【2025年以降の業種別倒産発生予測ランキングを発表】
1位の輸送用機械器具製造業、2位の各種商品小売業は36社に1社が倒産可能性あり
~13,697社を対象に、ネット情報等を分析し要警戒企業を抽出~
・輸送用機械器具製造業で倒産危険度高まる、電気業や宿泊業も上位に
・運送業と工事業が5業種ランクイン、燃料価格高騰と2024年問題で採算性悪化
・ゼロゼロ融資返済本格化でゾンビ企業の倒産増加傾向
AI与信管理サービスを提供するアラームボックス株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:武田浩和、以下「当社」)は、この度、2023年12月1日~2024年11月30日の期間に収集された13,697社・225,595件のネット情報等から1年以内に倒産する危険性がある“要警戒企業”を分析・抽出し、「倒産危険度の高い上位10業種」を予測しましたので発表します。
◆倒産可能性の高い業種ランキング
第1位 輸送用機械器具製造業
第2位 各種商品小売業(百貨店・総合スーパー等)
第3位 農業
第4位 職別工事業(設備工事業を除く)
第5位 道路旅客運送業
第6位 電気業
第7位 道路貨物運送業
第8位 総合工事業
第9位 設備工事業
第10位 宿泊業
※ランキングの詳細な内容は、添付画像のランキング表、もしくはPDFのプレスリリース本文にてご確認いただけます。
◆調査背景
昨今は円安による輸入コストの高騰や原油高の影響、さらには人手不足による人件費の高騰から、企業の生産コストが上昇しています。これにより収益の確保が難しい多くの企業が値上げに踏み切り、消費者の生活が圧迫される現状となっています。
また日本銀行の発表によれば、2024年度11月の国内企業物価指数は前年比3.7%増で、2020年平均を100としたときの同月指数は124.3となっており、企業間取引の価格動向が高く上昇しています。※6
このような先行き不透明な状況のなか、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金といった支援策の新規受付が終了し、反対にゼロゼロ融資の返済が本格的に始まったことで多くの企業は財務基盤が以前よりぜい弱となっています。このため、取引先倒産によって引き起こされる代金未回収が資金繰りに与える影響は大きくなっています。これらの経営リスクを回避するべく、企業には取引先の業種動向や倒産リスクを常に把握することが求められます。
当社はこれまで企業の連鎖倒産を防ぐ取り組みとして、AI与信管理クラウドサービス「アラームボックス」の提供を通じて倒産の事由や前兆と見られる情報を「アラームボックス」上で収集・解析してきました。
以上を踏まえ、“1年以内に倒産する危険性がある要警戒企業”を業界ごとに集計し、内容の分析を行うことで、取引先の与信管理におけるタイムリーな情報収集の重要性と活用法を啓発すべく、本調査の実施と発表に至りました。
※6日本銀行 企業物価指数(2024年11月速報)
https://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/cgpi2411.pdf
◆主な調査結果
今回の調査では、倒産リスクが高い業種として輸送用機械器具製造業、各種商品小売業(百貨店・総合スーパー等)、農業が上位に挙げられました。輸送用機械器具製造業では、半導体不足や海外企業との競争激化によりキャッシュフローが悪化し、赤字や債務超過に陥る企業が目立ちました。各種商品小売業では、地方の人口減少、大型商業施設との競争激化による経営不振情報が多くなりました。また、コロナ禍の補助金を不正受給した企業が複数見受けられ、この返済負担が経営をさらに圧迫する懸念も浮上しています。農業では、飼料や燃料価格の高騰、気候変動が生産コストを押し上げ、業績悪化が進んでいます。
また、燃料価格の高騰は農業だけでなく、道路旅客運送業や道路貨物運送業など、燃料依存度の高い業種にも大きな影響を与えています。これらの業種は、4月の働き方改革関連法改正により、時間外労働規制の適用が始まることで人手不足が発生することが懸念される2024年問題に関連する業種でもあるため、倒産リスクが高まっている可能性があります。
◆調査結果詳細
1位 輸送用機械器具製造業:36社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:自動車・鉄道・航空機・船舶および付属品の製造など
