【ストレス・メンタルヘルス】「ストレスや痛みを癒すタッチング(手当て)の効果」
桜美林大学 リベラルアーツ群 山口創教授
その作用機序について、2つの側面から探求している。
第1は脳内ホルモンのオキシトシンである。オキシトシンは視床下部で産生され下垂体後葉から血液中に送られ全身に作用を及ぼす。その作用は末梢では心拍や血圧を低下させ、ストレスから体を守る作用をもつ。さらに脳内に分泌されたオキシトシンは、養育者との愛着や共感に大きな影響を及ぼし、ストレスによるHPA軸の機能を抑制する効果ももつ。筆者は特にタッチングによるオキシトシンの分泌についての研究を行っている。
第2は触覚の官能的作用である。皮膚にはさまざまな種類の触覚受容器が存在するが、その中で最近になって情動に関わるC触覚線維という受容器の存在が明らかになった。この受容器は秒速5cm程度のゆっくりした速度にのみ反応し、快の感情を喚起させストレスを癒す効果がある。またこの受容器はアロマのように嗅覚で快を感じたり、笑顔を見て視覚的に快を感じると、触れられた触覚の快も増大することもわかっている。筆者はこの神経のリラックス効果など心に与える影響について研究している。
リラックスの指標としては、心理的指標の他、唾液中のαアミラーゼ、オキシトシン、自律神経、脳機能の測定などの生理的指標についても行っている。
~著書~
平成15年 『愛撫・人の心に触れる力』 NHK出版
平成16年 『子供の「脳」は肌にある』 光文社
平成22年 『皮膚という「脳」』 東京書籍
平成24年 『手の治癒力』 草思社
平成25年 『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』 さくら舎
平成25年 『幸せになる脳はだっこで育つ』 廣済堂
平成28年 『人は皮膚から癒される』 川島書店
平成29年 『子育てに効くマインドフルネス』 光文社
平成29年 『皮膚は心をもっていた』 青春出版社
平成30年 『皮膚感覚から生まれる幸福』 春秋社
~講演~
・幸せになる脳は肌にある
・子どもの脳は肌にある
・触れることの意味を探る
・触れるを科学する
桜美林大学 リベラルアーツ学群
山口創教授
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