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マーサー 「グローバル年金指数ランキング」(2016年度)を発表、日本の年金制度は27ヵ国中26位

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マーサー 「グローバル年金指数ランキング」(2016年度)を発表、日本の年金制度は27ヵ国中26位
2016年10月24日
グローバル, 東京

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・デンマークが5年連続首位を堅持、最下位はアルゼンチン
・日本の指数・ランキングは変化なく下位に留まる。少子高齢化の進展に伴う問題解決など根本的な改善が求められる
・高齢化の影響を精査 - 全ての国が高齢化の影響を受け決定的な対策を迫られている


世界最大級の人事・組織コンサルティング会社マーサーは、2016年度グローバル年金指数ランキング「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数」レポートとランキングを発表した。

ランキング首位はデンマークで、2012年より5年連続 で首位を堅持、総合指数は80.5であった。同国とオランダのみが最高ランク "A" の評価を得ている。十分に積み立てられた年金制度や、多くの加入者数、優れた資産構成と掛金の水準、十分な給付レベルおよび法令の整った個人年金制度の提 供が首位となった主な理由である。デンマークと共にオーストラリア、オランダは3年連続トップ3の順位を維持している。

日本年金制度のランキングは27ヵ国中26位と再び下位に留まり、総合指数は2015年の44.1より若干下がり2016年は43.2となった。

「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数(以下、 MMGPI)」レポートの刊行は今年で8年目になり、調査結果は世界各国政府に対し、早急に対策を講じるよう警鐘を鳴らすものとなっている。急速に進む少 子高齢化、堅牢な年金制度の欠如といった状況下では、抜本的な改革がなければ、多くの国が高齢者に対する必要年金額の支給負担に苦慮することが想定される。

MMGPIは、世界各国の年金制度を最も包括的に比較したもので、各国年金制度を横断的に比較し、かつ最も多角的、包括的に調査した指数であるといえる。

評価指数は40以上の質問項目から構成され、「十分性 (Adequacy)」、「持続可能性(Sustainability)」、「健全性(Integrity)」に大別され、それにより27ヵ国の年金制度 を検証している。アメリカ、ヨーロッパ、アジア太平洋地域の様々な国々が調査の対象となり、今年は初めてマレーシア、及びアルゼンチンも対象国に含まれ、 全世界の人口の60%近くをカバーしている(※調査方法の詳細は "FACT SHEET" を参照のこと)。長寿リスク、高齢者の人口割合増加、長寿化による貯蓄額の不足など、現在多くの退職者が直面している問題をふまえ、各国政府がどのように適切かつ持続可能な給付の提供をし得るか、について提案している。

当指数は豪州ビクトリア州政府の支援により、オーストラ リアの金融サービスやリサーチの専門分野の頭脳を結集して開発されたもので、優れた退職年金や金融サービスを提供しているビクトリア州の証ともいえる。各 国政府が全ての退職した国民に対し、十分かつ持続可能な年金を給付するための政策を開発する上で、指針となる優れたリサーチツールである。

ビクトリア州産業・雇用大臣である、ウェイド・ヌーナン は以下のように述べている。「金融サービスに強く、多くの優秀な人材を有するビクトリア州は資金運用業務や年金分野を先導しています。継続的な投資、年金 制度の安定、雇用の拡大を提供するために、引き続き金融サービス機関などと協働していきます。」


2016年度MMGPI - 高齢化の影響を精査

今年度MMGPIは、急速な高齢化の影響及び、高齢化によってもたらされる財政的圧力への年金制度の対応力に注目し調査した。

マーサーのシニア・パートナーであり、当レポートの責任者でもあるデービッド・ノックス博士は、平均寿命の伸びによる影響は、世界全体の出生率の低下と相まって、多くの政府やコミュニティによって認識されているよりもはるかに深刻であるとし、次のように述べている。

「本年度のレポートは、多くの地域において警鐘を鳴らす ことになる高齢者依存割合予測(生産年齢人口に対する高齢者人口の割合など)を含んでいます。この割合は国によって著しく異なっています。例えば、 2040年までに、南アフリカでは、退職者1人に対し働き手が7人と予想されているのに対し、日本では、退職者1人に対し働き手は1.44人に落ち込むと 予想されています。」

