日本システム企画株式会社 代表取締役 熊野 活行氏
「思い」を「現実」に ~世界で活躍するNMRパイプテクター~

取材日:2011年11月15日

日本システム企画を設立したきっかけは。

 弊社を設立したのは昭和63年6月の丁度バブルがはじける直前でした。

 当時も今も企業経営者に目的はなんですかと問うと、「社会貢献です」と皆言いますが、当時は経営者のほとんどが、財テクをしない経営者はダメだという雰囲気がありました。流通業でも本来お酒などの商材を酒屋に売るのが仕事なのにもかかわらず、利益があまり出ないので、宝石や、高級ハンドバッグなどの高級商材を売ったりとか、会社が本業を忘れて、利益を出すためならなんでもするという時代でした。利益を出して税金を払えば間接的に社会貢献をしている、という風潮があり、事業そのものが社会貢献であるべきという観念が希薄な時代だったのです。

 私はそれを見ていて、こういうことをやっていれば日本はいつかおかしくなるだろう、という危機感がありました。本来企業というものは事業そのものが社会貢献であって、その手段として利益が必要です。利益というものはあくまでも、条件、手段であって目的は事業そのものが社会に役にたつということが必要だと強く思っていました。

 当時、日本全体で狂いだしたものを元に戻したいという強い思いがありました。大それた話ではありますが、日本のシステムを変えなくてはならないという思いで会社を立ち上げることにしました。だから社名も日本システム企画にしたのです。

 そして、これからの社会に役に立つ事業は何かと考えたときにまずは環境、ということで日本システム企画を立ち上げ、そしてもう一つは健康に役立つ事業を、ということで日本ヘルスケアを同時に立ち上げました
現在の主力商材、NMRパイプテクターとはどのような製品ですか。
 私が思うに、人間というのは常に「思い」を持って生きています。潜在的にいろいろな「思い」を持っていて、潜在的にあるものが顕在化する。「思い」続けていれば実現すると信じています。

 その時は失敗したのですが、なぜか私は15歳のときにビンの中に錆びた釘を入れて、電気を使ってその釘が錆びるのを防ごうという実験を何回かしたことがあるんです。錆を止める方法があるのではないかという潜在的な思いがあったのだと思います。

 そして長年経って、あるときに水分子の水素に共鳴現象が起きるということを知ったのです。多くの企業は電気を流す方法や磁界を水が通過する事による誘導電流、または超音波などを使い、水を直接的に処理しようということを考えています。しかしそういった直接的なエネルギーは一瞬強く見えても秒単位ですぐに効果が切れてしまいます。共鳴の現象を起こすには一種の電磁波が必要になるのですが、今までの直接的で瞬間的な現象ではなく共鳴は6時間以上の持続性を持っている現象です。さらに、最初は弱くてもだんだん強くなり増幅していくのです。これは非常に興味深い現象で、人と人との関わり合いにも似ています。相手に直接的なもの、例えばお金を与え動かしても、お金がなくなったらその関係は切れてしまう。しかし、相手と思想などの共有できるものの理解を深め、そこで共鳴するとどんどん人も集まりエネルギーが増幅していきます。

 20年前から研究を始め、16年前には製品開発に成功し、6年前には腐食防食関係の学会で論文が受理発表され共鳴現象での防錆効果も明確になり、その結果NMRパイプテクターの多くの実証に成功しました。昔から持っていた「思い」が現実になったのです。
今後の事業の展開はどのように考えていますか。
 NMRパイプテクターは日本で製造、及び販売をスタートし、既に日本以外でEUとアメリカでも特許を取得しています。現在、日本以外で普及しているのはイギリスです。イギリスでは、効果がない商材を販売することに対して非常に規制が厳しく、効果のないものをあると言って売ると刑事罰になります。つまり、イギリスで普及しているということは全ての導入先で効果を実証しているということです。イギリスではNMRパイプテクターが唯一配管内防錆装置として販売されています。

 日本でもやっと少し厳しくなってきましたが、嘘を言って売った後に逃げてしまえばいいという世界がまだあります。東京都から排除勧告を受けた企業が東京都以外の場所で平気な顔をして営業活動を続けているというのが日本の実態です。そういった面で日本はまだモラルが低い。そういう中で差別化をしていかなくてはならないのは大変でした。そこで弊社はNMRパイプテクターを販売する際に効果保障を付けることにしました。一定期間装置を付けて効果がなければ全額返金し、もとの配管の状態に戻す約束をして売るケースが多いです。他の企業は同じ条件では販売できませんので逃げていきます。ですので、弊社として販売しやすい環境にはなってきていると思います。

