「かわさき起業家大賞」に輝いたダンウェイの高橋陽子社長(中央)
川崎市から将来の成長産業の芽を育てることを目的に、2001年11月にスタートした「かわさき起業家オーディション ビジネス・アイデアシーズ市場」(http://www.kawasaki-net.ne.jp/bizidea/)の第77回最終選考会が、6月8日に川崎市産業振興会館で開催された。
川崎市産業振興財団(川崎市幸区)が主催する同オーディションは、毎年6回行われている。新規創業または新分野への進出を前提としたビジネスアイデアの実現を支援。川崎市内だけでなく、全国どこからでも応募が可能で、法人だけでなく個人も参加できる。
今回は、全国から寄せられた13件の応募の中から、1次書類審査および2次面接審査を通過した6社がプレゼンを行った。ファイナリストの半数となる3名が女性起業家で、ダンウェイ(川崎市中原区)の高橋陽子社長=写真=が、極めて高い成長性・収益性が見込めるビジネスアイデアに贈られる「かわさき起業家大賞」に輝いた。
同社は2011年1月に設立され、川崎市内で、障がい者の就業支援および教育を中心に事業展開を行っている。「障がい者の自立と、それに不可欠な地域共生の実現」を10年後のビジョンとして掲げる同社は、障がいを持つ人たちが分業でホームページを制作できるソフト「ICT治具」の商品化について、ビジネスアイデアを発表した。
同ソフトでは、ホームページの制作工程を分業化し、各工程でできあがった「パーツ」をパズル感覚で組み立てることで、成果物が完成する。HTML言語等の専門知識は不要で、各工程ごとに最適な人材を配置して生産性を高め、管理者による生産管理が可能という特徴がある。
「なぜ当社が株式会社である必要があったのか、それは『障がい者は仕事ができない』という固定概念を払拭したかったから。私自身も障がい児の母親です。障がい児、障がい者にも得意なものがあり、それを活かせるように『ICT治具』を開発しました」と高橋社長は述べた。
障がい者が、その特性を活かして労働力となり、自立していくためにICT(情報通信技術)を活用するという同社の考え方に賛同したインテルが、「ICT治具」の開発に協力している。
一方、茨城県つくば市に本社を置く(株)光エネルギー研究所の尾崎豊代表取締役社長が、「かわさき起業家優秀賞」を受賞した。同社は太陽光発電パネルの表面反射を抑え、発電効率を向上させる「太陽光集光シート」を開発。すでに試作品による発電試験で、1日の太陽光による発電量が平均20%以上増加したことを確認しているという。
太陽光発電以外にも、LEDや有機EL素子の光取り出し効率を高める部材として、照明やバックライト分野への応用も可能。同社では今年、同シートの量産機の生産に着手する予定だ。
かわさき起業家大賞
ダンウェイ 高橋陽子氏
かわさき起業家優秀賞
光エネルギー研究所 尾崎豊氏
かわさき起業家賞
プランニング・オフィス・クルー 田澤恵津子氏
理想計測 臼井重徳氏
Shannon Lab 田中潤氏
かわさきビジネスアイデア・シーズ賞
シェアドッグスクール 岩原晋子氏
「フジサンケイビジネスアイ」