風力発電ベンチャーのチャレナジー(東京都墨田区)は2017年から、発電出力10キロワットの風力発電機開発に乗り出す。すでに1キロワット機の試作機を開発し、今年8月から沖縄県南城市での実証実験を行ってきたが、「出力1キロワットでは販路が限られる」(清水敦史社長)と判断し、離島用の分散電源や災害時の非常電源などの需要が見込める10キロワット機の開発を決断した。
チャレナジーが開発した「垂直軸型マグナス風力発電機」の試作機=8月、沖縄県南城市(同社提供)
同社が開発を進めている「垂直軸型マグナス風力発電機」は台風のような風速や風向の変化が激しい環境下でも、風車型風力発電機のプロペラの代わりとなる円筒柱が破損することなく、安定して発電できるのが特徴。9月に台風13号が接近したときも発電し続けたという。
回転する円筒柱が風を受けたときに発生する「マグナス力」が発電機を回す。このため、強風時でも羽根が折れない構造になっている。
このほど、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるシード期(開発期)の研究開発型ベンチャーを対象にした助成金への採択が決まったほか、起業支援のリバネス(同新宿区)などが手がけるファンド(基金)や個人投資家を引受先とする第三者割当増資も実施。助成金を含む総額で1億5000万円を調達する。10キロワット機はこの資金を使って開発を進める。
10キロワット機の円筒柱の高さは約10メートルで、約3メートルの1キロワット機の3倍超となる。チャレナジーでは20年までに10キロワット機の量産販売を目指す方針。21年の株式公開を目指し、100キロワット級以上の機種の開発にも取り組む。
清水社長はこのほど都内で開かれた事業説明会で「離島が多く、頻繁に台風が襲来するフィリピンや台湾、ベトナムなどが市場として想定できる。すでにニュージーランドなどから引き合いが来ている」と話している。
「フジサンケイビジネスアイ」