マーサージャパン株式会社

マーサー『2016年世界生計費調査-都市ランキング』を発表

#コンサルティング #海外・グローバル

22 June-2016
グローバル,東京

・海外駐在員にとって最も物価が高い都市は香港、最も低い都市はウィントフック(ナミビア)
・アジア、アフリカの都市がランキング上位を占める
・米ドルに対する日本円価値の上昇の影響により東京(5位)、大阪(22位)の順位が大きく上昇
・キンシャサ(コンゴ)の順位が大きく上昇
・中国主要都市の順位は下降
・米国主要都市の順位は上昇
・海外派遣者の需要は引き続き高く、適正な報酬を決定するためのデータの重要性が増す

不安定なグローバルマーケットや安全保障に関わる問題が顕在化する中で、競争力を維持し事業を拡大するため、企業はグローバル戦略を強化している。しかしながら、海外派遣者報酬コストへの影響を含め、抱えている課題に対して対応策が整っている企業は少ない。今年で22年目となるマーサーの「世界生計費調査」では、海外に派遣する社員の海外派遣者報酬コストに影響を与える、為替変動や物価上昇、変動し易い住居費などの要因に着目している。

「テクノロジーが進歩し、海外の従業員との連携も増える中で、多国籍企業が事業戦略に優位性を持たせるために、海外への駐在員派遣はますます重要となっています。」と、マーサーのシニアパートナーでタレントビジネスのプレジデントであるイリヤ・ボニックは述べている。「しかしながら、世界各地で起きている市場相場の変動や経済の低迷の中で、特に海外派遣者の報酬コストについては費用対効果に着目することが求められます。企業の急速な成長とグローバル化において、短期派遣やローカルプラスを含め、あらゆるタイプの海外派遣者を公平に補償するためには、正確かつ解りやすいデータが必要となります。」

マーサーの2016年世界生計費調査によると、香港が海外駐在員にとって最も物価が高い都市となり、ルアンダ(アンゴラ)が2位となった。3位と4位は昨年と同じく、チューリッヒとシンガポールとなり、東京の順位は昨年よりも6上がり5位となった。昨年は13位だったキンシャサ(コンゴ)が6位になり、初めてトップ10に入った。

海外駐在員にとって最も物価が高い都市トップ10に入ったその他の都市は、上海(7位)、ジュネーブ(8位)、ンジャメナ(9位)、北京(10位)となった。一方、海外駐在員にとって最も物価が低い都市は、ナミビアのウィントフック(209位)、南アフリカのケープタウン(208位)、キルギスのビシュケク(207位)との結果になった。

マーサーの「世界生計費調査」は、世界で最も包括的な生計費調査の一つであり、多国籍企業や政府機関が海外駐在員の報酬・手当を設定する際に利用されている。今回発表のランキングは、ニューヨークをベースとし、ニューヨークを100とした場合の各都市の指数を比較している。基軸通貨は米ドルとしている。

この調査は、5大陸209都市において住居費、交通費、食料、衣料、家庭用品、娯楽費用などを含む200品目以上の価格を調査し、それぞれを比較している。

「世界的にリソースと人材が不足する中で投資効果を最大化しようとすることは、多国籍企業の成長をより困難なものにしています。企業は公平かつ競争力のある報酬パッケージを提供することで確実に業績を上げていかなければなりません。」とボニックは述べている。その上で、「物価変動や為替変動は、海外派遣者コストの変動を大きく左右します。また低水準のインフレは一定のコスト増加に結び付きます。」と付け加えている。


【地域別分析】

◆南北アメリカ

他地域の都市の順位が大きく下がったことに加え、米ドルがその他の主要通貨に対して上昇したことにより、米国の都市の順位が上がった。この地域で最も順位が高い都市であるニューヨークは順位を5上げて11位となった。サンフランシスコ(26位)は11、ロサンゼルス(27位)は9、シアトル(83位)は23順位が上がった。その他の米国の主要都市の順位は、ホノルル(37位)が15、ワシントンDC(38位)が12、ボストン(47位)は17上がった。ポートランド(117位)とノースカロライナ州のウィンストンセーレム(182位)は、昨年に引続き米国で海外駐在員にとって物価が低い調査都市であった。

マーサーのプリンシパルでこのランキングの編集責任者であるナタリー・コンスタンティン=メトラルは「米国全体の物価上昇は緩やかだが、主に米ドルの価値の上昇により、多くの都市の順位が上昇しました。」と述べている。

