2016年9月13日
日本, 東京
マーサージャパン株式会社は、日本版スチュワードシップ・コードの精神に則り、マーサーが運用機関の運用プロダクトの評価に当たって実施している、ESG評価の日本株運用における評価状況を発表しました。マーサージャパン株式会社は資産運用コンサルタントとして、2014年8月に日本版スチュワードシップ・コードの受け入れを表明しましたが、今回の発表はその受け入れ表明に基づいた2回目の発表となります。
今回の発表では、日本株運用で初めて、2番目に高い評価となるESG2のレーティングが3運用プロダクトに付与されました (i)。3運用プロダクトの内、2プロダクトは新しく評価対象にした運用プロダクトで、1プロダクトはESG3から評価を上げたものです。ESGで高く評価される運用プロダクトが出てきた背景としては、ESG要因を重視した運用プロダクトの数が増えてきているということと、アクティブ運用におけるESG要因の取り込みが経験の蓄積により明確化されてきていることが挙げられます。
i) 再委託された運用プロダクトは二重計上を避けるために除いています
また、ESG要因を考慮していないとの評価であるESG のレーティングの運用プロダクトの比率は、昨年の26%から15%へ大きく低下しています。日本版スチュワードシップ・コードを受け入れた運用機関の数が多く、ESG要因を考慮しない運用プロセスは、運用機関として許容しにくくなっていると考えられます。
2016年8月末時点における、日本株のESGレーティングの付与数と分布は、以下の表の通りです (但し、外国株や日本株を含む株式全体は6月末時点)。
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レーティング | 評価数 | 比率 | (参考) 外国株や日本株を含む株式全体 (比率)
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ESG1 | 0 | 0% (0%) | 55 (2%)
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ESG2 | 3 (0) | 3% (0%) | 410 (15%)
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ESG3 | 97 (88) | 83% (74%) | 1642 (60%
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ESG4 | 17 (31) | 15% (26%) | 630 (23%)
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合計 | 117 (119) | 100% | 2737 (100%)
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※( ) 内数値は、前年度数値を示す
マーサーの日本株運用プロダクトの評価担当者である若槻 学は、「日本版スチュワードシップ・コードの導入後、企業の投資家との対話のスタンスに変化が見られたことを多くの運用者は好機と捉えており、投資先企業 の持続的な成長を促すために、企業との対話をより積極化している様子が窺われます。マーサーのESGレーティングに関しては、最高の評価であるESG1レーティングはESGに特化した運用プロダクトに付与されることが一般的であり、日本株以外でも少数に止まっていることから、付与すべき運用プロダクトがすぐに出てくるかはわ かりません。しかし、ESG2の日本株運用プロダクトの比率は、海外株式の運用プロダクトと比較した場合に依然として低く、今後も増加することが期待されます」と述べています。
また、マーサーの日本における資産運用コンサルティング部門の責任者である大塚修生は、「日本版スチュワードシップ・コードを通じて、日本の資本市場の活性化と日本経済の構造改革の一助を担えることをうれしく思います。これらは、資産運用業務にも好ましい影響をもたらし、機関投資家のお客様だけではなく、個人投資家の方々にもメリットが及ぶものと確信しており ます。マーサーもコンサルタントとして、持続可能な社会の構築に貢献できるよう業務にまい進して参る所存です」と述べています。
マーサーのESG評価レーティングについて
マーサーは運用機関のアクティブ運用プロダクトを4段階のレーティングで評価していますが、その際、運用機関の投資判断におけるESG (環境、社会、ガバナンス) 要因の取り組み度を合わせて評価しています。ESGの評価の結果は、以下の表のように、4段階のレーティングとして表示されます。
ESGを含む評価対象となる運用プロダクトはマーサーの顧客のニーズ等をふまえながら評価担当者が選定しています。評価対象とした運用プロダクトはアクティブ運用の日本株(小型株を含む)ですが、現段階でSRIの専門ファンドは含んでおりません。また、パッシブ運用のESG評価では、議決権行使とエンゲージメントを中心とした評価を行いますが、評価実績数が限られることから、昨年に引き続き今年も公表の対象としていません。
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レーティング | 定義
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ESG1 | 最も高い評価で、ESGとアクティブ・オーナーシップの投資プロセスへの取り込みにおいて業界のリーダーであり、ESGが投資アイデア発掘とポートフォリオ構築における主たる要因であることが明確に確認できる
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ESG2 | 2番目に高い評価で、ESGとアクティブ・オーナーシップが投資の意思決定において考慮されていることが確認できるがESG1ほどのレベルではない
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ESG3 | ESGとアクティブ・オーナーシップの取り込みが窺えるが、限定的な段階に過ぎない
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ESG4 | 最も低い評価で、投資プロセスにESGとアクティブ・オーナーシップが取り込まれていない
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マーサーのプレスリリースページはこちら:
http://www.mercer.co.jp/newsroom/2016-esg-evaluation.html
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日本においては、35年余の豊富な実績とグローバル・ネットワークを活かし、あらゆる業種の企業・公共団体に対するサービス提供を行っています。組織変革、人事制度構築、福利厚生・退職給付制度構築、M&Aアドバイザリー・サービス、グローバル人材マネジメント基盤構築、給与データサービス、年金数理、資産運用に関するサポートなど、「人・組織」を基盤とした幅広いコンサルティング・サービスを提供しています。
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