ニッセンテクノ、カーペットケアの「スチームプロ」を全国展開
室内環境改善機器を開発・製造するニッセンテクノ(東京都中央区)は、高温・高圧スチームの洗浄力を生かしてカーペットのクリーニング(ケア)や、感染症対応の殺菌に威力を発揮する「スチームプロ」事業を拡充するため、全国規模でフランチャイズ展開を目指す。3月から加盟企業の募集を始めた。カーペットのメンテナンス意識の高い顧客が多い大阪、名古屋など大都市圏で先行し、最終的には各都道府県にフランチャイズ網を広げる考えだ。
スチームプロ事業は1989年に開始。近年は訪日外国人客(インバウンド)需要の高まりもあって日本全国にホテル・旅館や商業施設が建設され、カーペットなどのクリーニング依頼が増加している。これまでは東京から高温・高圧スチームを噴出できる専用特装車(写真)など機材とそれを使いこなせる人材を派遣してサービスを提供してきたが、より多くの地域からの要望に応えるためパートナー企業を募ることにした。当初は大都市圏からスタートする。小知和道会長は「地元でしっかりと顧客を抱える地域密着型事業を手掛ける企業に事業を任せたい」という。快適かつ清潔・安全な環境を提供する事業の特性から社会貢献に意欲的な企業の応募を期待している。
カーペットは豪華さや快適さはもちろん、保湿性、安全性、防音性にも効果を発揮する。しかし適切なメンテナンスを怠ると、外から持ち込まれる土砂などがカーペットに蓄積。汚れが目立つだけでなく、パイル(繊維)を損傷したり、雑菌類を繁殖させる原因になったりするためケアが大事になる。
スチームプロは約80度の高温水による洗浄力と分解力でカーペット本来の姿によみがえらせることができるほか、500psi(圧力の単位)という高圧水のパワーで繊維に付着した汚染物質を根元から剥離する。また強力な吸収力で汚染物質と同時に雑菌やウイルスも回収する。洗剤はEPA(米国環境保護庁)の環境認証を受けており、残留洗剤の心配もなく衛生的という。
スチームプロは「クリーニングは夜間だけ」といった限られた時間内で作業を行うことができ、終了から1~2時間で使用可能になる。このためホテルでは客室、宴会場などの予約を受け付けない売り止めを防ぐことができると好評だ。また結婚式場やオフィスビル、病院・介護施設のほか、豪華客船や航空機などメンテナンス意識が高い企業を顧客として獲得、今ではスチームプロ特装車6台を駆使して、年間平均延べ600か所でサービスを提供している。
新型コロナウイルスやノロウイルスなど感染症への意識の高まりも事業拡大に追い風だ。スチームプロに2024年12月から、新たにノロウイルスなど感染症対応の殺菌機能を持つ「スチームプロα(アルファ)」をサービスに加えた。14年から特定の顧客に提供してきたが、αの殺菌クリーニング技術は食品業界や介護福祉業界で通用する高い衛生管理基準に対応できることが分かり、宴会場が感染源になりうるホテルやイベント施設などが関心を寄せているという。
加盟企業の募集に当たり研修に力を入れる。カーペットケアの専門技術を取得する必要があるためで、使用する専用機器を熟知。またクリーニング対象の様々な素材や風合い、手触りなどに応じて温度や圧力を調整する技術と豊富な専門知識を備える人材を育成する。このため教育システムのプログラムやマニュアルなどを用意。どこでも同じ作業を行える態勢を整える。事業コンサルティングや現場研修のほか、スチームプロ特装車の納入などの準備が必要で、事業開始まで3か月程度かかるという。