サイトのアクセス解析し営業を効率化 イノベーション・富田直人社長

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イノベーション富田直人社長

 ITによる合理化が進んでいるにもかかわらず、企業の法人向け営業はやみくもな飛び込み営業だったり、大量のリストから拾い出した企業に電話を掛けて面会の約束を取り付けるなど、非効率な方法が根強く残っている。こうした中、ITシステムの比較サイトなどを運営するイノベーションは、企業サイトのアクセスデータなどを解析することで、購入の可能性が高い顧客を見つけ出す効率的な販促を支援する。富田直人社長は「政府が推し進める働き方改革にも寄与する」と合理的な営業を追い求める。

 --サイトのアクセスを解析するサービスとは

 「マーケティングツールの『リストファインダー』だ。自社のサイトに訪問した見込み客の来訪回数や閲覧ページを解析して管理する。購入意向の高い見込み客を発見し、一括メールを配信するなどして手間をかけず合理的に販売促進を支援する」

 --強みはどこに

 「コストの安さだ。他社のマーケティングツールの利用料は月額10万~15万円で大手企業向けなのに対し、当社は3万円で主に中小企業を中心に提供している。年商100億円未満の企業でのシェアは過半数を占め、月額課金制のため安定的に成長している。直販が中心であるためユーザーの要望をサービスに素早く反映できる利点がある。当社自身がこのツールを使うことで実証実験を重ね、品質を向上させている」

 --主力事業として比較検討サイトなども運営してきた

 「企業のシステム導入担当者向けに、勤怠管理、会計、経費精算などの各システムのIT製品の比較・検討ができるサイト『ITトレンド』と、人事・総務担当者向けの研修、採用、給与計算などのアウトソーシングサービスを比較するサイト『BIZトレンド』を運営している。ユーザーが問い合わせや資料請求することで課金する成果報酬型のビジネスモデルだ」

 --業績の推移は

 「2017年3月期は売上高11億6400万円、経常利益1億6000万円を見込んでいる。売上高は15年以降下がっているが、これは利益率の低いテレマーケティングとリスティング広告の両事業から撤退したからだ。結果的に利益率を高めることにつながり、昨年12月には東証マザーズに新規株式公開を果たした。売上比率でみると、マーケティングツールはサイト運営の3分の1にすぎない。しかし、積み上げ型の事業なので来期以降、利益率が拡大するだろう」

 --上場した理由は

 「知名度とブランド価値を高め、成長スピードを加速するためだ。調達資金は販売促進と宣伝広告に活用して、より多くの顧客を獲得する。さらにユーザーの要望に応えるため、エンジニアを積極的に採用しサーバーも増強する」

 --成長イメージは

 「2~3年は現状の事業拡大とともに、提携パートナーとの連携を強化する。3~5年後には蓄積された膨大なアクセスデータを元に、新技術を用いた新しいマーケティングサービスや広告ビジネスを立ち上げたい」

【プロフィル】富田直人  とみだ・なおと 横国大工卒。1987年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。2000年12月イノベーションを設立し、現職。51歳。静岡県出身。

              ◆

【会社概要】イノベーション
 ▽本社=東京都渋谷区渋谷3-10-13 TOKYU REIT 渋谷Rビル3階
 ▽設立=2000年12月
 ▽資本金=3億3217万円
 ▽従業員=81人(16年12月末時点)
 ▽売上高=11億6400万円(17年3月期見込み)
 ▽事業内容=法人向けインターネットマーケティング支援

「フジサンケイビジネスアイ」

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