2023年09月のAI事情まとめ

０．前置き

イノベーションズアイ読者の皆様。

株式会社ANGEWORKの代表を務めている桐生と申します。

当サイトにて、技術情報や占いに関するコラムを掲載させて頂いております。

前回に引き続き、AIを取り巻く経過状況をお伝えします。

内部的な技術やテクニックを記載することもできますが、敢えてそれを避けました。

アウトラインや把握すべきポイントを俯瞰的にまとめ、ビジネスパーソンに役立つ情報としてまとめました。足が速い記事のため、皆様が検索できるようキーワードも掲載します。

１．ChatGPTの状況

ChatGPTを始めとした「生成系AI」はバリエーションが増加する一方です。

雑多にならないよう、ここではChatGPTに絞ります。

１－１．Android版の提供

Android用ChatGPTが日本でも利用可能となりました。

スマホ版の利用開始時期は以下となっています。

・iOS版：

　2023年5月19日

・Android版：

　2023年7月26日（英語圏）

　2023年7月28日（日本語）

１－２．GPT4の性能劣化？

海外大学の検証データで、GPT4性能低下が報道されました。

性能の低下は（データ）ドリフト現象と呼びます。

https://arxiv.org/pdf/2307.09009.pdf

https://www.wsj.com/articles/chatgpt-openai-math-artificial-intelligence-8aba83f0

OpenAI側は、特定問題に限る現象であり、全体的には向上したと否定しました。

個人的にも、数学に関する点で多少の低下があるように感じられます。引き続き、人間が最終確認する必要があるという認識が必要な状況です。

検索キーワード「ChatGPT4 性能低下」

１－３．追加：コードインタプリタ

2023年7月よりPlus向けに追加されました。

ソースコード等をアップロードし解析等を手伝います。

・解析・リファクタリング（構造改善、書き直し）

・バグ探査、メモリ削減、速度向上等の最適化

・ドキュメント生成

・プログラミング言語変換（c→Python等）

・セキュリティチェック

・JSON/CSV/等の分析・グラフ化

ビジネスに欠かせないアプリやシステム開発のソースコードの品質向上、開発・デバッグ速度に効果を発揮します。開発業なら導入によるコスト改善等が見込めます。

◇グラフ化サンプル　出典：https://gs.statcounter.com/

検索キーワード「ChatGPT コードインタプリタ」

１－４．変化：Web検索停止と代替策

2023年7月3日、著作権問題等を理由にChatGPT4のWeb検索機能停止を発表しました。

2021年9月までの情報をベースにしているため、実質の性能低下です。

再開予定とのことでしたが、記事公開時点でも状況は変わりません。

しかし、Plusならプラグインで代用可能です。

ストアのプラグイン候補一覧。

検索で「Web」と入れると、Web機能を補助するプラグイン一覧が表示されます。

以下が、GPT4にWeb検索を入れるメジャーなプラグインです。

・WebPilot

・Now

・Mixer Box News

・BrowserPilot

・BrowserOP

プロンプト次第ですが、本家以上の精度で収集が可能です。

有料プランを契約されている方はお試し下さい。また、現時点で800を超える様々なプラグインが発表されており、SEOから業務の自動化まで可能性が広がります。

記事の要約、関連情報、アンテナ張り等、ビジネスで役立てることは十分可能です。

◇WebPilotでの外部サイト検索例

検索キーワード「ChatGPT plugins」

１－５．追加：Custom instructionsで厳しく制御

2023年7月からCustom Instructionが追加されました。

簡単に言えば、出力結果を制御する事前条件設定のようなものです。

操作の度に毎回細かく指定するのは煩雑であり、一度出した指示が記憶できれば利便性が大きく向上します。

そしてこの機能は８月に無料化されました。

有効化方法:

iOS & Android:

　設定 -> アカウント -> カスタムインストラクション -> トグルをONにする。

Web:

　chat.openai.comでチャットの設定を開き、両方のフィールドにテキストを入力して保存することで、チャットの設定を有効にします。

■サンプル１：教師向け

カスタムインストラクション：

私は中学校の数学の教師です。私の回答は、中学生が理解しやすい言葉で、具体的な例を用いて説明してください。

プロンプト：

平方根について説明してください。

期待される応答:

平方根とは、ある数を自分自身で掛けると指定された数になる数のことを指します。例えば、9の平方根は3です。なぜなら、3×3=9だからです。同様に、16の平方根は4です。中学生にとっては、平方根は数の"元の形"を見つける方法と考えることができます。

■サンプル２：ビジネスパーソン向け

カスタムインストラクション：

私は新興企業のCEOで、日々の業務での意思決定や戦略的なアドバイスを求めています。提案や回答はプロフェッショナルで具体的であることを好みます。

プロンプト：

新しい市場に進出する際のリスクを評価する方法を教えてください。

期待される応答:

新しい市場への進出は大きな機会をもたらすことができますが、それにはリスクも伴います。以下は、新しい市場に進出する際のリスクを評価するためのステップです：

1. **市場調査**: まず、ターゲットとする市場のサイズ、成長率、競合状況を詳しく調査します。

2. **文化的な違い**: 異なる地域や国に進出する場合、文化や消費者の行動の違いを理解することが重要です。

3. **規制と法律**: 新しい市場の規制や法律に関する調査を行い、コンプライアンスを確保します。

4. **財務リスク**: 進出初期の投資コストや運営コストを評価し、ROIを予測します。

5. **供給チェーンの課題**: 供給チェーンの確立や管理に関するリスクを評価します。

6. **競合分析**: 既存の競合企業や新規参入の可能性を分析します。

これらのステップを通じて、新しい市場への進出のリスクを詳しく評価し、適切な戦略を策定することができます。

検索キーワード「ChatGPT Custom instructions」

１－６．ChatGPT5登場の可能性

今年後半から来年に掛けてChatGPT5が予定されています。

登録商標も申請済みのようです。

https://tsdr.uspto.gov/#caseNumber=98089548&caseType=SERIAL_NO&searchType=statusSearch

公式からは年末予定のアナウンスがありましたが、実質来年かと思われます。

まだまだ手作業やテクニックが必要なGPTがどう進化するかが期待されています。

検索キーワード「ChatGPT5 release date」

今回はここまでです。

気軽に、AIを活用してみませんか？

「次回予告」

ChatGPTよりも使い勝手が良い競合チャットAIと、専門家の仕事を奪う生成系AIジャンルの解説。