 NMRパイプテクターはコストの削減だけでなく、無駄な資源や薬剤、建築資材の使用を防げるので、環境問題にも貢献ができます。大量の配管の取り換えや、薬剤の使用など、環境面で一番無駄の多いアメリカの市場には今後大いに力を入れて開拓していこうと思っています。そしてイギリスで実証したものをヨーロッパに広げていくというのも目標のひとつです。この二つを今年は重点的にやっていきたいと思っています。

 アメリカでは進出の第一歩として軍関係の施設に第一号が納入できました。引き続き政府をターゲットとして開拓してそこから民間にも広げていきたいと思っています。
これからしようとしている新たな試みなどはありますか。
 日本の今の問題は少子高齢化です。今後10年、20年経つと日本はさらに高齢化していき、高齢者がお荷物になってしまいます。年金、医療費の負担が増えるにもかかわらず労働人口が減ってきて、産業の活力低下は避けられません。そして、いまの日本の、商品に付加価値をつけて輸出することで、食料、エネルギーを輸入する、というシステムが崩れてきてしまう。そして人材はというと、世界からも言われていますが、日本は過去20年間のゆとり教育で国際競争力のない人間を作ってしまいました。

 そこで考えたのが、今の高齢者予備軍に元気でいてもらうことで、一線からリタイヤさせなければ、年金、医療費を減らせて、その間に新たな人材を育成する時間稼ぎができるのではないかということです。そのために高齢者予備軍が高齢化しないような技術ができないかと考えました。

 先ほど説明しましたNMRパイプテクターは建物の配管の酸化を防ぐ技術です。そして建物の配管の状態は人間の体で言えば血管と同じです。人間の体の血管の酸化を抑制できれば老化を防げるということにも繋がります。ただこういったものは副作用が怖いので、そこで、自分自身で10年間試していますが副作用はありません。

 効果も期待できるので、あとは学術的に実証できることをやろうということで、独自での実験と、3年前から奥羽大学薬学部の山本先生らと研究を一緒にやってもらい、世界で初めて血中の活性酸素の働きを抑制するデータを出すことに成功しました。

 そしてこれを論文化して昨年デンマークのコペンハーゲンで行われた世界臨床薬理学会で発表しました。学会でも、癌、脳梗塞、心筋梗塞、これらの全ての病気は活性酸素によって起こるということが話題になっていました。そして世界の主たる大手薬剤メーカーなどが血中の活性酸素を抑制するための研究をやっているのですがことごとく失敗している事も分かりました。そういう中で唯一、成功事例として血中の酸化を抑制したという弊社と奥羽大学との共同論文が受理されました。これを色々な臨床試験分野で実証していけば、人間の老化を少しでも遅くできて高齢化予備軍の方々が現役で10年でも20年でも元気に働ける社会を実現できます。

 これが普及して、みなさんが元気で長生きして病気にもかからなければ、医療費も抑制できるし、年金を受ける人が減ってくれれば、国の財政面の問題を解決し、労働人口も減らない。産業の活性力も維持できます。その間に次の世代の国際競争力のある人材の再教育をしてもらえれば日本が沈没しなくて済みます。それに対し少しでも寄与できればなと思っている次第です。

そして、これを実現した後は、少しは世の中の役に立ったのかなあ、ということで人生を終える事ができれば幸せと思っています。

略歴

代表取締役 熊野 活行氏

・出 身 地:東京都

・学  歴:東京理科大学工学部工業化学科 昭和47年卒

・経  歴:昭和47年 大日本印刷株式会社入社。
      昭和58年 ヤックシステム株式会社設立に際し、専務取締役に就任。
      昭和63年 日本システム企画株式会社を設立。代表取締役社長に就任。
           日本ヘルス食品株式会社を設立。代表取締役社長に就任。
      平成5年  日本モンゴル友好交流協会を設立。会長に就任。
      平成8年  日本ヘルス食品株式会社を日本ヘルスケア株式会社に社名変更。
      平成14年 日本ミャンマー友好交流協会を設立。会長に就任
           NMR株式会社を設立。代表取締役社長に就任。
      平成16年 東京大江戸ライオンズクラブを設立。会長に就任。

・兼  務:日本ヘルスケア株式会社 代表取締役社長
      NMR株式会社 代表取締役社長
      モンゴル国国際経済大学名誉教授・名誉博士

・団  体:日本モンゴル友好交流協会 会長
      日本ミャンマー友好交流協会 会長
      東京大江戸ライオンズクラブ 前会長
      (社)腐食防食協会会員
      (社)空気調和・衛生工学会会員
      日本マンション学会会員

・趣  味:テニス、スキー

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