南アメリカでは、昨年から順位が22下がったにもかかわらず、ブエノスアイレス(41位)が最も物価の高い都市となった。その後に順位を22上げたサンファンとプエルトリコ(共に67位)が続いた。

ブラジルやアルゼンチン、ウルグアイなど南アメリカのその他の都市の多くは、物価が上昇したにも関わらず、米ドルに対して自国通貨が下落したことにより順位が下がった。特に、サンパウロ(128位)とリオデジャネイロ(156位)は物価が非常に上昇しているが、それぞれの順位は昨年から88、89と大きく下がった。リマ(141位)は19、ボゴタ(190位)の順位は42下がった。南アメリカで最も物価が低い都市はマナグア(192位)であった。ベネズエラのカラカスは、公定為替レートが複数存在する複雑な状況にあり、選択する為替レートによって順位が大きく変わるため、マーサーでは今年もランキングから除外した。

カナダの都市は、主にカナダドルが米ドルに対して下落していることにより、今年も順位を下げた。カナダで最も順位が高いバンクーバー(142位)は順位が23下がった。トロント(143位)は17、モントリオール(155位)とカルガリー(162位)の順位はそれぞれ15と16下がった。

◆ヨーロッパ・中東・アフリカ

ヨーロッパの2都市が海外駐在員にとって最も物価が高い都市トップ10にランクインした。グローバルランキングで3位のチューリッヒがヨーロッパでは最も物価が高い都市となり、昨年から順位を3下げたジェノバ(8位)が続いた。米ドルに対してスイスフランが下落したためにベルン(13位)の順位は4下がった。

ヨーロッパの一部の都市は米ドルに対してユーロが安定しているため、大きな順位の変動はなかった。パリ(44位)、ミラノ(50位)、ウィーン(54位)、ローマ(58位)の順位は昨年から相対的に変化がなく、さらにコペンハーゲン(24位)、サンクトペテルブルグ(152位)も同じ順位となった。

その他の都市では米ドルに対して現地通貨が大幅に下落したため、オスロ(59位)の順位は21、モスクワ(67位)の順位は17下がった。イギリスのロンドン(17位)とバーミンガム(96位)はそれぞれ5と16順位を下げた一方で、ドイツのミュンヘン(77位)、フランクフルト(88位)、デュッセルドルフ(107位)の順位は上がった。

コンスタンティン=メトラルは次のように解説している。「ヨーロッパでは全体的に物価上昇は見られるものの、米ドルに対して一部の国々の自国通貨が下落したために、幾つかの都市の順位が下がりました。更に、最近の安全保障に関わる問題や社会不安、経済の先行きへの懸念といった要因が影響しています。」

東ヨーロッパや中央ヨーロッパにおいてはキエフ(176位)の順位が8、ティラナ(186位)が12上がった。

中東では、テルアビブ(19位)が昨年に引き続き、海外駐在員にとって最も物価が高い都市となり、その後にドバイ(21位)、アブダビ(25位)、ベイルート(50位)が続いた。ジッダ(121位)は順位を30上げたが、引き続きこの地域で最も物価が低い都市となった。

「中東の幾つかの都市は、他の地域の都市が順位を下げたことや、海外駐在員向け住宅の賃料が大幅に上昇したことにより順位が上がりました。」とコンスタンティン=メトラルは述べている。

グローバルのトップではなくなったものの、アンゴラのルアンダ(2位)は引き続きアフリカ地域では最も物価が高い都市であった。続いて昨年から順位を7上げたキンシャサ(6位)、その後に順位を1上げたンジャメナ(9位)、7上げたナイジェリアのラゴス(13位)となった。順位を3下げたナミビアのウィントフック(209位)がアフリカ地域およびグローバルで最も物価が高い都市となった。

◆アジア・太平洋

昨年1位だったルアンダは現地通貨の下落により順位が下がり、香港(1位)がグローバルにおいても最も物価が高い都市となった。シンガポール(4位)は昨年と変わらず、順位が6上がった。 東京(5位)、上海(7位)、北京(10位)と続く。深セン(12位)の順位は2つ上がった一方で、ソウル(15位)の順位は7、広州の順位は3下がった。

「米ドルに対して日本円が上昇したことにより日本の都市の順位が上がりました。一方、米ドルに対する人民元の価値が下がったため、中国の都市の順位は概ね下がる結果となりました。」とコンスタンティン=メトラルは述べている。

