【プロフィル】高橋興史
たかはし・こうじ 大学卒業後、英会話学校や商社に勤務。2003年リードクリエイト入社、企業向け研修企画などに従事。ゲーム開発会社を経て08年3月から現職。34歳。東京都出身
■“ビジネスゲーム”で社員の意欲刺激
社員が自らゲーム感覚で社内問題の解決策を考える-。企業向け人材育成事業のカレイドソリューションズ(東京都新宿区)は、そうした場を提供する体験型研修サービス「ビジネスゲーム」の提案態勢を強化する。同サービスを現在の約10種類から30種類に増やす計画で、8月には働く意欲を刺激する新ゲームを開発した。高橋興史代表取締役は、研修に新風を巻き起こすべく日々奔走している。
--ゲーム式研修事業を起業したきっかけは
「大企業では、上司が実践的な知識を部下に教えるOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)が手厚く、外部に委託する社員教育にも熱心だ。一方で、十分な研修費を捻出できない中小企業や、地理的な理由で都心に集中する研修サービスを利用できない地方の事業者もいる。2003年以降に勤務した人事コンサルティング会社リードクリエイトで、『研修の企業間格差』を解消できないかとの思いを強め起業した」
--ゲームの有用性は
「知識がない中小の人事部門でも、“自前”で低コストの社内研修を行えることだ。研修をめぐっては、講師が教え込む『教育』型が主流だったが、受講者の自主性を重んじる『学習』型の需要が増えている。その流れをゲームで牽引(けんいん)したい」
--新ゲームの狙いは
「1人の社員のやる気が低下すると、個人の仕事量が減るだけでなく、周囲の士気や会社の労働生産性にも影響を与える。そこで、落ち込む社員の高揚方法を学ぶ『モチベーションマジック』を開発した。販売価格は1セット当たり約50万円だ」
--具体的な中身は
「ゲーム参加者が約4人のグループを作って各テーブルに分かれ、意欲が減退する出来事が記載された5枚の『手持ちカード』と、気持ちの切り替え方法が記された7枚の『マジックカード』を受け取る。そして各参加者が順に出来事を選び、切り替え法を発表する。例えば、『部長は私の努力を評価しない…』との出来事を選び、マジックカードを手に『上の立場に立つと評価できない理由があるかもしれない』と披露する。周囲の賛同者が多ければポイントが得られ、最終的にはポイント数で勝利を決める流れだ」
--参加者が学ぶ点は
「ゲームを通じて自身が苦手な部分や他人の見方を知ることができる。まさに『気づきの研修』だ。来年度中にインターネット販売も始め、都心以外の研修ニーズも開拓したい。ゲームを利用した受講者数は前年度実績で約1万5000人。これを3年以内に累計10万人に引き上げたい」(臼井慎太郎)
【会社概要】
カレイドソリューションズ
▽本 社=東京都新宿区西新宿7の19の6 東洋ビル
((電)03・6908・5245)
▽設 立=2008年3月
▽資本金=210万円
▽従業員=5人
▽事業内容=ビジネスゲームを通じた企業内人材育成の内製化支援
「フジサンケイビジネスアイ」