2024年上半期 インターネット上で悪評・クレームが多い上位10業種を発表
10,750社のクレームを分析、1位は通販を営む無店舗小売業
~ECでは商品の発送、対面販売では接客態度や対応力にクレームが集中~
AI与信管理サービスを提供するアラームボックス株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:武田浩和、以下「当社」)は、この度、10,750社を対象に、2024年上半期にSNS等インターネット上で投稿された各企業に関連する口コミや評判の中から悪評・クレームを抽出し「2024年上半期 インターネット上で悪評・クレームが多い上位10業種」を集計しましたので発表します。また、業界ごとの悪評・クレームの内容を解析し、頻出単語の集計をしましたので合わせて発表します。
※頻出単語の図表は添付のPDF、もしくは下記URLからご確認いただけます。
https://alarmbox.co.jp/allnews/information/20240822-chosa06/
◆悪評・クレームの業種別ランキング
第1位 無店舗小売業
第2位 宿泊業
第3位 医療業
第4位 各種商品小売業
第5位 鉄道業
第6位 その他の小売業
第7位 通信業
第8位 機械器具小売業
第9位 飲食店
第10位 洗濯・理容・美容・浴場業
※悪評・クレームの詳細な数値は添付画像のランキング表、PDFにてご確認いただけます。
※業種は総務省の日本標準産業分類を参考に区分けを行っています。
※具体的な業態は<調査結果詳細>の中で記載しています。
◆調査背景
スマートフォンやSNSの普及に伴い、誰でも手軽に情報の発信や収集が行える時代となりました。消費者庁が発表した「消費者意識基本調査(※3)」によると、様々な情報収集手段がある中でSNSを情報収集目的で活用している人が84.1%と最も多いことから、多くの人がSNSから情報を得ていることがわかります。このことから、企業はSNSやインターネット上にある悪評やクレームなどの書き込みが事業に悪影響を与えないよう、適切なレピュテーションマネジメントを行い、社会からの評判を維持・向上させる必要があると言えます。
これらを背景として、アラームボックスは、AI与信管理サービス「アラームボックス」の提供を通して得た膨大なネット上の口コミから、インターネット上で悪評・クレームが多い業種やその口コミの傾向を定点調査しています。社会情勢と悪評・クレームの関係性の考察や、クレームに頻出する単語を発表することで、企業がレピュテーションマネジメントに取り組むきっかけとなること、企業活動や与信管理における定性情報の重要性と活用法を啓発していくことを目的として、本調査の実施と発表に至りました。
※3:消費者庁 2022年6月7日「消費者意識基本調査」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/research_report/survey_002/assets/survey_002_220607_0005.pdf
◆主な調査結果(サマリー)
ネット上に存在する口コミ情報などの定性情報を業種別で分析した結果、ECや店舗を運営する小売業、ホテルや旅館等を運営する宿泊業、美容医療やエステなど美容関連の業種に悪評・クレームが多く発生していることがわかりました。その他には鉄道や通信といったインフラに関わる業種や、飲食店にクレームが頻出していました。
・EC
通販事業を行っている企業へのクレームは、購入した商品が説明された内容より期待以下であったこと、問い合わせ対応が遅いこと、発送トラブルに対して集中していました。
・小売(店舗販売)
対面・店舗型の小売業では、接客態度、購入後のサポートに関するクレームが多い傾向でした。特に百貨店などの高価格帯の店舗や、特定ジャンルの商品を取り扱う専門店では、顧客の期待値も高く、丁寧な接客や商品知識を求められていました。
・宿泊業
旅館やホテルに対して部屋の設備やサービスの不備に関するクレームが多く、特に事前に告知されていない設備の利用不可やメンテナンス不足が悪評・クレーム発生の原因となるケースが多く見られました。
・美容サービス
美容クリニックやエステサロンといった美容サービスにクレームが多い傾向でした。クレームの内容としては、予約の取りづらさや施術内容の不備、営業停止による返金トラブルなどが多くなっています。
・鉄道
電車やバスの遅延に加え、駅員の態度やオンラインサービスの利便性に対するクレームが多く見られました。また、鉄道業のクレームの特徴として、単なる不満だけでなく、サービス改善を求める声が多くありました。
・通信
回線速度の遅さや、通信の不安定さにクレームが多く見られました。さらに、オンライン化されたカスタマーサポートに対して不満も増加しています。
・飲食
味に関しては賛否が分かれる一方で、接客面に対するクレームが多く見られました。接客や提供速度の問題が、価格に見合わないと感じられることでクレームが増加する傾向があります。
◆調査結果詳細
1位 無店舗小売業:1社あたりの平均悪評・クレーム数:5.54件
主な事業:通販事業