インドでは、ムンバイ(82位)が最も物価が高い都市であり、その後にニューデリー(130位)、チェンナイ(158位)と続く。ベンガルール(180位)とコルカタ(194位)はインドで物価が低い都市となった。その他のアジアの都市では、バンコク(74位)は29、クアラルンプール(151位)は38、ハノイ(106位)は20順位を下げた。バクー(172位)の順位は100ポイントを超えて下がり、今回グローバルで最も変動した。トルクメニスタンのアシガバードの順位は61上がった。

対米ドルに対する現地通貨価値の下落により、オーストラリアの都市の順位は大きく下がった。ブリスベン(96位)とキャンベラ(98位)の順位はそれぞれ30と34下がり、オーストラリアで最も物価が高い都市であるシドニー(42位)の順位は11、メルボルン(71位)の順位は24下がった。

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マーサーでは、調査対象となったそれぞれの都市について、個別の生計費および住居費のレポートを提供しています。都市ランキングの詳細や個別都市のレポートのご購入に関しては、マーサーのホームページ(http://www.mercer.co.jp/about-mercer/lines-of-business/information-solutions.html)をご覧いただくか、インフォメーション・ソリューションズまでご連絡ください。(TEL:03-5354-1483、Email: mobility.japan@mercer.com)


付記:2016年マーサー世界生計費調査について
マーサーの世界生計費調査は、世界で最も包括的な生計費調査の一つであり、多国籍企業や政府機関が海外駐在員の報酬・手当を設定する際に利用されています。一般的な物価指数を測るものではありません。今回発表のランキングは、プレスリリース用にニューヨークをベースとし、ニューヨークを100とした場合の、各都市の指数を比較し、基軸通貨は、米ドルとしています。

掲載されている生計費および住居費の数値は、すべて2016年3月にマーサーが実施した世界生計費調査に基づくものです。為替は2016年2月の平均レートを使用しており、品目はマーサーの国際人用バスケットをベースとしています。

このデータは、政府機関や多国籍な企業が従業員を海外に派遣する際に、海外駐在員の購買力を補償するために利用されています。また、住居費に関するデータは、海外駐在員の現地における住居手当を決定する際に利用されています。調査対象都市は、企業や政府機関からの要望により選択されたものです。

調査対象都市の個別レポートは、マーサーよりお求めいただけます。派遣元の都市および派遣先の都市を選択いただいた上で、派遣元の生計費を100 とする現地生計費の指数をご提供いたします。通常駐在員の給与を算出する際には、「海外赴任することで発生するエキストラなコストは別途支給する」という考えから、住居費は別途手当で支給すべきと判断し、生計費の指数の算出対象品目の中には、住居費は含まれません。住居費は別途住居費の情報をご提供しております。ただし、今回発表のランキングは、外国人駐在員が一般的に利用する住宅の家賃を含めたランキングとなっていますので、ご注意ください。また、この データはマーサーでは「国際人用」と呼び、国籍を問わない一般的な海外駐在員モデルの購買パターンを予想し、それに沿った生計費を調査した上で、指数を算出しているものです。このデータをベースに、日本人独特の品目(米、味噌、日本語の新聞など)を追加し、特に日本人用にカスタマイズした「日本人用」世界生計費レポートもございます。

なお、都市ランキングは「上位10位、下位10位の表」複製利用については許諾申請不要ですが、出来るだけ事前に広報へのご連絡をお願いいたします。

全都市ランキングは下記フォームへの入力後閲覧可能です。
https://info.mercer.com/jp-2016-pr-cost-of-living-ranking.html

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※ランキング表を含むリリース全文は、以下よりご参照ください
http://www.mercer.co.jp/newsroom/2016-cost-of-living.html
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マーサーについて
マーサー(英語社名:Mercer、本社: ニューヨーク、社長兼CEO:Julio A. Portalatin)は、組織・人事、福利厚生、年金、資産運用分野におけるサービスを提供するグローバル・コンサルティング・ファームです。

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日本においては、35年余の豊富な実績とグローバル・ネットワークを活かし、あらゆる業種の企業・公共団体に対するサービス提供を行っています。組織変革、人事制度構築、福利厚生・退職給付制度構築、M&Aアドバイザリー・サービス、グローバル人材マネジメント基盤構築、給与データサービス、年金数理、資産運用に関するサポートなど、「人・組織」を基盤とした幅広いコンサルティング・サービスを提供しています。

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当グループは責任ある企業市民として事業展開しているコミュニティに貢献しています。詳しい企業情報については http://www.mmc.com、今日企業が直面する課題に取り組む当グループの国際的な実務能力とソリューションについては http://www.PartneringImpact.com をご覧ください。

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