1.【協業の概要】
製薬業界向けCRM/SFAに特化したシステム開発及びインターネット関連システムの開発、企画運営、プロモーションサービスを手がける株式会社ミュートス(本社:大阪府大阪市 代表取締役社長:佐藤 正晴 以下、ミュートス)と、Yahoo! JAPANグループである株式会社IDCフロンティア(本社:東京都新宿区 代表取締役社長 石田 誠司 以下、IDCF)は、本日、製薬業界向けクラウド型データウェアハウス*1(以下、DWH)分野で協業することを発表いたします。
本協業に基づきミュートスは、ビッグデータ分析基盤サービス「Yahoo!ビッグデータインサイト」上でクラウド型のDWH「Medical DMP」を構築し、8月からサービスの提供を開始します。「Yahoo!ビッグデータインサイト」は、ビッグデータの収集、保存、分析に必要なインフラをパッケージし、IDCFのデータセンター及びクラウドサービス上で提供するサービスです。
2.【業界における背景】
医療ビッグデータに関するサービスやシステムの需要は年々増加しており、医療向けe-プロモーションサービスの分野においては、市場規模が2025年には372億円と、2014年比で2.6倍になると見られています*2。製薬業界におけるCRMシステムも年々高度化しており、いまやMR(Medical Representative)活動の日報報告システムという枠を超え、製品情報サイト(企業Webサイト)・講演会・Web講演会など様々なチャネルを統合して分析し、医療関係者に対する自社薬剤のマーケティング・プロモーションの主軸となるシステムとして利活用されるようになってきました。さらにチャネルミクスの統合にともない、トラッキング対象のデータソースが増え、そのデータ量も爆発的に増大しています。製薬業界では増え続けるデータを蓄積・分析する基盤としてDWHの構築が必須となっており、多くの企業がハードウェア/ミドルウェアの調達やエンジニアによる開発などに大規模な投資を行っています。
3.【提供サービスの特徴と訴求ポイント】
「Medical DMP」は、オンプレミス型DWHと比較してシステム構築費を初期投資額で10分の1以下に、投資総額で2分の1以下に抑えることができます。さらにチャネルミクスの数やデータ量に応じた従量課金や、分析規模に応じたスモールスタートも可能です。とくに従来のクラウド型DWHでは、データの保存先が海外の場合、セキュリティ面で不安要素がありましたが、IDCFが国内の自社データセンターで一貫運用するクラウドサービスをインフラに採用することで、オンプレミス型と同等のセキュリティを確保できるようになります。
ミュートスは製薬業界向けにCRMを提供していく上で①チャネルミクスの多様化、②肥大化するデータ量、③製品・マーケティング戦略の加速化の3点を課題として捉え、容易に開始でき、安価に大量のデータを維持できる「カジュアルな」データ蓄積プラットホームとして「クラウドDWH」を推進しています。今回の「Medical DMP」においては、(国内企業顧客が多いため)提供地域が日本国内であること、JavaScriptタグやtd-agentをはじめとした多彩なコレクタが標準装備され、容易にデータを収集できること、そして信頼性が高く、セキュリティに優れたIDCF国内データセンター上でDWHを展開できることを評価し、「Yahoo!ビッグデータインサイト」を採用しました。
IDCFは、データセンター事業を基盤としたクラウド事業の拡大を推進しており、クラウドでデータを処理するだけでなく、「データ集積地」(データも集積するセンター)となるべくビジネスモデルの変革を進めています。自社データセンター及びクラウドサービスやビッグデータ分析サービスを生かし、さまざまな業種やサービスなどで蓄積されるデータの有効活用や、お客さまのITインフラ利用に革新をもたらすサービスの提供に取り組んでいます。
ミュートスとIDCFは、今後も医療・製薬業界におけるDWH及びDMP*3分野で協業を進めてまいります。
4.【用語解説】
■Medical DMPについて
「Medical DMP」は、「Yahoo!ビッグデータインサイト」上に展開された「製薬業界向けクラウド型DWH」です。「Medical DMP」は製薬企業内で発生する多用なチャネルミクスデータを蓄積する「データレイク*4」として機能します。今後、製品情報サイトを横断的に分析することができる「Medical Analytics」や製薬業界におけるプロモーション・マーケティング施策をチャネルミクスからAIを利用して自動的に分析・サジェストする「Medical DMP Insight」を提供する予定です。
■Yahoo!ビッグデータインサイトについて
「Yahoo!ビッグデータインサイト」は、ヤフー株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:宮坂 学)のクラウド型のビッグデータ分析基盤サービスで、米国トレジャーデータ社(本社:米国カリフォルニア州、CEO:芳川 裕誠)のクラウド型データマネージメントサービス(DMS)と、インフラ基盤にIDCFのクラウドコンピューティングサービスである「IDCFクラウド」及びクラウドストレージである「オブジェクトストレージ」を採用し、Hadoopなどの分散処理システムを組み合わせたデータ分析エンジンを構築しています。データは国内のデータセンターに蓄積され、オンプレミスやクラウドとの閉域網接続、また、ビッグデータの収集や保管と高速な分析および可視化がWeb経由の操作やAPI*5で可能です。
■*1 データウェアハウス(DWH)
直訳すると「データの倉庫」という意味で、企業活動で蓄積された大量のデータを利用者のニーズに応じて活用(情報を引き出したり・分析したり)できるようにするためのシステム。近年ではビッグデータ活用において注目され、企業内外に散在するデータを活用しやすい形に集約でき、分析ソフトウェアなどとセットとなっているシステムが多くなってきている。
■*2 株式会社富士経済「医療ビッグデータに関連するサービス、機器、システムの国内市場を調査」(2016年4月27日)
■*3 DMP(データマネジメントプラットフォーム)
顧客情報や自社Webサイトのアクセス履歴、また、インターネットサービスの利用者動向など様々なデータを取得・蓄積し、それらを統合的に分析する基盤。
■*4 データレイク
多種多様なデータ形式を飲み込んで貯めておけるような広大な領域。データの形式を問わず、既存の業務システムにある構造化データのみならず、ログやセンサーデータ、GPS情報など非構造化データも含まれる。
■*5 API(アプリケーションプログラミングインターフェース)
プログラミングの際に使用できる命令や規約、関数等の集合の事を指す。ソフトウェア開発の際、一から全てを作るより、APIを利用すればもともとあるプログラムを呼び出して、その機能を組み込んだソフトウェアを開発することができる。