新入社員の受け入れにあたっては「新人の気持ちに寄り添いながら指導したい」と思う一方、
自身が社会人としての仕事の進め方に慣れていると、「新人たちがなぜ悩んでいるのか、理解できない」
という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
新人たちが学生時代の意識から脱却し、一人前の仕事ができるようになるまでには、様々な「壁」が待ち受けています。
見守る立場の上司や先輩方にとって、新人が何に悩んでいるのかを知っておくことは、
適切な助言を与えて成長を促すうえで大変重要です。
そこで今回は、「インソース商事」(仮)に昨年入社した新人、太郎さんと花子さん(どちらも仮名)が
ぶつかってきた「3つの壁」を先輩の言葉とともにお伝えします。
「先輩の言葉」は、実際に指導する際の声掛けやアドバイスの参考にしていただければ幸いです。
<2人がぶつかった3つの壁>
◆1.ビジネスマナーの壁
◆2.コミュニケーションの壁
◆3.業務管理の壁
◆1.ビジネスマナーの壁
太郎:「社会は多様性を重視しているはずなのに、なぜ画一的なマナーを学ばなきゃいけないんですか?」
花子:「電話応対や名刺交換は何度練習してもあたふたしちゃう。敬語の使い方も難しいし、職場で実践できるか不安......」
~~~先輩の言葉~~~
ビジネス上の立ち居振る舞いにおける「一般的な型」を身につけた方が、仕事がしやすくなりますよ。
なぜマナーがあるのか考え、何度も練習と実践を重ねることが大事です。
学生時代は「個性」や「自分らしさ」を大切に過ごしてきた皆さんにとって、マナーに則った服装などは
窮屈に感じるかもしれません。しかし、改めて考えてみるとなぜ多くの社会人がビジネスマナーを身につけ、
実践しているのでしょうか。
当たり前のことですが、仕事は一人でするものではありません。組織に属していればなおさらです。
一緒に仕事をする相手がどんな人か、気になりますよね?あなたが気になることは、当然相手も気になります。
あいさつ、名刺交換、電話応対などのビジネスの基本ができているかどうかでその人の印象は大きく変わります。
初めて会った相手でも、共通の「型」に則った振る舞いができていれば、悪い印象を与えることなく、
サッと仕事の話を進められます。
一度「マナーができてないな」と思われれば信頼を取り戻すのは至難の業です。相手を不快にさせず、
「一緒に仕事がやりやすい」と信頼を感じてもらえるようになることが、ビジネスパーソンとしての第一歩です。
また、ビジネスマナーは「型」を覚えただけでは、実際にできるかどうか、花子さんのように
不安になるのは分かります。大事なのは、相手のことを考える気持ちと、失敗しても落ち込まず
次にどうすればいいかを考え、何度も練習と実践を重ねることです!
もし「これでいいのかな?」と迷ったときは、上司や先輩のビジネスマナーを参考にしましょう。
普段近くにいる先輩の振る舞いを真似したり、自分の知らなかった敬語表現をメモして覚えたりすることで、
自分のマナーに自信が持てるようになりますよ。
●関連リンク
(新入社員・新社会人向け)ビジネス基礎研修~学生から社会人への意識と行動改革編(2日間)
https://www.insource.co.jp/bup/bup_shinjin1.html
(新入社員・新社会人向け)ビジネスマナー研修
https://www.insource.co.jp/bup/naiteisya_manner.html
◆2.コミュニケーションの壁
花子:「分からないことがあるので教えてほしいけど、先輩も忙しそうだから、仕事中に声をかけるのは申し訳なくて......」
太郎:「上司に質問したら、"それで君はどうしたいの?"と言われてしまった。気軽に聞いちゃダメですか?」
~~~先輩の言葉~~~
分からないことは積極的に質問するべきです!大事なのは『タイミング』と『聞き方』です。
仕事を始めたばかりで、分からないことがあるのは仕方がありません。
積極的にホウ・レン・ソウ(報連相)しましょう!「相談したいけど、相手(上司・先輩)は忙しそうだ」
「今話しかけるのは申し訳ない」と遠慮して、業務上の不安をそのままにしておいては、いつまでも正解が
分からないばかりか、成長にもつながりません。そこで、質問するときには、話しかけるタイミングや
聞く内容をよく吟味しましょう。
その際のポイントが3つあります。
[1]何について聞きたいのかを明確にする
上司や先輩に、相談する前にまずは自分なりに考えてみたうえで、何が聞きたいのか端的に
伝わるような聞き方を工夫しましょう。「教えてもらうのが当たり前」といった姿勢では、
上司や先輩も教える意欲を失ってしまいます。
忙しい上司や先輩が、「それでいいよ」と一言で返せるような相談ができるといいですね!
