
「成功者とは成長者だ」と語るネクシィーズの近藤太香巳社長
■「新人」でなく「プロ1年目」
未来を担う若者を育てる大学生向けの「次代人財養成塾One-Will」(主催・秀實社、協力・産経新聞社)は、ネクシィーズの近藤太香巳社長を特別講師に迎え講演を開いた。演題は『人が輝けば企業が輝く~夢は大空へ、努力は足元へ』。約60人の学生に「成功者とは成長者だ」と訴えた。一部を再現する。
◇大学生はみんな、こんなふうに悩んでいる。将来、何をしたらいいか分からない。自分が何に向いているのか分からない。会社説明会に出かけても、いろいろな話を聞かされてさらに分からなくなる。そして「やる気はあるんです。でもどう選んだらいいか分からない」と言う。 分からなくて当然だ。突然、「就活」って言われても無理だ。じゃあどうやって就職先を決めるのか。よさそうな業界で決めるのか? 企業規模が大きいか、小さいかで決めるのか? お父さんが薦めるところ? 誰かが「お前に向いてる」って言ってくれたところか?
答えを言う。自分で決めるんだ。どうやって? 感性で決めるんだ。感性ってなんだ?
いいか、これが一番大事なとこだ。自分でおもしろい、やりたいと思って、決めたら本気で立ち向かっていけると感じることが感性だ。やる気と本気は違う。やる気のあるヤツなんか、いっぱいいる。本気で取り組むことが大切だ。
社会人ってプロのことなんだ。マー君(米大リーグ、ヤンキースの田中将大投手)は、高校野球で活躍したあと、プロになった。初めてプロのマウンドに立つと、さっそく相手のバッターはスーパースターだ。そのときマーくんは「ぼく新人です」って気持ちで投げたと思うか。違う。プロとして、絶対三振を取ってやると真っ向から投げたんだ。
いいかみんな。社会人になったら、「新人」って言葉を使うな。使うのは「プロ1年目」だ。その、本気が大事だ。
夢は逃げない。逃げるのはいつも自分。そう言うと学生が、「僕、夢ないんです」って言う。最初から大きな夢である必要なんかない。今、目の前のことにベストを尽くす。それに尽きるんだ。
未来は今、今、今の連続でできている。今、目の前のことで活躍しなかったら、将来、大きなことで活躍する可能性は低いぞ。みんなから見たら、私は成功者に見えるかもしれない。私もかつて、いろんな経営者をそう思って見ていた。でもあるとき気付いたんだ。成功者も、最初から成功していたわけじゃない。0があり1があり2があって成長していった。つまり、成功者とは成長者なんだ。
みんなも、今の時点で自分の可能性に限界を決めつけたらだめ。向き不向きではなく、目の前のことに本気で取り組んでほしい。
◇近藤社長は公私の成功体験や失敗談を織り交ぜて1時間にわたり講演、その後塾生からの質問に全て応じた。塾生も真剣に耳を傾け、ペンを走らせていた。講演中には感動した学生が涙をぬぐう姿も見られた。
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【会社概要】ネクシィーズ
▽本社=東京都渋谷区桜丘町20-4 ネクシィーズ スクエアビル
▽設立=1990年2月21日(創業=87年5月)
▽資本金=23億2358万円
▽事業内容=ライフアメニティー事業、ソリューションサービス事業、文化教育事業
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【プロフィル】近藤太香巳
こんどう・たかみ 2度の高校中退を経て19歳で創業。2004年、37歳で当時最年少創業社長として東証1部に上場。JAPAN VENTURE AWARD 2006で最高位、経済産業大臣賞を受賞。46歳。大阪府出身。
「フジサンケイビジネスアイ」