東京商工会議所に開設されている「東京都中小企業再生支援協議会」(会長=石井卓爾・東京商工会議所特別顧問)では、平成15年から18年に再生計画の策定支援を完了した69社に対し、完了10年後の追跡調査を実施いたしました。
本調査は、平成15年~18年にかけて、窮境状態にあり再生計画策定支援に取り組んだ69社を対象に、企業及びメインバンクへのヒアリングにて実施したものです。当協議会の支援を受けた企業の約7割にあたる49社が順調な経営状況(債務超過解消もしくは継続的な経常黒字)に回復し、うち39社(56.5%)が債務超過を解消して窮境を脱していることが明らかになりました。一方で、不安定な経営状況が続く企業は13社(18.8%)、倒産等で破綻した企業は7社(10.1%)でした。69社のうち約9割の企業が、現在も事業を続けており、従業員の雇用を継続し地域経済に貢献をしています。【表参照】
また、抜本再生となる債権放棄等の支援を受けた企業29社は、10年後の生存確率が100%で、自力再生型(23社)とスポンサー型(6社)ともに、1社も倒産していないことが確認されました。【図参照】
なお、当協議会では、平成15年の設立以降、多くの中小企業の相談を受けており、平成29年3月末時点で3,400件の窓口相談(1次対応)を受け、そのうち620社について再生計画策定支援(2次対応)まで完了しています。
中小企業再生支援協議会事業は、設置から早や15年を経過し、平成30年3月に時限立法の期限を迎えます。同事業の延長に向け、改めて、中小企業の会員が多い「商工会議所」が本事業を実施する意義を確認すべく、本調査を実施いたしました。
▼詳細はこちらからご覧になれます▼
http://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=107969
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(参考)中小企業再生支援協議会について
中小企業再生支援協議会(以下、協議会)は、産業競争力強化法127条に基づき、商工会議所等の認定支援機関を受託機関として、全国47都道府県に1ヶ所ずつ設置されています。事業再生に関する知識と経験とを有する専門家(金融機関出身者、公認会計士、税理士、弁護士、中小企業診断士など)が常駐し、窮境にある中小事業者からの相談を受け付けています(1次対応)。再生計画策定支援(2次対応)では、公正中立な第三者としての立場から、企業の事業面、財務面の詳細な調査分析や企業が窮境に至った原因の分析等を実施し、企業の再生計画案の策定を支援するとともに、金融機関に再生計画案を提示し、金融機関調整を実施しています。
≪支援の流れ≫
窮境にある中小企業者からの相談(1次対応・無料)
↓
再生計画策定支援(2次対応)
↓
金融機関に再生計画案を提示し、金融機関調整を実施
中小企業において民事再生法等の法的整理手続の利用が減少している中、協議会の利用は増加しています。協議会の支援は、私的整理手続であるため、手続きの対象となる債権者は原則として銀行や信用金庫等の金融機関に限られ、支援する企業名も一切公表されません。一般の商取引債権者を含める民事再生等の法的整理手続とは異なり、風評被害のリスクは少なく事業の毀損を回避できるため、中小企業の再生に有用と言われ、多くの企業からご利用いただいています。
(㈱東京商工リサーチによる「民事再生法」適用企業の追跡調査(2000年度-2015年度)では、民事再生法の適用を申請した企業の生存企業が29.1%に過ぎないとの結果もでています。)
なお、中小企業再生支援全国本部から公表された資料によれば、平成27年度に全国の協議会で再生計画策定した企業では、「滞納税金と滞納社会保険料計約36億円の解消」と「281件の事業承継」に繋がっており、協議会事業が中小企業の再生のみならず、事業承継や納税などの役割も果たしています。
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【東京都中小企業再生支援協議会】
設置: 東京商工会議所(認定支援機関)
設立日:平成15年3月18日
所在地: 東京都千代田区丸の内2-5-1 丸の内二丁目ビル5F
事業再生に関する知識と経験とを有する専門家(金融機関出身者、公認会計士、税理士、中小企業診断士等、現在13名)が常駐し、東京都内の窮境にある中小事業者からの相談を受け付けています。
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