越野建設株式会社 取締役社長 越野 充博 氏
お客様のライフプランに合った不動産活用を提案する
取材日:2011年3月23日
- 2012年3月で創業100年周年を迎えますが、抱負は
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当社は東京都北区を中心に、個人住宅、オフィス・テナントビル、工場・学校・地域施設などの企画から設計、施工までを手がけています。「お得意様の竈(かまど)の灰まで掃除する心がけを持て」という言葉を、代々受け継いできました。
京都のある老舗の家訓に、「のれんは尊重するが頼らない。1日、1日の商いが100年、200年の商いにつながっていく」という言葉があります。その意味で100年とは結果であり、1つひとつの商いの積み重ねです。今日1日、真剣に仕事に取り組むからこそ、振り返ればそこに、私たち歩んできた道筋があるのです。でも先に、このまま道が続いているとは限りません。そこで創業100年を期して、短期・中期・長期にわたるマーケティング戦略を、全社を挙げて作成しているところです。
- 御社の強みである「5つの技術とこだわり」について教えて下さい
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なかでも当社は100年の歴史の中で「コンクリートの建物をしっかり造っていこう」という思いを大事にし、その裏付けとなる技術を磨いてきました。密度が高く耐久性の高い独自の「結晶化コンクリート」(登録商標申請中)をすべての自社設計物件に採用し、手間のかかる「再振動」工程を加えることで、コンクリートと鉄筋との付着力、防水性、ひび割れ防止効果などの向上を図っています。
顧客対応についても、営業社員から設計、施工専門スタッフまで変わることなく、お客様を末長くフォローしています。
- いま力を入れている商品は何ですか
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コンクリートの持つ強さと優しさを追求する建築の総合ブランド「ヴェージュ」が、今年で10年目を迎えました。耐久性のある資産価値の高い建物、火事や地震に強い都市型防災住宅を目指しており、オリジナルオーダーの自由設計、お客様のライフサイクルや将来のリニューアルに対応した長寿命などの特徴があります。これまで培ってきた技術に加え、ブランドをツールとして活用することで、「当社はこうやっていきます」という姿勢を内外に広く発信。その中で社内全体が、「各セクションがそれぞれの立場で、お客様との約束を果たしていこう」という気持ちになっていければいいと思っています。
また最近、当社の最寄り駅である東京メトロ南北線の王子神谷から、たとえば周辺にオフィスの多い麻布十番まで30分以内という好立地が幸いし、社会人の単身者向け賃貸住宅も堅調に推移しています。施主様はもちろん、入居者の多くを占めるOLのニーズにも目を向け、そこにターゲットを絞った間取りをデザインするなど、マーケットインの発想で臨んでいます。
- 不動産活用のあり方についてどう考えますか
- 「お客様の土地にいかに容積一杯の建物を建てるか」ということしか提案してこなかった建設会社の姿勢を改める必要があります。土地がどう利用されるかは、土地を持つ方のライフサイクルや人生設計の中の位置取りで決まってきます。その意味で私たちは、長期に渡って使っていただける資産の形成に携わっているのであり、お客様の大切な人生の一部に関わっているという責任感を持つべきです。
略歴
昭和33年(1958年)東京都北区生まれ。早稲田大学商学部卒。
昭和57年(1982年)越野建設株式会社入社。
平成3年(1991年)同社代表取締役就任。
明治45年(1912年)創業の同社は100年企業として地元北区を中心に都内、近県に実績多数。30年間の業界経験から技術重視の伝統を発展させ、鉄筋コンクリート複合住宅ブランド「ヴェージュ」や、耐久性の高い同社独自の「結晶化コンクリート(r)」を展開。一方、自らファイナンシャルプランナー資格を持ち、お客様の土地、建物資産活用総合サービスを推進中である。