様々な企業規模の輸送用部品メーカーで赤字が続き債務超過に陥っているという情報が発生していました。また、災害や火災による工場停止が経営に深刻な悪影響を及ぼしている企業も見られました。輸送用機械器具製造業では、設備や人材にかかるコストが高額である一方、半導体不足や海外企業との競争激化の影響による工場稼働率の低下が懸念されています。さらに、業界全体で認証試験における不正問題が発覚し、信用低下が広がっています。これらの状況は、企業のキャッシュフローを圧迫し、倒産に至る事例の増加につながっています。
2位 各種商品小売業:36社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:百貨店、総合スーパーなど
前回の調査では3位だった各種商品小売業が、2位になりました。百貨店や総合スーパーを運営する企業で、経営不振による倒産や事業再編の情報が散見されました。特に、過剰債務によりグループ企業も含めて私的整理を行った企業の存在が、業種全体の倒産危険度が高まる結果となりました。昨今は、大型商業施設との競合や地方の人口減少があり、業況の厳しさがうかがえます。また、新型コロナウイルス関連の補助金を不正受給したという情報が複数発生していました。コロナ禍の外出控えにより、大きな影響を受けた業種のため、各種商品小売業に所属する企業の動向には今後も注意が必要です。
3位 農業:36社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:耕種農業、畜産農業、園芸サービス業など
耕種農業者や畜産農業者で倒産が散見されたほか、新興企業でも業績悪化の情報が見受けられました。飼料穀物の海外依存度の高さや燃料費高騰による生産コストの増加、気候変動による不安定な生産によって、倒産数が増加傾向にあります。また、気候変動や後継者不足に対応するため施設園芸や新技術による耕作を試みる企業もありますが、事業の特性上、施設の初期投資が大きくなるため、収益の確保がうまくいかなかった場合に借入金返済が間に合わず信用不安に陥っている例も見受けられました。
4位 職別工事業(設備工事を除く):43社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:とび工事、内装工事、塗装工事、鉄骨工事など
主に下請けとして内装工事や塗装工事を行う事業者に、倒産情報が発生していました。識別工事業は経営基盤がぜい弱な下請企業が多く、昨今の人件費や燃料費の高止まり、建築資材高騰の煽りを受けやすいことや、同業他社との価格競争が激しいことで事業採算性が低下したことが原因と考えられます。また、倒産の予兆と見られる支払い遅延や連絡の不通、給与の未払い等の情報も見受けられました。これらの情報が業界内に広まることで、さらなる信用不安に繋がり、収益を悪化させる可能性があります。
5位 道路旅客運送業:45社に1社が倒産する可能性あり
主な事業:タクシー会社、バス会社など
タクシーやバスといった、自動車で旅客を運送する多くの企業が赤字や債務超過に陥っていました。働き方改革関連法の施行に伴う運転手の不足「2024年問題」に直面しているほか、燃料費高騰による運行コストの増加が課題となっています。特にコロナ禍の外出控えによって大きな影響を受けた観光バスやタクシーの運営会社は、政府支援によって延命しているゾンビ企業となっているケースもあるため、コロナ禍の支援策が終了した今後に注意が必要です。
6位 電気業:45社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:発電所、電力小売りなど
2016年の電力自由化により発電所を持たない新電力と呼ばれる電力小売り会社が多く台頭しましたが、近年は原油や液化天然ガスなどの燃料価格が高騰し、仕入価格が提供価格を上回ることで利益が確保できないため、多くの事業者が事業撤退や倒産に陥っていました。また、昨今は太陽光発電などの再生可能エネルギーへの注目度が高まっていますが、安定した収益化には至っていない電力会社で信用不安情報が発生していました。
7位 道路貨物運送業:50社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:宅配便、トラック運送など
主にトラックでの運送会社に倒産や支払い遅延の情報が発生していました。道路貨物運送業には下請企業が多く、もとより採算性が悪い企業も多いなか道路旅客運送業と同様に、働き方改革関連法の施行に伴うドライバーの不足「2024年問題」により、受注の減少や外注費の増加が生じています。さらに、燃料費の高騰といった外的要因も重なり、資金繰りに窮する企業等の倒産リスクが高まっています。
8位 総合工事業:50社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:土木工事業、建築工事業、建築リフォーム工事業など
