環境関連事業の田中電気研究所(東京都世田谷区)は、大気汚染物質のSPM(直径が10マイクロメートル以下の浮遊粒子状物質)やPM2.5(2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質)の濃度をリアルタイムで測定できる「連続粉塵(ふんじん)モニターPHENIX(フェニックス)」を自治体に売り込んでいく。
連続粉塵モニター「フェニックス」
全国の約1000拠点でPM2.5などの常時監視測定が行われているが、β線吸収法による測定のため1時間ごとの重量濃度しか測れない。これに対しフェニックスは外気を吸引し測定するダクトに光錯乱測定器を取り付けることで大気中のPM2.5などの粉塵濃度を1秒ごとのリアルタイム測定を可能にした。
同社によると、イタリア・ミラノのサンラッファエレ科学研究所などの研究によりPM2.5が新型コロナウィルス感染とその重症化に関わっていることが判明してきているという。PM2.5の1秒ごとのリアルタイム測定が可能なフェニックスを使用することで、自治体は地域住民に対し迅速に公表でき、速やかな屋内への移動などの退避行動を促すことができる。
大気汚染と新型コロナとの因果関係が報告されたのは数カ月前で、環境省が認めた公定法では1時間に1回のβ線吸収法が指定されている。このため、自治体では1秒ごとの詳細なデータ測定の重要性が理解されていないのが現状という。同社は今後、フェニックスの認知度を高めながら自治体関係者に採用を呼びかけていく。
フェニックスは2014年から開発に着手、17年末に販売を始めた。自治体などに研究用として貸し出してきたが購入実績はない。価格は標準仕様で350万円。
「フジサンケイビジネスアイ掲載」