MMGPIはデータの裏付けと共に、現在の年金制度が持続可能で、今後数十年にわたり、十分な年金給付を可能とするために、各国政府が行うべき喫緊の改革を提言している。

ノックス博士は次のように厳しく警告している。「全ての国においてその規模やMMGPIにおける現在の順位に関係なく、世界全体の高齢化によって生じる将来の問題に耐え得る政策変更を実施することは、政治上の重要課題です。」


各国における高齢者依存割合の緩和要因

MMGPIは、以下の5つの主要な要因に対し、各国の高齢者依存割合の相対的なポジションを示している。

・55~64歳の高齢者の労働参加
・65歳以上の高齢者の労働参加
・2000年から2015年の間の、55~64歳の労働参加率の変化。これによりその国において、より高齢の労働者の労働参加率が実際に増加しているかを判断する
・予想される平均寿命の伸びと、公的年金の支給開始年齢の引き上げを加味した、2015年から2035年の間に予想される退職後余命の延び
・対GDP比率による、各国の年金資産の水準

ノックス博士は、「これらの指標は十全ではないが、将来の年金給付制度における持続可能性、及び制度に対する国民の信頼に影響を与える改善点を示唆したものである」と述べている。

下のグラフ(レポート内の表16)は、高齢者依存割合予測、及び5つの緩和要因の影響に関して、各国の相対的なポジションを示したものである。

ノックス博士は、「インドネシアは興味深い事例である。より高齢な年齢層の労働参加と退職年齢の大幅な引き上げによって、高齢者依存割合が小さくなっている。」と指摘している。

(表16) 各国の相対ポジション Relative Positions of countries
※上記表はマーサーのプレスリリースページにてご参照下さい。


世界全体における平均寿命の伸びによる実際の影響

平均寿命は、過去40年間において殆どの国で7年から 14年伸びている。これは、4年毎に平均1年の伸びに等しく、現在進行中の年金制度の改革には無視できない重大な事実である。さらに重要なのは、過去40 年間で65歳時の平均余命の伸びは、インドネシアの1.7年からシンガポールの8.1年までと、様々であることだ。

「今後40年間で実際の数字がどう変化するか分かりませんが、これまで以上に人々が長生きすることはほぼ間違いないと言えます」とノックス博士は語る。

「退職年齢、及び公的年金や私的年金の支給開始年齢を変更しなければ、現在の社会で高齢者が受けている経済的な保証が損なわれることになり、世界各国の年金制度への圧力はますます増大するでしょう。」


日本の年金制度は、どのように改善しうるか?

マーサー・メルボルン・グローバル年金指数は、各国の年金給付制度に対して改善すべき領域があることを明らかにしている。参考にすることにより、より多くの退職給付の支給が可能となり、持続可能性が増し、年金制度への信頼も増すことが期待される。

日本の年金制度については、例年指数・ランキング共に大 きな変化がなく、制度の安定性はみられるものの、高齢化社会をめぐる課題に対する取り組みなど、引き続き改善の余地があることが明らかになった。日本の総 合指数は例年とほぼ変わりなく43.2で、評価はDであった。各項目の指数については、最も低い項目である「持続性(Sustainability)」は 2015年の26.5から24.4(評価E)とさらに下がり、「十分性(Adequacy)」の項目は48.5(評価D)、「健全性 (Integrity)」の項目指数は60.9(評価C+)とほぼ変化はなかった。

日本の制度を更に改善するために可能な対策として、以下の対策が挙げられる。

・家計貯蓄額の増加
・年金給付額の引き上げに伴う、所得代替率の改善
・退職給付の年金形式での受給を促す制約の導入
・平均余命の延びに伴う公的年金制度の支給開始年齢のさらなる引き上げ
・GDPに対する政府債務残高比の引き下げ

マーサージャパン年金コンサルティング部門プリンシパルである関根賢二は以下の通りコメントしている。
「2016年度の日本の年金制度の総合評価は、27ヵ国中26位と、前年同様に下位の評価となっています。総合評価は、公的年金・私的年金を含めた年金制 度を、十分性、持続性、健全性、の三つの観点から評価します。日本の総合評価が低いのは、特に、十分性と持続性の評価が低いためです。

十分性に関しては、年金給付による所得代替率(現役世代 の年収と年金給付額の比率)が低いこと、税制や私的年金の仕組みが年金受給を促す形になっていないこと、などが評価を引き下げています。また、持続性に関 しては、少子高齢化に伴い高齢者人口割合が増加していること、平均余命の増加により公的年金の期待支給期間(平均余命と年金支給開始年齢の差)が長くなっ ていること、さらには政府債務残高が大きいことなどの要因により低い評価となっています。

