株式会社アルゴバース 代表取締役社長   瀧田理康

ステージゲート法で日本メーカーの新規事業立ち上げ支援

アルゴマーケティングソリューションズは、技術や素材を扱う企業向けの事業開発を基軸に営業、販売促進、広報・PRのコンサルティングと実務支援を展開。10~50年先のビジネスを顧客と一緒に研究開発に取り組んでおり、その一環として、開発テーマなどを効率的に絞り込んでいくステージゲート法による事業開発、事業戦略策定支援に乗り出した。1月20日には「日本メーカーのためのステージゲート法実践会」を発足。それに伴い企業の新事業開発当者がステージゲート法を実務に生かせるための情報提供を目的に自社メディアを開設した。また基礎的な知識を得たり、事例を共有したりできる「ステージゲート法実務研究会」を立ち上げた。日本企業、とりわけメーカーのために活用することで日本企業の競争力を高められると確信、参加を呼びかけていく。
新規事業の成功確率を高めるメソッド
ステージゲート法は多くの製品や技術開発テーマを効率的に絞り込んでいく方法論で、カナダのロバートクーパー教授が考案した。新事業を推進していくかどうかを識別するためのゲートを設け、企業にとってリスクの高い事業にならないようするためのいわば、新規事業の成功確率を高める手法として米国では多くの実績を持つ。日本ではあまり知られていないが、アルゴではBMO法(事業化の成功確率を定量的に判断するための評価ツール)と組み合わせて実務に即するかたちで独自に体系化した。
3つのゲートを通過し事業構想実現
ステージゲート法は本来、次々と生まれてくるアイデアから新規事業を選別する目的で使う。しかしアルゴは、新規事業開発者や起業家が新事業の推進に当たりチェック項目をあらかじめ意識することで、リスクが高くゲート(基準)を通過できない場合はどのように軌道修正すべきかを考えさせ、課題克服を促す手法をとっている。 ゲートは3つあり、ステージ1では事業構想を決めて市場動向を調査し事業環境を分析。顧客を明確化したり、商品・サービスの価値や競争力などを検討したりして一定の基準をクリアすればゲートを通過、ビジネスモデルをチェックするステージ2に進む。ゲートを通過できなければ、通過できなかった課題をつぶして再度ゲートに挑む。ステージ3では開発、生産、販売、そのための投資・資金、組織・要員などの事業計画をチェックし、この最終ゲートを通過すれば投資が承認される。事業計画を確認し、計画と実績の乖離解析とフォローアップに取り組むステージ4に進み、事業構想が実現する。課題を客観的に可視化し、ゲートを設けてロジカルにつぶしていく。つまり冷静に判断することでリスクを最小化しながら担当者のモチベーションを最大化するのに適する。
企業内新事業創出に有効
日本経済が疲弊し日本企業に元気がないのは、企業の廃業率が高まる中で開業率が低いからだ。しかし日本の将来を強くするのはスタートアップではなく企業内新事業(ベンチャー)だ。スタートアップは資金調達が事業成長には欠かせないが、ミドルステージまで進まないとベンチャーキャピタル(VC)などの投資家は集まらない。言い換えると、VCに認められるため事業成長性など事業計画を強引に膨らませかねない。投資家は投資資金を回収するため出口(エグジット)を求めるからだ。一方、社内ベンチャーは資金調達に不安がないため、ピュアに事業計画を策定するので利益計画などへの信頼度も高くなり、上層部も「やろう」といいやすい。抜擢された担当者も、アントレプレナー(起業家)のように事業を何が何でもやり遂げるというモチベーションは高くなくても、工場や品質管理、法務などとの調整能力を磨きながら人脈を構築したりして新事業をうまく成功させて、次にバトンタッチすることを考える。取締役や上司に認められればキャリアアップにつながるので手を抜かない。逆に言うと、失敗は左遷につながる。
社内ベンチャーの経験生かす
瀧田は大手自動車部品メーカーで新事業創出(半導体)の社内ベンチャーを4人で立ち上げ、同事業を売り上げ20億円まで引き上げた後で売却するという経験を積む。この間、米シリコンバレーにも月1回程度行き来し、スタンフォード大で「日本のスタートアップはドメスティック(国内的)。世界市場を見ない」という声を何度も聞いた。1996年には中小企業診断士の資格を取得しスタートアップから相談を受けたりして交流を持つようになった。こうしたとき、ステージゲート法を知り日本導入を決めた。その根底には「日本企業、中でもメーカーがもつ技術の底力は強いのにビジネス展開が上手ではない。だから元気がない。新規事業が、うまくいくと日本メーカーの地位は世界で高まる」と判断したからで、ステージゲート法のメソッドを使ってメーカーを支援する。
セミナー開催
「ステージゲート法実務研究会」は毎月1回開催予定で、第1回は1月28日に実施した。2月19、3月24日にも東京のアルゴ会議室で14~19時に行う。各回完結型で定員は5~10人。また自社メディア「ステージゲート法を実務に生かすためのお役立ち情報」では、ステージゲート法の基礎知識とこれまで実際に企業の中で使われてきたケースに基づき、日本企業の新事業開発に必要な要素をわかりやすく解説。また事業計画や販売戦略、広報・PRの事例などを随時追加していく。

おすすめコンテンツ

商品・サービスのビジネスデータベース

bizDB

あなたのビジネスを「円滑にする・強化する・飛躍させる」商品・サービスが見つかるコンテンツ

新聞社が教える

プレスリリースの書き方

記者はどのような視点でプレスリリースに目を通し、新聞に掲載するまでに至るのでしょうか? 新聞社の目線で、プレスリリースの書き方をお教えします。

広報機能を強化しませんか?

広報(Public Relations)とは?

広報は、企業と社会の良好な関係を築くための継続的なコミュニケーション活動です。広報の役割や位置づけ、広報部門の設置から強化まで、幅広く解説します。