仮想通貨、がんじがらめは市場ゆがめる

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 ■マネーフォワード執行役員・神田潤一さん(47)

 --仮想通貨交換業者コインチェックの流出事件を受け、金融庁は交換業者の多くに行政処分を出した

「迅速かつ適切に対応しているという印象がある。流出した金額が大きく社会的なインパクトも強かったため、この機会に他の交換所の運用もチェックし、一気に適正な運用に改めたいという意図があるからだろう」

 --昨年4月に改正資金決済法が施行された

「マネーロンダリング(資金洗浄)などの対策と利用者保護に主眼を置き、改正資金決済法で交換業者を登録制にした。だが単に縛るだけではイノベーションを阻害しかねず、規制や利用者保護とのバランスに配慮して法制度を整備してきたと評価されている。実際、技術革新を日本が主導する環境が整いつつある」

 --それでも、今回のような問題が起きた

「金融庁として想定外だったのは法律を超える部分をカバーする自主規制団体を業界として整備できなかったことだ。市場がここまでのスピードで拡大することも想定していなかった。一般の人がもっと安心をして取引できるような管理が必要になった」

 --規制は強化すべきか

「技術進歩が早い業界で、規制でがんじがらめにすると市場をゆがめかねない。今の規制、法律が不十分なわけではない。その運用の範囲内で金融庁は事業者のモニタリングを強める形で対応すべきだ。利用者保護などに関する自主規制団体の統一ガイドライン策定や、交換所をどう選ぶかなど利用者の意識向上も必要ではないか」

 --世界的に仮想通貨の規制議論が加速している

「各国による規制の協調が必要かどうかは大きなポイント。厳しく規制すべきだという国と、新しい動きをサポートすべきだという国で分かれるだろう。いち早く当局への登録制を導入した日本は議論を主導してほしい」

【プロフィル】
神田潤一
かんだ・じゅんいち 東大経卒。1994年日銀入行。主要行や外国金融機関の考査などに携わった後、金融庁に出向し、企画官として政策企画などに従事。仮想通貨の規制議論にも関わった。2017年12月から現職。青森県出身。

「フジサンケイビジネスアイ」

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