過去の調査に引き続き、通販事業を専門とする無店舗小売業が1位となりました。多くの事業者がネット上で複数のECショップを運営しており顧客との接点が多いことから、ネット上の悪評・クレームの平均件数が連続して首位となっています。
クレームの内容としては、商品について問い合わせた際の対応の遅さや、発送のトラブルに関するものが多い傾向にありました。2024年問題によるドライバー不足で配送の遅れや混乱が発生していると予想されます。また、多くのECサイトにはレビュー投稿欄があり、その分クレームの件数が増えることを念頭に置き、レピュテーションマネジメントを行う必要があります。
2位 宿泊業:1社あたりの平均悪評・クレーム数:4.03件
主な事業:ホテル、旅館
前回の調査に引き続き、需要が急速に回復している宿泊業に対して悪評・クレーㇺが多く発生しており2位となりました。約半数のクレームが部屋に関するものであり、設備面の古さ、臭い、清掃の不備などに不満が発生していました。朝食を中心に食事に関する言及も多くなっており、味についてだけでなく、バイキングの導線や提供方法に関して不満を持った投稿も散見されました。
また、リピートで利用した顧客が、前回利用した際に受けたサービスと比較してクオリティが低下したと感じている投稿が多く、コロナ禍で変化したオペレーションや、昨今の物価高の影響を懸念する声が多くなっていました。
3位 医療業:1社あたりの平均悪評・クレーム数:3.78件
主な事業:病院、美容クリニック、歯科矯正、医療脱毛など
美容外科や医療脱毛、歯科矯正など、自由診療の美容医療に関するネット上での悪評・クレーム数が多くなっていました。悪評・クレームの内容は、予約に関するものが一番多く、予約したにもかかわらず診療を待たされたことや、医療脱毛の予約が取れないことに不満が多くなっていました。
また、近年は競合他社との競争が激しく価格競争も厳しいことから、突然営業停止になり料金が返金されないことや、契約時に受けた説明と同じ施術を受けられないといったトラブルから悪評が発生していました。これらの業態は、長期間通うことも多く保険適用外であれば費用も高額となるため、事前にネット上の評判や信用情報をチェックしてから契約をすることがリスク回避のためには必要です。
4位 各種商品小売業:1社あたりの平均悪評・クレーム数:3.4件
主な事業: 百貨店や総合スーパーなど、衣食住にわたる各種商品を一括して販売する小売業など
百貨店や総合スーパーの接客サービスについて悪評が書き込まれていました。贈答品や高価な嗜好品を求めて来店している傾向があり、通常の店舗よりも店員の対応力や品ぞろえを求めている口コミが多くなっています。昨今は、これらの企業もネットを通じた非対面での販売に力を入れていますが、商品の発送の遅さや梱包状態に対してのクレームも多くなっていました。
また、地方の地域密着型の企業においては、テナントの空きや店員の活気の無い態度、雇用調整助成金の不正受給について不満に思う投稿が散見されており、地元企業に対して活力や信頼性を求める人が多いと考えられます。
5位 鉄道業:1社あたりの平均悪評・クレーム数:3.14件
主な事業:鉄道会社
電車やバスの遅延に関する不満の他に、駅員の態度やオンラインサービスの利便性の悪さにクレームが発生していました。クレームの特徴としては、不満を述べるだけでなくサービスについて改善を求める声が多くありました。公共交通機関として、社会を支えるインフラの側面もあるため、クレームをネットに書き込む人も、継続的に利用することを踏まえて改善を求めていると考えられます。
また、昨今はインバウンドが増加していることから外国人からの不満投稿も見受けられました。これらは発達した翻訳技術により世界中の人が見ることができ、企業の評判を下げることに繋がるため、今後鉄道業は適切な外国人対応も求められます。
6位 その他の小売業:1社あたりの平均悪評・クレーム数:2.99件
主な事業: 書店、ホビー販売店、スポーツ用品、化粧品、インテリア用品などの小売店など
購入した商品の状態や品質が期待以下である、または説明と異なるといった不満が多く見られました。特に専門店での購入で、高額な商品や特定のブランドに対する期待が高いため、期待に反する場合の不満は悪評・クレームとして顕著に表れます。また、オンラインで商品を購入した顧客から、「商品が発送されないので確認したところ在庫不足で勝手にキャンセルになっていた」「不良品についてメールをしてみても何日も連絡が返ってこない」といった、問い合わせ対応への不満が多く上がっていました。問い合わせ対応の品質の良し悪しは、顧客満足度を大きく左右する要因の一つのため、店舗であってもオンラインであっても適切な対応をすることが求められます。
7位 通信業:1社あたりの平均悪評・クレーム数:2.88件
主な事業: 携帯キャリア、ネット回線サービス、プロバイダ代理販売店など
主にインターネット回線を提供する企業に対して「回線速度が遅い」や「通信が不安定」といった不満が多く見受けられました。また、近年は多くの通信事業者がカスタマーサポートをオンライン化していますが、「サポートの質が低い」や「カスタマーセンターの対応が悪い」といった不満が多くあります。特に、問題が発生した際にカスタマーサポートから迅速かつ適切な対応が得られないことが悪評・クレームにつながる要因となっています。近年は電話やネット回線の選択肢が広がり、不満を積もらせた顧客が解約をしたといった書き込みも多くなっていることから顧客対応の品質を向上することが競合他社との差別化に繋がると考えられます。