【例】
×「先日送ったメールに表記の誤りを見つけたのですが、どうすればよいでしょうか」
○「先日送ったメールに表記の誤りがあったので、すぐに訂正して再送したいと思いますが、よろしいでしょうか」
[2]普段から「話しかけてもいいサイン」を見極めておく
まず初めに、重要なトラブルが発生した時は何をおいてもまず相談しましょう。
それ以外の場合は、上司・先輩の日頃の仕草や行動をよく観察して、
そこから「話しかけてもいいサイン/話しかけてはいけないサイン」を見つけておくといいですよ。
【例】
上司の習慣は午前9時までにその日のToDoリストを整理することなので、
緊急でなければそれ以降に話しかけるのがよい
[3]クッション言葉を使う
クッション言葉はあとに続く言葉や主張の「聞こえ方」がマイルドになったり、
いきなり話しかける衝撃を和らげたりする効果があるフレーズです。
相手に迷惑をかける場合、あるいは何かを依頼する場合には、配慮ある伝え方が必要です。
「申し訳ございません」や「恐れ入ります」など、クッション言葉によって相手への配慮を表し、
柔らかい印象を与えることで、良好な関係を構築できます。
【例】
「申し訳ございません。以前、教えていただいた件ですが、やり方が分からなくなってしまいました。
恐れ入りますが、もう一度教えていただけますでしょうか」
上司に求められなくても自発的にホウ・レン・ソウをするなど、日頃から質問しやすい関係性を
築いておくと、なおよいですね。相手の時間をいただいていることを忘れず、ホウ・レン・ソウの
後には必ず感謝の意を伝えましょう!
●関連リンク
(新入社員・新社会人向け)コミュニケーション研修~デキる「ホウ・レン・ソウ」
https://www.insource.co.jp/bup/bup_newcomer_communication.html
(新入社員・新社会人向け)配属前研修~現場のコミュニケーション力を身に付ける
https://www.insource.co.jp/bup/bup_office-communication.html
(新入社員・新社会人向け)仕事の進め方研修~チームワークとコミュニケーション
https://www.insource.co.jp/bup/shinjin_shigoto_comu.html
◆3.業務管理の壁
花子:「業務を依頼されることが増えてきたけど、何から手をつけたらいいか混乱します。
パニックになっちゃうとミスも増えてしまい......」
太郎:「もっと仕事を覚えたいし、勉強もしたい!でも忙しくて時間が取れないのが悩みです」
~~~先輩の言葉~~~
仕事の全体像を把握し、優先順位づけをして時間をやりくりしましょう!
効率よく、かつ質の高い仕事をするためには、自分の仕事の全体像を理解したうえで、
何から取り組めばよいか優先順位をつけ、スケジュールを立てることが重要です。
<全体像を理解する4ステップ>
【STEP1】前後のつながりを意識したうえで、仕事の目的を明確にする
すべての仕事には、前工程と後工程があり、その先にはお客さまがいます。
自分の仕事が組織にとって「何のための仕事なのか」、「なぜこの仕事をやらないといけないのか」
考えましょう。そこから求められる成果を逆算することで、「何をどれだけやればいいのか」という見通しが立ちます。
【STEP2】成果物・得るべき結果のイメージを具体的に持つ
仕事を進める前に成果物をイメージしておきます。QCDRSを明確にすると効果的です。
Q(Quality:サービス品質)
C(Cost:コスト)
D(Delivery:納期)
R(Risk:リスク)
S(Service/Sales:サービス/セールス)
【STEP3】仕事を洗い出し、優先順位をつける
ひとつの仕事には、多くの「やるべきこと」があります。必要な「やるべきこと」を洗い出したうえで、
どれから着手するか優先順位をつけましょう。
仕事の優先順位を決めるには、自分の仕事の重要度と緊急度を整理することが重要です。
●緊急かつ重要な仕事 (締め切り直前の仕事やクレーム対応 など)
●緊急ではないが重要な仕事(業務改善、人間関係づくり など)
●緊急ではあるが重要ではない仕事(突発的な社内提出資料、突然の来訪 など)
●緊急でも重要でもない仕事(長時間の電話、待ち時間 など)
自分で仕事の重要度と緊急度を意識する癖をつけることが大切ですが、判断できない場合には上司に相談しましょう。
【STEP4】スケジュールを立てる
やるべきことを洗い出したらそれぞれにかかる所要時間を見積もります。
トラブルが起きた際の予備時間も見込み、余裕のあるスケジュールを立てましょう。
スケジュールを立てたら周囲に報告しましょう。自ら退路を断つと同時に、
「これ以上新たな業務をお願いしない方がいいかも」と周囲の配慮も得られます。
すでに手一杯であるにも関わらず、上司から別の業務を頼まれたら、依頼された段階で
「その仕事は急ぎですか」「今抱えている〇〇があるので、明日でもよろしいでしょうか」などと
確認するようにしましょう。
仕事を管理して限られた時間を効率的に使えるようになると、自己研鑽のための時間を
捻出できるようにもなります。成長のための頑張りどころですね。
●関連リンク
タイムマネジメント研修~仕事を効率的に進めるための時間管理を学ぶ
https://www.insource.co.jp/bup/bup_sonota8.html
新人フォロー研修
https://www.insource.co.jp/bup/bup_shinjin5.html
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ぜひ、貴社の新人へのご指導の際に、今回の「先輩の言葉」をお役立ていただけますと幸いです。