日本では他国よりも早いペースで少子高齢化が進行し、平 均余命も伸長しています。公的年金では、社会情勢(現役人口の減少や平均余命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整するマクロ経済スライドが 2015年に初めて発動され、年金給付額の伸びは賃金や物価の上昇分以下に抑えられました。このような中、老後の生活資金を確保するには、公的年金に加え、企業年金や個人年金などの私的年金からの収入や活用方法を理解した上で、個人のライフスタイルに応じた早めの資金準備を実施していくことが重要になってきます。」


FACT SHEET - マーサー・メルボルン・グローバル年金指数調査方法

「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数」は、2009年に11ヵ国を対象として調査を開始。8年目の2016年の対象国は2009年実施当初の11ヵ国から27ヵ国に拡大、全世界の人口の60%近くをカバーしている。

・対象国の様々な年金制度への取り組みが指数として表される。
・公的ならびに私的年金制度の積み立てや、個人貯蓄などの年金以外の資産についても客観的な評価をしている。
・調査では、対象国の年金制度に0から100までの評価が付けられ、「十分性(Adequacy)」、「持続性(Sustainability)」、「健全性(Integrity)」の平均評価値が指数として表される。
・各国の老後の所得保障制度における40以上の質問項目から構成され評価付けされている。
・各項目の評価指数における構成は次の通り:
- 十分性(Adequacy) 40%
- 持続性(Sustainability) 35%
- 健全性(Integrity) 25%

定義

・十分性(Adequacy) の項目において高い評価を得ている国は、平均以上の最低年金額によって貧困の緩和がみられ、中所得者の所得代替率がよく、老後の所得として定期的に給付を受け取れるシステムがあり、その他の制度が制定されている。
例えば、公的年金が老後の生活に十分なだけ支払われているか、老後のための貯蓄は十分になされているか、等が評価対象になる。

・持続性(Sustainability) の項目において高い評価を得ている国では、年金制度に優良なカバレッジ(通常、年金制度の義務化および自動登録などによる)、対GDP年金基金運営資金高比率が達成され、制度の義務化、政府債務が低いことが挙げられる。
例えば、年金が支払われるのに十分な環境が整っているか、平均寿命と支給開始年齢の関係は良いか、国家の破綻のリスクがなく持続可能なものか等が問われる。

・健全性(Integrity) の項目では、包括的な規制を設け、年金制度のガバナンスおよび政府と国民間のコミュニケーションにおいて数ヵ国が高評価を得ている。
例えば、年金制度をうまく運用するための見直し機能や透明性が担保されているか、また私的年金のスキーム等が評価される。 なお、世界銀行が発表している世界ガバナンス指数を評価に加えている。
* 世界銀行 - プレスリリース
http://web.worldbank.org/WBSITE/EXTERNAL/COUNTRIES/EASTASIAPACIFICEXT/JAPANINJAPANESEEXT/0,,contentMDK:22229248~menuPK:515520~pagePK:1497618~piPK:217854~theSitePK:515498,00.html


「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数ランキング(MMGPI)」の詳細・参考資料は以下をご参照ください:

「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数2016」レポート全文(英文 -PDF: 約7MB)
MMGPI Infographics (英文 ‐グラフ中心のパンフレット ‐4ページ)
※レポート全文・Infographicsダウンロードはこちらから
https://info.mercer.com/jp-2016-mmgpi-report.html

コンサルタントコラム698 年金制度の国際比較 ~「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数ランキング(2015年度)」
http://www.mercer.co.jp/our-thinking/consultant-column-698.html

本プレスリリースはマーサー(オーストラリア)が発表したプレスリリースを翻訳・編集 したものです。
Melbourne Mercer Global Pension Index 2016 (オリジナル英文)
http://www.mercer.com/our-thinking/mercer-melbourne-global-pension-index.html

本リリースURL: http://www.mercer.co.jp/newsroom/2016-global-pension-index.html (日本語)

「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数ランキング(2016)総合指数によるランキング」
「年度別総合指数によるランキング推移」
「MMGPI 評価基準表」
※上記表はマーサーのプレスリリースページにてご参照下さい。


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