株式会社コムデザイン 代表取締役社長   寺尾憲二氏

クラウド型CTIシステムを提供

起業までの経緯は

「 電電公社(NTT)を辞めて、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を創りたいという高い志を持って入社したイメージパートナーが金儲けに傾斜したため社長と折り合いが悪くなり退社。そして20年前に起業したのがコムデザイン。エンジニアなので金儲けの仕方さえ分からず、モノさえ良ければ何とかなると思った。ベンチャーにもかかわらず、コールセンター事業に注力していた富士通や、コールセンター向けアクティブサーバーを日本で販売したいと考えていたインテルが白羽の矢をたて取引を開始。聞きつけたジャフコや日本ベンチャーキャピタルなどが『いずれ上場するのでしょう』と1億5000万円を出資。しかしインテルが事業展開することなく撤退。これにより2003年5月に倒産状態に陥った」

それで終わるわけにはいかない

「ITCビジネスをやりたいと開発を継続。08年にクラウドサービスを開始し、モノではなくサービスを売るビジネスに参入した。転機は11年3月の東日本大震災。仙台のコールセンターが閉鎖に追い込まれ新宿移転を提案。われわれにイケア(千葉幕張の液状化現象の被害)、ニトリが続いた。『震災は時代を動かす』ことを実感。イメージパートナーのダイアルキューツーも、阪神淡路大震災で電話での連絡方法を失ったとき、元気メッセージを出せる安否確認システムを提案して注目された」
コールセンターではシェアナンバーワン

現状は

「大手ユーザーは750社・14000席(オペレーター)。昨年は1万1000席から1万4000席に増加した。毎年25~30%増加しているが、クラウドだから受け入れられている。オンプレミス(自社運用)は装置を買うので導入に数億円かかる。一方、クラウドは使うだけのサービスフィーなので、必要なとき必要なだけ使える。導入しやすく、震災にも強い。BCP(事業継続計画)にも強い。最新技術も使える。オンプレミスからクラウドへの移行により25~30%成長を可能にした。過去20年開発に取り組み、開発コストを償却済みなので、オンプレミスの3分の1の価格で提供できるうえ、クラウド型の他社より20%安い。ユーザーニーズにも対応し、機能アップのための追加のカスタマイズフィーはゼロ。これが受け入れられた。CTI業界は技術的に狭くて深い。エンジニアが習熟すると高い生産性を出せるので、短期間にコストをかけずにユーザーニーズに応えられる。『他社では無理だった』ことを頼られるので『そこまでやってくれる』と評価され、口コミも広がる。独立系企業の低い信用度が、HISやイケア、ニトリとの取引、ユーザーのカスタマイズ対応で信頼性向上、次の受注につながる。CTI業界でナンバー3、コールセンターに特化するとナンバー1の地位を確保した」

脅威は

「アマゾンコネクトのプラットフォームだが、それでも勝てる。アマゾンコネクトを使うにはシステムインテグレーターが必要だが、われわれは全てをできるのでコストメリットを受けられる。また、企業がアマゾンコネクトを使ってもアマゾンと共存共栄できる。つまりIoT(プラットフォームはアマゾン)連携はアマゾンのネットワークを使って効率的に行い、音声系(人系)はコムデザインが担う。高齢者の見守りのためにバイタルチェックは、例えば転ぶと転んだことを信号で介護施設や家族に知らせるだけ。コミュニケーションをとるには電話で話す必要があり、関係者を結ぶCTIプラットフォームが必要になる。われわれの出番になる」

CTIマーケット規模は

「CTIマーケットは小さい。コールセンターをもつ企業は全体の2%だが、イケアやニトリなどBtoCで消費者と近い企業ばかり。元気もいいし業界をリードしている。ユーザーサポートでコールセンターを活用しており、こうしたエクセレントカンパニーが使用しているのでCTIマーケットが所為規模でも信頼は高い」
AIに注目

今後の展開は

「人工知能(AI)に目を向けている。『AIで何ができるの』といえば『できていない』のが実情で、成功しているのは画像認証してディープラーニングで事象を捉えることぐらい。例えばクルマの自動運転。AIのいいところは自然言語解析・分析なので、そこに向かっていく。VOC(顧客の声)にも利用できる。会話などからユーザーが見えるからで、AIの自然言語で会話を要約する技術はコールセンターで求められる。オペレーターの仕事はユーザーとの会話。内容を記録して要約することでオペレーターの生産性は2倍に向上する。音声認識による通話データのテキスト化はAI活用の第一歩だが、認識率や導入コストなど未知数部分が多く導入に踏み切れない。そこで米ニュアンス・コミュニケーションズと提携して、通話録音を音声認識でテキスト化するサービスを無償提供するトライアルを開始。エクセレントカンパニーであるユーザーの声を生かして文章要約のAI会社と組んでCTIの成長とAIシステム導入のドアオープナーになる」
7期連続で25%成長を維持

業績は好調に推移している

「業績は7期連続で25%成長。今期は10億に届く。「寺尾の寺銭」ではないが毎月1億円入ってくる。業績が悪いときもクラウドのみが奏功して1本立ちできた。CTIマーケットで技術開発し、技術的習熟度が向上。カスタマーズフィーなしでユーザー対応できる。汎用性あるサービスでは資本の論理で難しい。世界進出に向け、1月に中国に100%出資の現地法人を設立した。中国を手始めにスタート。カスタマーズフィーゼロ円など他社とは違うアプローチが海外でも受け入れられるか調べる。現地常駐スタッフは日本で働く中国人。帰属意識は強い」

従業員に求めることは

「従業員は40人(40歳前)で、離職者(50歳未満で社員として入中途社)はゼロ。カスタマーズフィーゼロが競争の源泉の一つ。ユーザーの御用聞きでは困る。営業にノルマはないが、ユーザーの不満を聞き取れる人にならなければならない。前向きな仕事で失敗はおこらない。営業(外)と技術者(中)が相互に互いの役割を理解して『ありがとう』を言い合える関係を構築。ユーザーもいい人で「いい人」がそろう。だから金儲けもできる。採用の際にも『いい人?』を聞く」
株式会社コムデザイン 寺尾 憲二 代表取締役社長
■会社概要
本社:〒102-0083 東京都千代田区麹町2-3-3 FDC麹町ビル8F
設立:2000年1月12日
資本金:76,200,800円
従業員数:39人
<事業内容>
CTIサービス提供
自社開発のオンデマンドコンタクトセンターCTIサービス「CT-e1/SaaS」の提供
SaaS事業を展開
パッケージ化
CTIソリューション・パッケージの企画及び販売
受託開発
電話回線、インターネット、イントラネット等を利用した、情報処理システム及びCTIソリューションの受託開発

■プロフィール
寺尾 憲二(てらお けんじ)
1982年 国立鈴鹿工業高等専門学校 電気工学科 卒
1982年 日本電信電話公社(現NTT) 入社
株式会社イメージパートナーを経て1997年6月 コムデザインを設立し、現職。
三重県出身
57歳

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