桜川協和法律事務所 弁護士 小谷 貴由
M&Aや事業再生で企業をサポート フットワーク軽く、顧客に寄り添う
桜川協和法律事務所には事業再生やM&A(企業の合併・買収)などに実績を持つ弁護士が集まる。しかも30~40代の中堅・若手が多く、強みはフットワークの軽さであり、スピードとクオリティーの両立だ。パートナーの小谷貴由弁護士は「主役は顧客企業であり、我々は仲介役、調整役として企業の再生と発展に力を尽くしたい」と話す。
- ――弁護士事務所の体制
- 前身の『桜川綜合法律事務所』は主要業務として企業法務を広く取り扱い、中でもM&Aと事業再生・破産処理の分野で実績を積み重ねてきた。ここに『みなと協和法律事務所』から5人の弁護士が加わった。いずれも事業再生などに豊富な経験を持っており、桜川協和法律事務所の設立によって、さらに顧客企業の再生と発展に寄与できる体制が整った。
- ――他の弁護士事務所と差別化できる特徴は
- 弁護士というと高齢で威圧的、とっつきにくいというイメージを抱きがちだが、桜川協和の弁護士は比較的若く、また敷居の高さを感じさせないようにしている。ささいなことでも、法律に関係ないかもしれないと思っても相談に来てほしい。なんでもしっかりと話を聞くので身近に感じられるはずだ。実際、『話しやすい』といってもらえるクライアントもいる。担当者と仲良くなり何でも話せる関係性を築けるので、スポットの相談から始まり、顧問になるケースも少なくない。
- ――どうやって顧客企業を獲得しているのか
- 顧問先企業からの紹介が多い。飛び込みでやってくることは少ない。得意とするM&Aや事業再生の業務でつながりを得たコンサルティング会社や、会計士、税理士など士業からも相談をいただくことがある。一方で弁護士自ら営業活動にも乗り出す必要性は感じている。弁護士同士の顧客獲得競争も激しいなか、事務所としての強みなどは機会を見つけて出していきたい。
- ――顧客企業をつなぎとめるのに必要なことは
- 担当者と信頼関係を築き要望や困りごとを聞いて相談に乗ることだ。『弁護士って、こういう使い方もできる』と理解させ、必要と感じてもらうことが大事になると考えている。そうなると、いざ問題が起きたときに顧客の内情などを前提に解決に向けて動くことができる。顧客企業からの相談が『そこまで事態が進んでしまったのか』という状態であると解決の道が狭まるし、時間もかかる可能性があるので、できる限り普段からコミュニケーションをとりたい。
- ―― 一方で弁護士も顧客企業をよく知っていないといけないのでは
- 顧客企業の事業内容などをしっかりと知っておく必要がある。起こるであろう困りごとの内容を事前に察知できるし、それに沿ってアドバイスも行えるからだ。また担当者の会社での立ち位置や考え方を知っておかなければいけない。役員と法務担当では事案の進め方、考え方はおのずと違ってくる。法的知識を使って問題解決方法をアドバイスするのが弁護士の役割だ。そのためにも問題を把握し、整理して寄り添うことが大事になる。『我々はサービス業だ』という意識を持つべきと考えており、顧客企業から教えてもらうことも多い。
- ――どんな顧客企業が多いのか
- 顧問先企業としては、上場企業も多くいるが、大部分は中堅・中小企業だ。顧問業務を通じて法務部の代わりになれるような法務サポートを提供する場合、M&Aによる事業拡大・再編をサポートする場合などもある。業種としては、IT、小売業、飲食業などが多いが幅広く対応はしている。
- ――M&Aも動き出したのか
- コロナの収束に伴いM&Aに動く企業は増えているように感じる。M&Aは大企業のみが行うものではなく、事業の再編をしたい、自社事業とシナジー効果がある他社事業を取り込みたい、事業規模を拡大したい、株式を手流して引退し事業を継いでほしい、など様々な場面で使われる。当事務所はスキームの構築、法務デューデリジェンスから契約書の作成・クロージングまで法務面でのトータルサポートを手がけており、蓄積された経験とノウハウをもとに、大手事務所にはない中規模事務所の特色を生かして機動的で柔軟に対応できる。
- ――事業承継問題を抱える中小企業は少なくないが
- 『後継者がいない』という悩みを抱えている中小企業は多い。うまく後継者を見つけることができればいいが、そうでなければM&Aか廃業を選ぶ場合もある。我々は、M&Aの場合はもちろん、企業オーナーへの廃業支援にも対応している。倒産する前に取引先や社員に迷惑を掛けずに会社を清算したいと希望がある場合には、オーナーもハッピーリタイアメントにつながるようにサポートする。
- ――M&Aや事業再生などでこのほかに強みは
- 我々弁護士だけではなく、税理士や公認会計士、コンサルタントといった専門家と連携して対応することにも躊躇なく取り組んでいる。互いの強みを生かす方が顧客企業にとってメリットが大きいからだ。
- ――桜川協和の今後については
- 法律事務所は、IT化もDX(デジタルトランスフォーメーション)も進んでいない場合も多く、AI(人工知能)の導入もこれからだと思う。契約書作成や調査などはこの先AIの方がより詳細にミスがない仕事を行うことが予想される。一方でM&Aや事業再生を含め、人が関与しなければならない仕事が残るのは間違いない。法的知識はAIが得意かもしれないが、法的な問題点の解読だけが仕事ではなく、解決法を探してアドバイスしなければならないからだ。弁護士は資格を取得すればだれでもできる。取得した法的知識を使って何をするかが弁護士に問われる。主役は我々ではなく顧客。我々は仲介役であり調整役にすぎない。顧客の困りごとへの正解はないが、いかに寄り添うか。これを肝に銘じて努力したい。
桜川協和法律事務所 パートナー 弁護士
2002年 京都大学文学部卒業
2006年 最高裁判所司法研修所入所
2007年 弁護士登録 清水谷法律事務所入所
2012年 桜川綜合法律事務所に移籍
2022年 桜川協和法律事務所設立 パートナー
Webサイト: https://www.sg-kyowa.jp/