル以上)をとって走行する」に倣う。
“発光面の増加により自動車からの認知されやすくする”
自転車のサドルの下の一点で光るだけでなく、路面にライティングすることで発光面を増やし自動車から見落とされないようにする。また、加速度・ジャイロセンサーを内蔵し、カーブ時やブレーキ時に自動車のテールランプのように点滅し後続する自動車に伝える。電源は小型モバイルバッテリーか乾電池を考えている。
・挑戦したいこと
自転車用テールライトなので雨の日も使えるように防水化。他の都会に住み、幹線道路を通って通勤通学をする安全を求める人たちにも使ってもらいたい。
【実装計画】
6月2日~6月5日 プロトタイプ制作
6月6日~6月15日 試用及び改良
6月16日~6月19日 3Dプリンターなどで外装の制作(図4)
6月21日~ ものづくりコンテストでフィードバックをもとに改良。防水化を試みる。クラウドファンディングなどで販売してみたい。
参考文献
〈1〉 イタルダ・インフォメーションNo88(財)交通事故総合分析センター、https://www.itarda.or.jp/itardainfomation/info88.pdf
(参照2018-05-28)
〈2〉【東京モーターショー15】三菱電機が提案する「路面ライティング」がおもしろい!
https:cliccar.com/2015/10/25/334935/2(参照2018-05-28)
〈3〉【CEATEC2017】 近未来のクルマは路面が光る!?小糸製作所がコミュニケーションランプの「コーナーモジュール」を出展!!
https://www.excite.co.jp/News/car/20171009/Autoblog_ceatec-2017-koito.html(参照2018-05-28)
※図1、2、4に関しては産学連携推進協会のサイトを参照ください
【お問い合わせ】
さらに詳しい内容は、一般社団法人産学連携推進協会へお問い合わせください。