8位 機械器具小売業:1社あたりの平均悪評・クレーム数:2.87件
主な事業: 家電量販店、自動車販売店など
自動車販売店への不満が特に多く、購入した中古車の品質に問題があったり、期待以下の状態であったことでトラブルが発生するケースが多く見受けられました。また、購入後のサポートや顧客対応が悪いと感じる口コミが多く、特に、車検や修理時において、対応が遅い、見積額が想定より高額で信頼できないと感じることが原因となっています。
家電量販店では、家電の取り付けの手配ミスや、配送にかかる費用や日数の説明不足に対する不満が多く見受けられました。その他、中古品売買時の査定額への不満や説明された商品状況で無かったことへのクレームが多く上がっていました。
9位 飲食店:1社あたりの平均悪評・クレーム数:2.77件
主な事業:レストラン、居酒屋、専門料理店、カフェなど
飲食店において重要な味に関しては賛否が分かれることが多く、不満投稿で見受けられた多くが接客に関する内容でした。スタッフの対応が不親切や無愛想であるという指摘が多く、特に外国人スタッフが多い店舗に対し、コミュニケーションの問題やスタッフの態度に対する不満がしばしば挙げられていました。その他、料理の提供が遅いことも不満につながっています。
10位 洗濯・理容・美容・浴場業:1社あたりの平均悪評・クレーム数:2.64件
主な事業:エステ、美容院、クリーニング店など
医療業と同じく、美容に関するサービスを行うエステに関しての悪評も多くなっていました。施術中の会話の不快感や効果に対する不満、広告と実際の契約内容が違うといった不満が見受けられました。また、脱毛エステの予約を取れないことに対してのクレームも散見されました。
エステの他には、美容院の施術やカウンセリングに対する不満、クリーニング店の仕上がりに対する不満がネット上に書き込まれていました。また、銭湯の衛生面や利用客のマナーに関して悪評が発生しており、これらはマップアプリのレビュー欄に書き込まれていることが多くなっています。
◆考察
まず今回の調査でわかったことは、小売業を営む企業に対し発送に関する不満が多く上がっていることです。2024年の上限が960時間に制限されましたが、これによるドライバー不足の発生、いわゆる「2024年問題」が発生している可能性があります。
また、これまでの調査と比べ、対面でサービスを提供する店舗販売やホテル、飲食店に対してのクレームが増加していました。このことから、対面サービスを提供する業界がコロナ禍以前の状態に戻っていることがわかりますが、顧客はコロナ禍で普及したオンラインサービスと比較して、対面サービスへの価値を改めて意識するようになり、接客態度や商品知識、施設の清潔感など、従来以上に期待値が高くなっている可能性があります。対面サービスを提供する業界では、需要の増加に対して人手不足の問題等で多様化する顧客ニーズに対応しきれていないことから、不満が蓄積した顧客からの多くの悪評・クレームが発生していると考えられます。
その他の悪評・クレームの内容を詳しくみると、老朽化したまま放置された施設への不満や、契約内容を改悪されたことへの不満など、企業の設備投資余力や業績が悪化を示唆するものが見受けられました。こういった悪評・クレームは、現状の企業の様子をリアルタイムで把握できるため、自社の改善に活用できます。また、自社のレピュテーションマネジメントの為だけでなく、取引先の経営状況をタイムリーに把握することにも活用できるため、取引先が絡んだ自社への損失リスクを未然に防ぐことが可能となります。今後企業は、これまで以上にインターネット上の悪評・クレームを活用した経営の舵取りが必要になると考えます。
◆調査概要
調査期間:2024年1月1日〜2024年6月30日
対象企業:アラームボックスでモニタリングしており業種登録がされていた10,750社
対象データ:インターネット上に投稿された口コミのうち、アラームボックスが「悪評・クレーム」と分類したもの
◆アラームボックス株式会社
AI与信管理クラウドサービス「アラームボックス」(
https://alarmbox.jp )は、企業や自治体のHPに掲載された情報や、SNSや口コミなどインターネット上で投稿された情報をAI技術で収集・解析し、提供するクラウドサービスです。新規取引時の与信判断、既存取引先の継続的な与信管理、さらに売掛保証までを一括して行うことができます。収集・判断の難しいネット上の情報を、与信への影響度を診断したうえで提供するため、インターネット上の情報を活用した高精度な与信管理を、簡単に、低価格で導入できます。それにより、取引先の情報収集に関わる業務負荷を大幅に削減し、スマートフォンやPCから取引先を登録しておくだけで、迅速にリスクに対応できます。
◆会社概要
代表者:代表取締役社長 武田 浩和
所在地:東京都新宿区市谷本村町3-22
設立 :2016年6月
資本金:3.36億円
企業サイト:
https://alarmbox.co.jp
サービスサイト:
https://alarmbox.jp