人件費や関連資材の高騰を理由とした建築コストの増加により、倒産や事業停止といった情報が多く発生していました。ファクタリングなどの短期的な資金調達を行ったものの、下請企業に対して工事代金を支払えていない企業も見受けられ、資金繰りが限界に近いことがわかる情報も散見されました。
また、公共事業の入札において不正をしたとして、指名停止になっている事例が発生していました。公共事業を主力としている企業の場合、指名停止は経営に大きな影響を及ぼすため、本業種の企業と取引する際には、取引先の行政処分情報にも注意を払う必要があります。
9位 設備工事業:51社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:電気工事業、管工事業など
電気工事や空調工事、太陽光パネルの取り付けを行う業者に破産や支払い遅延が発生していました。設備工事業は小規模の事業者が多く企業体力が頑強ではないため、人件費や資材価格の高止まりによる影響を受けたと考えられます。また、倒産に至る前の予兆として、工事代金の未払いについて裁判を起こされていることやHPがアクセス不能になっていることがわかりました。これらの企業は倒産危険度が高いと言えるため、本業種の企業と取引する際には幅広い情報を収集し与信調査を行うことも重要です。
10位 宿泊業:52社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:旅館、ホテルなど
業績不振によって大幅な債務超過に陥っている宿泊業者が多く見られます。コロナ禍で大きく減少した需要は回復傾向にあるものの、財務状況の改善には至っていない企業が多いのが現状です。旅館やホテルは設備投資費の負担が重く、長年の経営不振により資金繰りが限界に達しているケースも散見されます。特に、コロナ支援策が終了した今後は、補助金に頼って延命してきたゾンビ企業の倒産が増加すると予想されます。
◆考察
今回ランクインした10業種のうち、複数の業種が前回に続いて上位に位置しており、倒産リスクの高まりが継続的な課題であることがわかりました。特に、農業や運送業では、燃料費高騰や外部環境の変化に対応できず、資金繰りの悪化が深刻化しています。また、コロナ禍で需要減少の影響を受けた業種では、支援策終了後に再建の目途が立たず、今後さらに倒産が増加する懸念があります。加えて、人手不足や資材費の高騰が中小企業にとって大きな負担となり、収益性の低下を招いていると考えられます。
また、今回は倒産の前に債権を早期に現金化するための債権譲渡や支払い遅延といった、資金繰りの逼迫を示す情報が発生していた企業が倒産に至るケースが散見され、コロナ禍の需要低迷から財政を立て直せない企業が息切れ倒産を起こしている様子が多く見受けられました。今後、ゼロゼロ融資返済の本格化により、収益性を取り戻せなかったゾンビ企業の倒産が増加していくことが予想されるため、継続的な情報収集が安心して企業間取引を続けるために重要となると考えられます。
しかし、本調査で上位にランキングされた業種の企業の中にも財務状況や企業体質が良好な企業はあるため、あくまで適切な個社ごとの判断をするためにも、動向や倒産リスクをタイムリーに把握できる与信管理体制や仕組みを整えた上で取引することを推奨します。
◆調査概要
調査期間:2023年12月1日〜2024年11月30日
対象企業:アラームボックスでモニタリングしていた企業のうち、13,697社
対象データ:アラームボックスで配信されたアラーム情報225,595件
◆アラームボックスについて
AI与信管理クラウドサービス「アラームボックス」(
https://alarmbox.jp )は、企業や自治体のHPに掲載された情報や、SNSや口コミなどインターネット上で投稿された情報をAI技術で収集・解析し、提供するクラウドサービスです。新規取引時の与信判断、既存取引先の継続的な与信管理、さらに売掛保証までを一括して行うことができます。収集・判断の難しいネット上の情報を、与信への影響度を診断したうえで提供するため、インターネット上の情報を活用した高精度な与信管理を、簡単に、低価格で導入できます。これにより、取引先の情報収集に関わる業務負荷を大幅に削減し、スマートフォンやPCから取引先を登録しておくだけで、迅速にリスクに対応できます。
◆会社概要
会社名:アラームボックス株式会社
代表者:代表取締役社長 武田 浩和
所在地:東京都新宿区市谷本村町3-22
設立 :2016年6月
資本金:3.36億円
企業サイト:
https://alarmbox.co.jp
サービスサイト:
https://alarmbox.jp