株式会社K-corporation 代表取締役 渡辺健一朗氏
外壁調査のプロ 最適な修繕提案も強み
- 外壁調査のプロ
- 起業は2009年10月。建設現場で長年、外壁仕上げの施工管理に携わってきた。その際、足場を組んだり、チェアゴンドラなどを使ったりして外壁の打診調査を行ってきたが、前年4月1日に建築基準法第12条に基づく定期報告制度が見直された。これにより目視調査でよかったものが、施工・外壁改修などから10年経過後の最初の外壁調査に全面打診などが義務化された。目視では劣化状況が分からず、タイルなど外壁が落下寸前まで劣化が進んでいる場合も多く、落下により歩行者などに危害を加える恐れもある危ない状況で放置されていることが少なくないからだ。私が行ってきた打診調査の経験を生かせると判断、この機会をビジネスチャンスととらえ独立した。モットーは「安心・安全・確かな調査」で、外壁調査のプロとして外壁の落下防止事故の少ない街づくりに貢献していく。
- 安全を確保したロープアクセス調査
- われわれが提供する外壁調査はロープアクセスによる全面打診と高精度赤外線調査。調査用足場は基本的に組まない。工事費用の約70%を占めるからだ。ロープは危ないといわれるが、ゴンドラのほうが危険。滑ったり傾いたりすると場合によっては、作業員も落下して死亡事故が起きかねない。近年足場が倒壊する事故が多くなり、ビル風を受けてネットや足場が揺れる事がある。コストだけでなく、危険な場合が多くなってきている。われわれは特殊なロープを2本使い、1本にトラブルが発生しても、もう1本で逃げることができるようにしている。身体保持器具や落下防止器具を身につけており、事故を防げる。外壁専門の調査員が安全なロープアクセス技術で作業を行うので「安心・安全・確かな調査」につながる。
- 修繕から施工までカバー
- 外壁調査会社は少ない。さらに弊社は修繕などの施工もできるのが強みで、重宝されている。ビル清掃業なども外壁調査ビジネスに乗り出しているが、外壁が劣化していることが分かっても施工は経験したことがないため行えず、われわれに施工を依頼してくる。ただ、われわれは調査がメイン。売り上げの7割を占め、施工は3割にすぎない。「施工ありき」で調査していると顧客から見られるのはイヤ。このため調査報告にとどめ、建物のオーナーなど顧客から施工依頼を受けないとやらない。
- 右肩上がりの成長持続
- 売り上げは右肩上がりで、11年3月の東日本大震災以降は年率10%強の成長を持続している。社員6人なので忙しい。調査報告書の作成に時間が取られるからだ。外壁の劣化画像や劣化数量表などの作成だけでなく、これらの番号を全てリンクさせる必要がある。また、豊富な外壁に関する施工経験と知識をもとにした考察を作成しており、他社はできない。
- オールラウンダーが強み
- 法定点検は毎年行う(非常用照明灯などが使えるかどうかを調べる)設備点検、3年ごとの建築物点検、10年ごとの外壁全面点検がある。その都度、業者を探すと調査基準がバラバラとなり一定基準の調査が行われない。調査自体の意味もなさなくなる。しかし設備、建築、外壁全面の3つともできる業者は少ないため、弊社に声がかかる。顧客も業者が同じなら説明を省け手間がかからず、安心して任せられる。しかも赤外線調査もロープアクセスによる調査も、また外装仕上げの施工もすべて対応できる。外装仕上げの施工経験者が調査診断するので、そのまま修繕工事も提案できる。調査に基づき必要なところだけのピンポイントで修繕工事を行えるのでコストダウンも図れる。われわれは建物の資産価値維持(MBV=メンテナンス・オブ・ビルディング・バリュー)に貢献できる。
- 米ハワイ進出を検討
- 米ハワイに進出できないか検討している。海岸沿いのホテルは塩害で劣化が早まる可能性が高い。現場を見に行ったところ、外壁調査のため足場を組んでネットでカバーしており、せっかくのオーシャンビューが台無し。場合によっては「海が見えない」と観光客から裁判を起こされかねない。われわれは赤外線やロープで調査してピンポイントで修繕するので眺望を邪魔する心配がない。日本の技術力を生かせるわけだ。近く事業化できるか調査に行ってくる。ハワイ以外でも海のリゾート地は進出先候補になりうる。フィリピンやタイも候補だ。また国内では富山県に進出、11月に富山支店をオープンする。次のチャレンジはハワイと富山。顧客をいったん囲い込むと調査・施工を継続できる。ビジネス機会が広がるので、それにあわせて人材を育てる必要がある。徐々に人を増やす。フットサルをやっており、スカウトしている。5人中4人をスカウトした。
広告代理店にて企画営業後、タイル工務店で約5年間の建築現場での施工管理経験を経て 2009年株式会社ケーコーポレーション設立 代表取締役 就任 現在に至る