【ストレスオフ組織の作り方】他社の取り組みで学ぶべきこと

メディプラス・恒吉明美社長
メディプラス・恒吉明美社長


 今回は昨年、ロート製薬の山田邦雄会長、ファンケルの宮島和美社長から伺った、ストレスオフの事例を紹介する。

 ロート製薬のストレスオフのキーワードは「社員同士のコミュニケーション」と「複眼」。

 毎朝社員が顔を合わせることと健康目的を兼ねて、月替わりでラジオ体操やオリジナルの体操を行ったり、「生コミュニケーション」と称してチームごとにさまざまな話題を取り上げる時間を設けている。昨年は「“働く”を健康に」をテーマに、女性社員による朝活を実施。不足しがちな栄養を考えた朝食を一緒に取り、体感トレーニングなども行ったそうだ。管理職と一般社員との垣根の低さでも知られ、日本企業独特のヒエラルキー、あるいは形式を表す肩書呼称や“さん付け”をやめ、フランクに意見が交わせるようニックネームで呼び合うことを20年前からやっている。これも円滑なコミュニケーションを促すための一つだ。

 複眼は本連載でも何度か触れたが、実はロート製薬がオリジナルだ。昨年発表した「社外チャレンジワーク」は副業を解禁することで柔軟な複数の視点を育てる制度。部門を超えて働く「社内ダブルジョブ」制度も、複眼はもちろん、メディプラスが考えるストレスオフの要素、「居場所」の提供もかなえている。

 ファンケルは女性管理職の割合が44%、育児休暇取得と職場への復帰率はともに100%。創業時から女性が多く働きメディプラスでいうところの「ファミラブ」精神が根付いている。社員の家族も参加する「家庭でエコプログラム」は目標とする電気代とガス代の条件を半年間クリアすると報奨金が出るユニークな制度。企業の社会的使命である二酸化炭素(CO2)削減運動の一環だが、CO2を減らすために親子で風呂に入るコミュニケーションの時間が、ママ社員たちにとっての(もちろんパパにも)グルーミング行動になっている。そんな点も評価され、2013年には「地球温暖化防止活動環境大臣表彰」を受賞している。

 社内でも社員同士のファミラブが盛んだ。OGやOBが来社して、「『不』の解消」「無添加」といった理念が生まれた背景や、創業時の苦労などを語る研修には全社員が時間を割いて参加。また、社内にはOG・OBが運営するラウンジまであり気軽に訪ねることができる。共感を生む共通言語を持ちながら、過ごしてきた時間の違いから、異なる視点を得る。ファミラブだけでなく、複眼、居場所とさまざまなストレスオフを実現し、学ぶことの多い事例だ。

 ストレスオフは個人で完結するものではなく、社会が一体となって取り組んでいくべき課題。その中で、組織がすべきことは何か。他社に学ぶべきは商品やサービスだけではなく、「働き方」にも目を向ける時代がきた。今後さらに、ストレスオフ社会を目指す企業が増えていくことを期待している。

【プロフィル】
恒吉明美 つねよし・あけみ
アトピーに悩まされた経験から、皮膚科勤務を経てスキンケアブランド「メディプラス」を設立。10年間で売上高80億円を超えるブランドへと成長させたが、過労から自律神経のバランスを崩し、肌荒れも再発。この経験から肌と心の関係に着目し、現在、ストレスオフ活動「オフ活」を推進中。世界へ発信することをビジョンとしている。

「フジサンケイビジネスアイ」

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